第35回(令和4年度)社会福祉士国家試験午後の問題
社会調査の基礎
- 問題84 社会調査に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 社会調査は、個人ではなく、組織や機関が実施するものである。
- 2 社会調査は、市場調査や世論調査を含まず、行政調査と学術調査を指している。
- 3 国勢調査の対象者は、日本に居住する日本国籍をもつ人に限定されている。
- 4 社会問題の解決のために実施する調査は、社会踏査(social survey)と呼ばれる。
- 5 社会調査の分析対象は、数量的データに限定されている。
- 問題85 統計法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 行政機関の長は、一定の要件を満たす学術研究に対して調査票情報を提供することができる。
- 2 行政機関の長は、基幹統計調査のデータを加工して、匿名データを自由に作成できる。
- 3 個人情報の秘密漏えいに関する罰則は定められていない。
- 4 厚生労働省が実施する社会福祉施設等調査は、基幹統計調査である。
- 5 一般統計調査には、基幹統計調査も含まれる。
- 問題86 標本調査に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 標本調査では、非標本誤差は生じない。
- 2 標本抽出には、性別や年齢といった母集団の特性を基準にする抽出法がある。
- 3 標準誤差は、質問の意味の取り違え、回答忘れなど、回答者に起因する。
- 4 系統抽出法では、抽出台帳に規則性がない場合、標本に偏りが生じる。
- 5 確率抽出法では、標本誤差は生じない。
- 問題87 社会調査における測定と尺度に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
- 1 信頼性とは、測定しようとする概念をどのくらい正確に把握できているかを意味する。
- 2 妥当性とは、同じ調査を再度行ったときに、どのくらい類似した結果を得ているかを意味する。
- 3 順序尺度では、大小や優劣を測定できる。
- 4 間隔尺度の例として、身長や体重がある。
- 5 比例尺度の方が、間隔尺度よりも情報量が多い。
- 問題88 質問紙を作成する際の留意点に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 回答者の理解を促進するため、ワーディングはできるだけ多くの専門用語を用いることが望ましい。
- 2 回答者の回答を容易にするため、一つの質問に複数の論点を含む質問文を作成することが望ましい。
- 3 配布した質問紙の回収後の集計作業を効率的に行うため、自由回答法を多く用いることが望ましい。
- 4 選択肢法を用いる場合は、想定される回答を網羅するため、選択肢の内容が相互に重複していることが望ましい。
- 5 作成した質問紙の構成や内容が適切かを検討するため、プリテストを実施することが望ましい。
- 問題89 参与観察に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
- 1 調査中に対象者が意識しないように、調査終了後に観察していたことを伝える。
- 2 観察の記録は、現地で見聞きしたことについて、網羅的に記すことが原則である。
- 3 観察を通して現地で得た聞き取りの録音データの文字起こし作業に当たっては、録音データの中から調査者が気になった部分や必要だと思う部分を抽出し、要約する作業を最初に行う。
- 4 現地で記録したメモは、できるだけ早く観察ノートに記録する。
- 5 観察ノートを整理する際は、調査者の感想を記さないように留意する。
- 問題90 Q市社会福祉協議会では、地域の潜在的な福祉ニーズを探索するため、地域住民向けのワークショップを開催した。参加者が、KJ法を参考に意見を整理することとした。
次の記述のうち、参加者が行う意見整理の進め方として、適切なものを2つ選びなさい。
- 1 参加者は、一つのカードに様々な自分の意見をできるだけ多く書き出す。
- 2 提出したカードを並べた後、全体を眺めながら内容が類似しているものをグループとしてまとめる。
- 3 グループ化する際は、カードが1枚だけで残ることがないように、いずれかのグループに割り当てる。
- 4 各々のグループに名前を付ける際には、福祉に関する専門用語を用いなければならない。
- 5 グループに名前を付けた後、グループ間の相互関係を検討し、図解する。
相談援助の基盤と専門職
- 問題91 次の記述のうち、社会福祉士に関する説明として、適切なものを2つ選びなさい。
- 1 虐待に関わる相談は、社会福祉士が独占している業務である。
- 2 社会福祉士は、特定の職種の任用資格になっている。
- 3 社会福祉士の名称は、国家試験の合格をもって使用することができる。
- 4 社会福祉士でない者が社会福祉士の名称を使用した場合に罰則がある。
- 5 介護老人保健施設に社会福祉士を置かなければならない。
- 問題92 次のうち、「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」(2014年)に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 本定義は、各国および世界の各地域を問わず、同一であることが奨励されている。
- 2 ソーシャルワーク専門職は、社会変革を任務とするとともに社会的安定の維持にも等しく関与する。
- 3 ソーシャルワークの原則において、マイノリティへの「多様性の尊重」と「危害を加えない」ことは、対立せずに実現可能である。
- 4 ソーシャルワークの研究と理論の独自性は、サービス利用者との対話的過程とは異なるところで作り上げられてきた。
- 5 ソーシャルワークの焦点は多様であるが、実践における優先順位は固定的である。
- (注)「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」とは、2014年7月の国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)と国際ソーシャルワーク学校連盟(IASSW)の総会・合同会議で採択されたものを指す。
- 問題93 19世紀中期から20世紀中期にかけてのソーシャルワークの形成過程に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 エルバーフェルト制度では、全市を細分化し、名誉職である救済委員を配置し、家庭訪問や調査、相談を通して貧民を減少させることを目指した。
- 2 セツルメント運動は、要保護者の個別訪問活動を中心に展開され、貧困からの脱出に向けて、勤勉と節制を重視する道徳主義を理念とした。
- 3 ケースワークの発展の初期段階において、当事者を主体としたストレングスアプローチが提唱された。
- 4 ミルフォード会議では、それまで分散して活動していたソーシャルワーク関係の諸団体が統合された。
- 5 全米ソーシャルワーカー協会の発足時には、ケースワークの基本的な事柄を広範囲に検討した結果として、初めて「ジェネリック」概念が提起された。
- 問題94 事例を読んで、Z障害者支援施設のF生活支援員(社会福祉士)がこの時点で行う支援方針の見直しに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
知的障害のあるGさん(35歳)は、日頃から言語的コミュニケーションは難しいところがあるが、Z障害者支援施設から離れた場所にある生家に一時外泊を行った。Gさんが施設に戻った際に、Gさんの家族から、外泊中の様子を伝えられた。自分から気に入った場所に遊びに出掛けたり、簡単な食事は自分で用意したりしていたとのことであった。F生活支援員にとっては、施設ではこれまで見掛けたことのなかったGさんの様子であった。
- 1 Gさんの支援は、施設と自宅では環境が異なるため、施設の事情や制約に合わせた支援を行うことを再確認する。
- 2 Gさんの施設での生活では、職員が考えるGさんの最善の利益に関する事柄を優先的に取り入れる。
- 3 Gさんの興味が広がるよう、Gさんの理解力や意思決定の力を考慮して、思いや選好を確認するよう努める。
- 4 家族から聞いた話を基に、Gさんの支援に、自立に向けたプログラムとして施設内で実施している料理教室への参加を組み入れる。
- 5 Gさんの短期的な支援目標を、施設に近接する共同生活援助(グループホーム)への移行に改める。
- 問題95 リッチモンド(Richmond, M.)の人物と業績に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
- 1 ケースワークの専門職としてニューヨーク慈善組織協会に採用された。
- 2 ケースワークの体系化に貢献したことから、後に「ケースワークの母」といわれた。
- 3 社会改良を意味する「卸売的方法」は、個別救済を意味する「小売的方法」の始点であり終点であると位置づけた。
- 4 『社会診断』において、ケースワークが社会的証拠の探索と収集を重視することに対して、異議を唱えた。
- 5 『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』において、ケースワークを人間と社会環境との間を調整し、パーソナリティを発達させる諸過程と定義した。
- 問題96 次の記述のうち、福祉に関する事務所(福祉事務所)に配置される所員の社会福祉法に基づく業務として、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 指導監督を行う所員(査察指導員)は、都道府県知事の指揮監督を受けて、生活保護業務の監査指導を行う。
- 2 現業を行う所員(現業員)は、所長の指揮監督を受けて、援護、育成又は更生の措置を要する者等に対する生活指導などを行う。
- 3 母子・父子自立支援員は、家庭における児童養育の技術及び児童に係る家庭の人間関係に関する事項等に関する相談に応じる。
- 4 知的障害者福祉司は、社会的信望のもとに知的障害者の更生援護に熱意と識見を持って、知的障害者やその保護者の相談に応じ必要な援助を行う。
- 5 家庭相談員は、児童の保護その他児童の福祉に関する事項について、相談に応じ、専門的技術に基づいて必要な指導を行う。
- 問題97 事例を読んで、ピンカス(Pincus, A.)とミナハン(Minahan, A.)の「4つの基本的なシステム」(チェンジ・エージェント・システム、クライエント・システム、ターゲット・システム、アクション・システム)のうち、チェンジ・エージェント・システムが抱える課題として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
脊髄小脳変性症で入院したHさん(45歳、男性)が退院準備のために医療ソーシャルワーカーに相談に来た。現在、下肢の筋力低下が進んでおり、長い時間の歩行は困難で車いすを利用している。Hさんは一戸建ての自宅で妻(42歳、会社員)と二人暮らしであり、今後は、介護保険サービスを利用して自宅に退院することを検討している。また、Hさんは入院後休職中であるが、自宅で療養した後に復職を希望している。
- 1 Hさんの退院後の自宅における介護サービス
- 2 Hさんが復職した場合の職場での勤務時間
- 3 Hさん夫妻に対して、退院後に必要となる妻への支援
- 4 Hさんの希望に基づき、近隣の利用可能な社会資源
- 5 Hさんの今後の療養に関わる院内スタッフの情報共有
相談援助の理論と方法
- 問題98 事例を読んで、R市子ども福祉課の社会福祉士が行う、家族システムの視点に基づいた今後の対応として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Jさん(15歳)は、小学6年生の時に父親を交通事故で亡くした後、母親(37歳)と母方の祖母(58歳)の3人で暮らしている。母親は、朝から夜中まで働いているため、家事全般は祖母が担っている。Jさんは、中学生になった頃から、祖母へ暴言を吐くようになり、最近は家の中で暴れたり、家に帰ってこなかったりするようになった。祖母は途方に暮れ、友人でもある近所の民生委員・児童委員に相談すると、R市子ども福祉課の相談窓口を紹介され、来所につながった。
- 1 祖母に思春期の子への対応方法を学習する機会を提供する。
- 2 家族の凝集性の高さが問題であるため、母親に祖母との距離を置くよう求める。
- 3 家族関係を理解するため、3人の互いへの思いを尋ねていく。
- 4 家族システムを開放するため、Jさんの一時的別居を提案していく。
- 5 家族の規範を再確認するため、それぞれの役割について話し合う機会を設ける。
- 問題99 ソーシャルワークのアプローチに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 行動変容アプローチでは、クライエントの主体的な意思決定や自己選択が重視され、自分の行動と決定によって生きる意味を見いだすことを促す。
- 2 問題解決アプローチでは、クライエントのニーズを機関の機能との関係で明確化し、援助過程の中で、社会的機能を高めるための力の解放を焦点とする。
- 3 実存主義アプローチでは、その接触段階で、クライエントの動機づけ・能力・機会についてのソーシャルワーカーからの探求がなされる。
- 4 ナラティヴアプローチでは、クライエントのドミナントストーリーを変容させることを目指し、オルタナティヴストーリーを作り上げ、人生を再構築するよう促す。
- 5 機能的アプローチでは、ターゲット問題を明確化し、クライエントが優先順位をつけ、短期処遇を目指す。
- 問題100 エンパワメントアプローチに関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
- 1 クライエントが持つ資源より、それ以外の資源を優先して活用する。
- 2 クライエントのパーソナリティに焦点を絞り、行動の変化を取り扱う。
- 3 クライエントのパワーレス状態を生み出す抑圧構造への批判的意識を醸成する。
- 4 個人、対人、組織、社会の四つの次元における力の獲得を目指す。
- 5 クライエントが、自らの置かれた社会状況を認識しないように注意する。
- 問題101 相談援助の過程におけるプランニングに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 アセスメントと相談援助の実施をつなぐ作業である。
- 2 短期目標は、将来的なビジョンを示すものとして設定する。
- 3 家族の要望に積極的に応えるような計画を立てる。
- 4 生活状況などについて情報収集し、サービス受給要件を満たしているかを確認することである。
- 5 クライエントの課題解決能力を超えた課題に挑戦するよう策定する。
- 問題102 相談援助の過程におけるモニタリングに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 文書や電話ではなく、クライエントとの対面で行うものである。
- 2 モニタリングの内容を記録に残すよりも、情報収集に集中することを重視する。
- 3 モニタリングの対象には、クライエントやその家族とともに、サービス提供者等の支援者も含まれる。
- 4 クライエントの主観的変化よりも、生活状況等の客観的変化の把握を重視する。
- 5 モニタリングは、インテークの途中で実施される。
- 問題103 相談援助の過程における終結に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 ソーシャルワーカーが、アセスメントを行い判断する。
- 2 残された問題や今後起こり得る問題を整理し、解決方法を話し合う。
- 3 クライエントのアンビバレントな感情のうち、肯定的な感情に焦点を当てる。
- 4 クライエントは、そのサービスを再利用しないことを意味する。
- 5 問題解決の過程におけるソーシャルワーカーの努力を振り返る。
- 問題104 ソーシャルワークにおける援助関係に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
- 1 転移とは、ソーシャルワーカーが、クライエントに対して抱く情緒的反応全般をいう。
- 2 統制された情緒的関与とは、ソーシャルワーカーが、自らの感情を自覚し、適切にコントロールしてクライエントに関わることをいう。
- 3 同一化とは、ソーシャルワーカーが、クライエントの言動や態度などに対して、自らの価値観に基づく判断を避けることをいう。
- 4 エゴグラムとは、ソーシャルワーカーが、地域住民同士の関係について、その相互作用を図式化して示すツールをいう。
- 5 パターナリズムとは、ソーシャルワーカーが、クライエントの意思に関わりなく、本人の利益のために、本人に代わって判断することをいう。
- 問題105 事例を読んで、U大学の留学生支援室のK相談員(社会福祉士)のLさんへのこの時点での応答として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
S国からの留学生のLさん(24歳、女性)は、5年前に来日した。来日後1年でU大学に合格したLさんは順調に学業を続け、4年の後期試験を受けて卒業の見込みとなっていた。ある日、目を真っ赤にして留学生支援室を訪れたLさんは、K相談員に以下のように話した。
「私は来週の後期試験2科目を受けて卒業の見込みです。しかし、昨日母から電話をもらい、私の祖母が末期のがんと知らされました。すぐにでも帰りたいのですが、試験を受けなければ卒業できず、かといってこんな状況では試験勉強も手につきません」
- 1 「帰国したいけれどもできない、その板挟みで苦しいのですね」
- 2 「おばあさんにはお母さんがついていらっしゃるから大丈夫です」
- 3 「お母さんは、さぞかしお困りでしょう」
- 4 「すぐにでも帰国できるよう私が調整します」
- 5 「お母さんも期待しておられるし、あと2科目で卒業だから頑張りましょう」
- 問題106 事例を読んで、V児童養護施設のM児童指導員(社会福祉士)が用いた面接技法の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Aさん(11歳、女性)は、10歳からネグレクトによってV児童養護施設に入所していた。1か月後に施設を退所し、実母と再婚相手の3人での生活が始まる予定である。ある日、M児童指導員に、Aさんがうつむきながら、「前の学校に戻れるのはうれしいけれども、家には本当は帰りたくない」とつぶやいた。M児童指導員は、少し間をおいてから、「家には本当は帰りたくない…。その気持ちをもう少し教えてほしいな」と静かに伝えた。
- 1 「繰り返し」と「言い換え」
- 2 「繰り返し」と「開かれた質問」
- 3 「言い換え」と「要約」
- 4 「要約」と「閉じられた質問」
- 5 「要約」と「開かれた質問」
- 問題107 相談援助における面接等の実際に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 受理面接では、信頼関係が既に形成されているので、クライエントの不安は除去されている。
- 2 生活場面面接では、クライエントの問題となった生活場面を再現することから始める。
- 3 電話での相談では、ソーシャルワーカーからの積極的な助言や指導を中心にする。
- 4 面接室での面接では、ソーシャルワーカーが行う情報収集に役立つ範囲で、時間や空間を設定する。
- 5 居宅での面接では、クライエントの生活環境の把握が可能である。
- 問題108 事例を読んで、W認知症疾患医療センターで働くB若年性認知症支援コーディネーター(社会福祉士)のクライエントへの対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Cさん(45歳、男性)は、仕事の失敗が増えたことを思い悩み、「周りに迷惑をかけたくない」と4か月前に依願退職した。その2か月後にW認知症疾患医療センターで若年性認知症と診断された。今月の受診日にCさんが相談室を訪れ、「子どももいるし、教育にもお金がかかります。妻も働いてくれているが、収入が少なく不安です。働くことはできないでしょうか」と話すのを、B若年性認知症支援コーディネーターはCさんの気持ちを受け止めて聞いた。
- 1 他の若年性認知症の人に紹介したものと同じアルバイトを勧める。
- 2 認知症対応型通所介護事業所に通所し、就労先をあっせんしてもらうよう勧める。
- 3 障害年金の受給資格が既に生じているので、収入は心配ないことを伝える。
- 4 元の職場への復職もできますから頑張りましょうと励ます。
- 5 病気を理解して、対応してくれる職場を一緒に探しませんかと伝える。
- 問題109 ソーシャルワークにおけるアウトリーチに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 相談機関を訪れたクライエントが対象になる。
- 2 援助の労力が少なく効率的な活動である。
- 3 自ら援助を求めない人への関わりとして有効である。
- 4 住民への関わりや広報を必要としない活動である。
- 5 援助開始前に行われ、援助開始後においては行われない。
- 問題110 ソーシャルサポートネットワークに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 自然発生的なネットワーク内に関与していく場合と、新しいネットワークを形成する場合がある。
- 2 ソーシャルサポートを提供する組織間のつながりを強めることを第一義的な目的とする。
- 3 家族、友人、知人、近隣住民から提供される支援の総体と定義される。
- 4 インフォーマルなサポートよりも、フォーマルなサービスの機能に着目して活性化を図る。
- 5 情報による支援や物的手段による支援からなり、ソーシャルメディアの利用を目的としている。
- 問題111 ソーシャルワークにおけるグループワークに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 グループワークとは、複数の人を対象に行う集団面接のことである。
- 2 グループの開始期において、ソーシャルワーカーはグループの外から見守る。
- 3 グループワークでは、「今、ここで」が大切なので、事前準備は控える。
- 4 グループワークにおけるプログラム活動の実施は、手段ではなく目的である。
- 5 グループワークは、個々のメンバーの社会的に機能する力を高めるために行う。
- 問題112 事例を読んで、X基幹相談支援センターのD社会福祉士によるこの段階における対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
X基幹相談支援センターのD社会福祉士は、買物依存のために家族関係の破綻や生活再建に苦労した人たちから、同じような課題で悩む人たちと経験を分かち合いたいとの相談を受け、自助グループの立ち上げを支援した。1年経ち、中心メンバーから、自助グループ運営の助言を求められた。特にルールを定めず開始したためか、グループでは、他のメンバーへの批判が繰り返され、一部のメンバーは、行政への請願を活動の中心とすることを求めるのだという。
- 1 経験を分かち合いたいとするグループと行政へ請願するグループへの編成を提案する。
- 2 批判を繰り返すメンバーに退会を勧めるための話合いの場を、中心メンバーと一緒に設ける。
- 3 メンバー同士でグループの目的やルールについて話し合うことを助言する。
- 4 グループの司会進行を引き受け、相互援助システムづくりを行う。
- 5 家族関係の再構築と生活再建に向け、全メンバーとの個別面接を遂行する。
- 問題113 ソーシャルワークにおけるスーパービジョンに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 スーパービジョンの目的は、クライエントへの支援やサービスの質を向上させるための専門職育成である。
- 2 スーパービジョンの支持的機能は、スーパーバイジーが適切に業務を行うよう目配りすることである。
- 3 スーパービジョンの教育的機能は、ストレスに対応するようスーパーバイジーの精神面を支える機能である。
- 4 スーパービジョンの管理的機能は、スーパーバイジーが実践するために必要な知識や技術を高める機能である。
- 5 スーパービジョン関係は、クライエントとスーパーバイザーとの契約によって成り立つ。
- 問題114 ソーシャルワークの記録に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 フェイスシートには、全体の振り返りや目標達成の評価を記述する。
- 2 アセスメントシートには、目標を設定し具体的な解決策を記述する。
- 3 プロセスシートには、目標に対する援助過程を時系列に記述する。
- 4 プランニングシートには、クライエントの基本的属性を項目ごとにまとめて記述する。
- 5 クロージングシートには、クライエントの主訴、解決したいことを記述する。
- 問題115 事例は、Y地域包括支援センターのE社会福祉士によるFさん(74歳、男性)への支援記録の一部である。次のうち、用いられている文体として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
最近、Fさんからの電話連絡が頻回に続き、電話越しに混乱し、慌てている状況があるため、Fさん宅を訪問。財布をなくしたと探しているので一緒に探したが見付からない。また、部屋が片付けられないのでイライラしている様子。片付けの手伝いをボランティアに頼むことができることを伝えると了承した。
後日片付けの日程の件で訪問。Fさんは片付けのことは忘れており、混乱し、怒り出してしまった。Fさんの言動や生活状況から認知症の進行も考えられるため、関係機関の見守りと早急なケース会議の開催を提案。
- 1 要約体
- 2 逐語体
- 3 過程叙述体
- 4 圧縮叙述体
- 5 説明体
- 問題116 社会的排除の状態に置かれ、複雑困難な課題を抱えている利用者と家族に対するソーシャルワークに関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
- 1 社会的排除の状態に置かれている利用者と家族に対して、プライバシーに配慮した上で、地域住民の協力を求め、利用者と家族の地域生活の継続を支援する。
- 2 利用者との距離を置き、客観的に状況を理解している同居をしていない家族の意向に基づき支援する。
- 3 人との関わりに抵抗のある利用者や課題を持つ家族が多いので、利用者と家族の生育歴や生活歴に特徴的に見られる課題に限定して情報収集をする。
- 4 時間をかけて関係づくりを行い、利用者と家族の意向を踏まえ、優先順位をつけて生活課題やニーズに対応していく。
- 5 利用者や家族のストレングスを見いだすため、利用者自身の弱さを内省するよう支援する。
- 問題117 事例を読んで、Z放課後等デイサービスのG児童指導員(社会福祉士)による、Hさんへの面接に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Hさん(28歳、女性)は、長女Jさん(8歳)と二人暮らしで、Jさんには発達障害がある。ある日Jさんが、通っているZ放課後等デイサービスで、他の子のおやつを食べてしまった。Jさんは、「お腹がすいて我慢ができなかった」と訴えた。G児童指導員の呼び掛けに応じた面談でHさんは、「Jが大事で頑張っているけど、子育てがちゃんとできない自分が嫌」と話した。
- 1 「Jちゃんと少し距離を置くために、施設入所も検討してみませんか」と意向を聞く。
- 2 「Jちゃんを大事だと思って、あなたはよく頑張っていますね」と承認する。
- 3 「家事を手伝ってくれる子育て短期支援事業を利用してはどうですか」と意向を聞く。
- 4 「子育ての方法を教えてくれるペアレント・トレーニングを受けるという方法もありますよ」と情報提供する。
- 5 「Jちゃんにとって大事なお母さんなんだから、しっかりしましょう」と励ます。
- 問題118 事例を読んで、病院のK医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)のこの時点の対応として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Lさん(59歳、女性)は、利き腕を複雑骨折し入院してきた。手術後も後遺症から細かい作業が困難となった。家族の見舞いはなく、不自然なあざがあり、退院を強く渋ったため、病棟の要請でK医療ソーシャルワーカーが面接を開始した。Lさんは徐々に心を開き、会社員の夫(64歳)から長年毎日のように暴力を受けてきたこと、高校卒業後すぐ結婚し妊娠したため働いたことがないことを話してくれた。子どもたちは他県で家庭を築いているが、経済的余裕はなく、他に頼れる親戚はいないそうである。離婚は考えるものの、収入がなく、今後の生活が心配だという。
- 1 夫に連絡を取り、心理的カウンセリングを受けるよう促す。
- 2 他県にいる子どもの家族と同居できるよう、引っ越しの手配を手伝う。
- 3 行政から委託を受けた民間シェルターに入居するという選択肢を説明する。
- 4 離婚や今後の生活に必要な情報提供をし、生活設計を共に考える。
- 5 仕事を見付けられるよう、公共職業安定所(ハローワーク)に行くことを促す。
福祉サービスの組織と経営
- 問題119 社会福祉法人の組織体制に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 社会福祉法人は、定款、貸借対照表、収支計算書、役員報酬基準等を公表しなければならない。
- 2 社会福祉施設を経営している社会福祉法人において、当該施設の管理者は法人の理事になることは禁止されている。
- 3 社会福祉法人は収益事業を行うことが禁止されている。
- 4 社会福祉法人における評議員の選任・解任は、定款に定めることにより、理事長や理事会が決定することが可能である。
- 5 社会福祉法人は、理事長以外に業務執行理事を評議員会で選定することができる。
- 問題120 特定非営利活動法人の組織運営に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 特定非営利活動法人における最高意思決定機関は、評議員会である。
- 2 特定非営利活動法人において役員に報酬を支払うことができるのは、役員総数の半数までである。
- 3 特定非営利活動法人は、その主たる活動の目的を、政治上の主義を推進、支持、反対するための活動とすることができる。
- 4 特定非営利活動法人は、法律に定められた要件を満たし、必要な書類を添えて所轄庁に申請し、審査を経て認可された後、登記することによって成立する。
- 5 特定非営利活動法人は、その社員の資格の得喪に関して不当な条件を付してはならず、加入や脱退の自由を保障する必要がある。
- 問題121 福祉や医療サービスを提供している組織・団体に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 社会医療法人は、収益業務を行うことが禁止されている。
- 2 株式会社は、都道府県知事への届出によって児童養護施設を設置することができる。
- 3 医療法人は、都道府県知事への届出によって特別養護老人ホームを設置することができる。
- 4 福祉活動を行う市民団体は、法人格を取得しなければならない。
- 5 医療法人は、剰余金の配当をすることが禁止されている。
- 問題122 組織運営やその原則に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 コンフリクトは、集団に肯定的な影響を与えることはなく、組織運営に非生産的な結果をもたらすので回避する必要がある。
- 2 事業部制組織は、職能別管理をすることによって、組織の統制が向上するメリットがある。
- 3 各構成員に対する指示・命令は、複数の者によって多面的に行う必要がある。
- 4 従業員が意思決定を行うことができる権限の範囲と、それに対応した職務に対する責任の範囲は、等しくなるようにしなければならない。
- 5 管理者は、例外的で高度な業務のみならず、定型的で反復的な業務についても行わなければならない。
- 問題123 福祉サービスの経営に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 CSR(Corporate Social Responsibility)は、福祉サービス事業者には求められない。
- 2 ドメイン(事業領域)は、単一の制度や限定された利用者を対象として設定しなければならない。
- 3 バランス・スコアカード(Balanced Score Card)とは、財務だけでなく、顧客、業務プロセス、従業員の学習・育成といった各視点から企業実績を評価する仕組みである。
- 4 経営における戦略とは、短期的な観点による目標を設定し、日々の業務を遂行するための方策のことである。
- 5 CSV(Creating Shared Value)とは、社会的な課題を解決するところから生まれる社会価値を、事業者の経済価値に優先する考え方である。
- 問題124 人材の確保や育成に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 360度評価(多面評価)とは、評価者である上司が、職員の能力や業績だけでなく、性格、志向、特技などを多面的に評価する手法を指す。
- 2 人事考課においては、ある対象を評価する際に、部分的で際立った特性が、全体の評価に及んでしまうハロー効果が起こることがある。
- 3 OJT(On the Job Training)とは、日常の職務を離れて行う教育訓練方法のことを指す。
- 4 職員のキャリアや能力の開発を目的に人事異動を実施することは、望ましくないとされている。
- 5 エルダー制度は、新入職員のセルフラーニングを通じた自己啓発の仕組みである。
- 問題125 福祉サービス第三者評価事業に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 児童養護施設は、福祉サービス第三者評価を定期的に受審すること及び結果の公表が義務づけられている。
- 2 福祉サービス第三者評価は、市町村が認証した第三者評価機関が実施する。
- 3 福祉サービス第三者評価は、法令に定められた福祉サービスの運営基準が遵守されているかを監査するための仕組みである。
- 4 福祉サービス第三者評価の評価機関は、非営利組織であることが認証を受けるための要件となっている。
- 5 福祉サービス第三者評価の結果は、インターネット上に公開することができない。
高齢者に対する支援と介護保険制度
- 問題126 「令和4年版高齢社会白書」(内閣府)に示された日本の65歳以上の人の生活実態に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 経済的な暮らし向きについて、「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」と感じている人は約5割となっている。
- 2 介護保険制度における要介護又は要支援の認定を受けた人は、第一号被保険者全体の3割を超えている。
- 3 現在、収入の伴う仕事の有無については、収入の伴う仕事をしていると回答した人は約3割となっている。
- 4 現在の健康状態について、「良い」「まあ良い」と回答した人の合計は、全体の6割を超えている。
- 5 二人以上の世帯について、「世帯主の年齢が65歳以上の世帯」と「全世帯」の貯蓄現在高の中央値を比較すると、前者は後者のおよそ3分の2の金額となっている。
- 問題127 日本の高齢者保健福祉施策の変遷に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 老人医療費支給制度による老人医療費の急増等に対応するため、1980年代に老人保健法が制定された。
- 2 人口の高齢化率が7%を超える状況を迎えた1990年代に高齢社会対策基本法が制定され、政府内に厚生労働大臣を会長とする高齢社会対策会議が設置された。
- 3 認知症高齢者の急増に対応してオレンジプラン(認知症施策推進5か年計画)が1990年代に策定され、その計画推進を目的の一つとして介護保険法が制定された。
- 4 住まいと介護の双方のニーズを有する高齢者の増加に対応するため、2000年代の老人福祉法の改正によって軽費老人ホームが創設された。
- 5 高齢者の医療の確保に関する法律による第3期医療費適正化計画では、2010年代から2020年代の取組の一つとして、寝たきり老人ゼロ作戦が初めて示された。
- 問題128 次の記述のうち、ボディメカニクスの基本原理に関する介護場面への応用として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 ベッド上で利用者の臀部{でんぶ}を上げる際に、自分の肘を支点にして、てこの原理を使った。
- 2 ベッドから車いすへの移乗介助の際に、利用者の身体を小さくまとめてしまわないように意識した。
- 3 車いすからベッドへの移乗介助の際に、できるだけ自分の重心を利用者から離した。
- 4 ベッド上で利用者の体位変換や枕方向への移動を行う際に、利用者の身体をできるだけ垂直方向に持ち上げて移動させた。
- 5 ポータブルトイレからベッドへの移乗介助の際に、自分の両足をそろえ、直立姿勢をとった。
- 問題129 事例を読んで、U介護老人福祉施設に入所しているMさんに対する日常介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Mさん(79歳、女性、要介護4)は、先月U介護老人福祉施設に入所した。3年前に発症した脳梗塞の後遺症により右片麻痺{まひ}、運動性失語症がある。問い掛けに対して、首を振って返答することは可能である。口腔{こうくう}内に感覚障害がある。時々、せき込むことがある。食事の時、自分で矢継ぎ早に摂取し、口いっぱいにほおばっていることが多い。最近になって腹圧性尿失禁があることが分かった。A生活相談員(社会福祉士)は、Mさんに対するケアカンファレンスに同席し、介護上の留意点を確認した。
- 1 Mさんに対する質問は、できるだけ開かれた質問で行うように心掛ける。
- 2 着替えの介助の際、袖を通すときは左側から介助する。
- 3 浴槽に入る際は、右足の方から湯船に入るように介助する。
- 4 せきの時に尿が漏れるかもしれないので、尿パッドの使用をMさんと検討する。
- 5 食事の時、食べ物を口に運ぶペースはMさんのペースのままとする。
- 問題130 高齢者に配慮した浴室の環境整備に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
- 1 開閉時に身体移動が少ないことから、脱衣所は開き戸にした方がよい。
- 2 立位でまたぐ場合、浴槽の縁(エプロン)の高さは65cm程度がよい。
- 3 浴室は温度が高くなるので、脱衣所は温度を低くしておくとよい。
- 4 洗面台の水栓はレバー式が握り動作がいらず操作しやすい。
- 5 浴室内に立ち上がりや姿勢保持のために水平及び垂直の手すりを複数設置する。
- 問題131 介護保険制度における第一号被保険者の介護保険料(以下「第一号保険料」という。)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 第一号保険料の額は、政令で定める基準に従い、各市町村が条例で定める保険料率に基づいて算定され、第一号被保険者に賦課される。
- 2 第一号保険料は、被保険者の前年の所得に応じて、原則として3段階を標準とした保険料率が定められている。
- 3 第一号保険料が特別徴収となるのは、公的年金の受給額が年額120万円以上の第一号被保険者である。
- 4 第一号被保険者が医療保険の被用者保険(健康保険など)の被保険者の場合、第一号保険料は医療保険者が医療保険料と一体的に徴収する。
- 5 第一号被保険者が被保護者(生活保護受給者)であって第一号保険料が普通徴収となる場合、その保険料は介護扶助として支給される。
- 問題132 指定居宅介護支援事業者とその介護支援専門員の役割などに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 指定居宅介護支援事業者は、利用者が介護保険施設への入所を要する場合、施設への紹介など便宜の提供は行わず、利用者の選択と判断に委ねることとなっている。
- 2 居宅サービス計画は、指定居宅介護支援事業者の介護支援専門員に作成を依頼することなく、利用者自らが作成することができる。
- 3 指定居宅介護支援事業者の介護支援専門員による居宅サービス計画作成業務の保険給付(居宅介護支援)では、利用者の自己負担割合が1割と定められている。
- 4 地域住民による自発的な訪問や民間事業者が市場サービスとして行う配食サービスなどについては、居宅サービス計画に位置づけることはできないとされている。
- 5 介護支援専門員は、居宅サービス計画の実施状況の把握のため、少なくとも2週間に1度は利用者宅を訪問することが義務づけられている。
- 問題133 介護保険制度における要介護認定・要支援認定に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 介護認定審査会の委員は、要介護者等の保健、医療、福祉に関する学識経験者及び第一号被保険者から都道府県知事が任命する。
- 2 介護認定審査会は、市町村長が定める認定基準に従って審査・判定を行い、その結果を申請者(被保険者)に通知する。
- 3 介護認定審査会は、被保険者の要介護状態の軽減又は悪化の防止のために必要な療養に関する事項などの意見を市町村に述べることができる。
- 4 認定調査員は、新規申請の場合も、更新・区分変更申請の場合も、市町村職員以外の者が担うことはできない。
- 5 認定調査員は、申請者である被保険者若しくは同居家族が自記式で記入した調査票の回答に基づいて調査結果を取りまとめる。
- 問題134 老人福祉法に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 法律の基本的理念として、要援護老人の自立支援の重要性が規定されている。
- 2 老人福祉施設の一つとして、介護老人保健施設が規定されている。
- 3 やむを得ない事由で介護保険法の保険給付などが利用できない場合、市町村が採ることのできる福祉の措置の一つとして、居宅における介護等が規定されている。
- 4 市町村社会福祉協議会には、老人福祉センターを設置する義務があることが規定されている。
- 5 市町村老人福祉計画は、社会福祉法に基づく市町村地域福祉計画と一体のものとして作成されなければならないことが規定されている。
- 問題135 事例を読んで、B社会福祉士が、Cさんの希望を踏まえて特に意見を聴くべき職種として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
急性期病床を有する病院に医療ソーシャルワーカーとして勤務するB社会福祉士は、10日前から入院中のCさん(79歳、一人暮らし)の退院時カンファレンスに臨んだ。その会議には、Cさんを担当する看護師・理学療法士・作業療法士・管理栄養士・言語聴覚士・医療ソーシャルワーカー、Cさん本人が同席した。Cさんは軽度の脳梗塞を初めて発症して入院し、その後の治療等によって、基本的な日常生活動作や、言語・コミュニケーションに関する症状はほぼ消失したため、医学的には定期的な外来通院に移行できる状態である。しかし、利き腕の右手を動かしづらく、既存の調理器具ではうまく調理ができなくなっており、在宅生活には支援が必要な状況である。Cさんは、「調理はずっと行ってきたことなので、上手にできるようになりたい」と希望している。
- 1 看護師
- 2 理学療法士
- 3 作業療法士
- 4 管理栄養士
- 5 言語聴覚士
児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
- 問題136 事例を読んで、V里親養育包括支援(フォスタリング)機関のD相談員(社会福祉士)の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Vフォスタリング機関のソーシャルワーカーであるD相談員は、養育里親であるEさん夫婦からFさん(9歳)の相談を受けた。Eさん夫婦はFさんの養育里親委託を受け、5年になる。このところ、Fさんが実親のことを詳しく知りたいと言い出し、どうしたらよいか悩んでいると話す。Eさん夫婦は、実親のことを知ることで、自分たちとの関係が不安定になるのではないかと危惧しているとD相談員に話した。
- 1 Fさんは思春期に入る前なので、今は伝えない方がよいと助言する。
- 2 Fさんの最善の利益を考え、Fさんに実親のことをどのように伝えるかについて相談する。
- 3 Eさん夫婦が自分たちを追い詰めないことを優先する必要があり、実親の話題が出たら話を変えてみることを提案する。
- 4 D相談員からFさんに、実親のことを知らない方がFさんのためだと伝えることを提案する。
- 5 実親についての全ての情報を、Fさんに直ちに伝えなければならないと助言する。
- 問題137 事例を読んで、妊娠中のGさんが出産後に母子で居住する場について、H婦人相談員(社会福祉士)がこの時点で利用を勧める施設として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Gさん(18歳)は夫から暴力を受けて、心も身体も深く傷ついており、「出産で入院することをきっかけに夫から逃げたい。子どもは自分一人で育てる」とH婦人相談員に相談した。Gさんは親族との関係が断絶しており、実家に戻ることもできないという。働いたこともなく様々な不安があるので、子どもとの生活設計を支援してもらえるところを希望している。
- 1 母子生活支援施設
- 2 児童家庭支援センター
- 3 産後ケアセンター
- 4 乳児院
- 5 母子・父子休養ホーム
- 問題138 「児童虐待防止法」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 児童相談所長等は、児童虐待の防止及び児童虐待を受けた児童の保護のため、施設入所している児童を除き、面会制限を行うことができる。
- 2 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、できる限り通告するよう努めなければならない。
- 3 児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待の早期発見を行わなければならない。
- 4 児童が同居する家庭における配偶者に対する生命又は身体に危害を及ぼす暴力は、児童虐待の定義に含まれる。
- 5 児童に家族の介護を行わせることは、全て、児童虐待の定義に含まれる。
- (注)「児童虐待防止法」とは、「児童虐待の防止等に関する法律」のことである。
- 問題139 事例を読んで、相談を受けたW母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)の相談員(社会福祉士)がJさんにこの時点で利用を勧める事業として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Jさん(30歳、女性)は、夫と8か月の息子と共に暮らしている。Jさんは現在、育児休業を取得している。最近、時折とても悲しくなったり、落ち込んだりすることがある。どうしてよいか分からず、仕事への復帰に不安を感じるようになった。そこで住まいの近くにあるW母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)に、そのことを相談することにした。
- 1 児童自立生活援助事業
- 2 保育所等訪問支援事業
- 3 乳児家庭全戸訪問事業
- 4 産後ケア事業
- 5 児童発達支援事業
- 問題140 児童手当に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 児童手当の支給には、所得制限が設けられていない。
- 2 児童手当は、子どもの年齢が高い方が支給額は高くなる。
- 3 児童扶養手当を受給している者には児童手当は支給されない。
- 4 児童手当の受給を希望する者が申請の手続を行う必要はない。
- 5 15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童は、支給要件児童に該当する。
- 問題141 保育士に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 保育士資格は社会福祉法に規定された国家資格である。
- 2 保育士としての登録は市町村が行い、保育士登録証が交付される。
- 3 保育士は保育士の信用を傷つけるような行為をしてはならないとされている。
- 4 保育士の業務を離れた後に、守秘義務を課されることはない。
- 5 保育士資格取得後に3年ごとの更新のための研修が義務づけられている。
- 問題142 虐待のおそれがある場合の児童相談所長の権限に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 家庭への立入調査を学校に委託することができる。
- 2 一時保護を行うためには、保護者の同意を得なければならない。
- 3 一時保護を里親に委託して行うことができる。
- 4 一時保護は3か月以上行わなければならない。
- 5 児童虐待を行う親の親権喪失を決定できる。
就労支援サービス
- 問題143 福祉と就労などに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 ワークフェアとは、柔軟な労働市場を前提とし、他の労働市場に移動可能な就労支援プログラムを提供するシステムである。
- 2 ベーシックインカムとは、権利に基づく福祉給付を得るときに、就労という義務を課す政策である。
- 3 アクティベーションとは、福祉と就労を切り離し、国民に対して最低限の所得保障給付を行う政策である。
- 4 ディーセント・ワークとは、働きがいのある、人間らしい仕事のことをいう。
- 5 アウトソーシングとは、職場や地域における性別役割分担を見直そうとする考え方である。
- 問題144 有期雇用労働者などの保護を定める労働法規に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 「パートタイム・有期雇用労働法」では、事業主は、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間で不合理な待遇差を設けないよう努めなければならないと定められている。
- 2 「パートタイム・有期雇用労働法」では、事業主は、短時間・有期雇用労働者からの求めに応じ、通常の労働者との待遇差の内容や理由などについて説明しなければならないと定められている。
- 3 労働契約法では、有期労働契約による労働者について、その契約期間が満了するまでの間において、やむを得ない理由がなくても解雇できると定められている。
- 4 労働契約法では、有期労働契約が反復更新されて通算3年を超えたときには、労働者からの申込みにより、当該契約は無期労働契約に転換されると定められている。
- 5 短時間・有期雇用労働者は、労働者災害補償保険法の適用対象とはならない。
- (注)「パートタイム・有期雇用労働法」とは、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」のことである。
- 問題145 「障害者雇用促進法」が定める雇用義務に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている精神障害者は、雇用義務の対象となる。
- 2 雇用率のカウントに際し、重度の知的障害者を1人雇用したときは、重度以外の知的障害者を3人雇用したものとして扱われる。
- 3 民間企業の法定雇用率は、国・地方公共団体の法定雇用率より高く設定されている。
- 4 厚生労働大臣は、法定雇用率未達成の民間事業主の企業名を公表しなければならない。
- 5 地方公共団体は、法定雇用率未達成の場合に、不足する障害者数に応じて納付金を納付しなければならない。
- (注)「障害者雇用促進法」とは、「障害者の雇用の促進等に関する法律」のことである。
- 問題146 事例を読んで、福祉事務所のK生活保護現業員(社会福祉士)の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Lさん(28歳)は、両親(父68歳、母66歳)と同居し、両親の基礎年金と父のアルバイト収入により、3人家族で生活している。Lさんは、健康状態に問題があるようには見えないにもかかわらず、仕事をせずに自宅に引き籠もる生活を数年続けている。世帯主である父親が病気で入院し、蓄えも尽き、医療費の支払いも困難になったため、Lさん家族は1か月前から生活保護を受けるようになった。担当のK生活保護現業員は、Lさんに対し、面談を行うなどして就労を促しているが、Lさんは、体調が優れないことを理由に働こうとしない。そこで、K生活保護現業員は、次の段階としてLさんにどのような対応をとるべきか、検討することにした。
- 1 生活保護現業員による指導・指示に従わないことを理由とする保護の停止に向けて、書面で就労を促す。
- 2 Lさんを世帯分離して、保護の必要性の高い父親と母親だけに保護を適用する。
- 3 医療機関での受診を促し、その結果を基にケース診断会議等によりLさんの就労阻害要因を探る。
- 4 早急に仕事に就くという自立活動確認書を作成するようLさんに命じる。
- 5 不就労がこのまま継続すると、稼働能力の不活用により保護の打ち切りが検討されることになる旨を説明し、Lさんに就労を促す。
更生保護制度
- 問題147 保護観察に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 保護観察処分少年の保護観察の期間は、少年の希望を反映して決定される。
- 2 保護観察所の長は、保護観察処分少年について、保護観察を継続する必要がなくなったと認めるときは、保護観察を解除する。
- 3 保護観察所の長は、少年院仮退院者について、少年院に戻して収容する旨の決定をすることができる。
- 4 仮釈放を許された者は、仮釈放の期間満了後、保護観察に付される。
- 5 懲役刑の全部の執行を猶予された者は、被害者の請求により保護観察に付される。
- 問題148 事例を読んで、X保護観察所が行うことができる措置に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
少年院に収容されているMさん(17歳)は、親元に帰住することが難しいため、親元以外への帰住を希望している。X保護観察所はどのような措置をとるか検討した。
- 1 Mさんの少年院入院中に、釈放後の住居を確保することを調整する。
- 2 Mさんの仮退院を許可する。
- 3 Mさんの仮退院時に特別遵守事項を定める。
- 4 Mさんの少年院入院中に、一般遵守事項から住居に関する事項を削除する。
- 5 Mさんの仮退院時に保護観察期間を定める。
- 問題149 更生保護における就労支援に関わる機関・団体に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 保護観察所は、保護観察対象者の補導援護として、必要に応じて職業のあっせんを行っている。
- 2 保護観察対象者は、公共職業安定所(ハローワーク)において、補導援護を受けることが義務化されている。
- 3 公共職業安定所(ハローワーク)は、協力雇用主に対し、保護観察対象者の雇用を命ずることができる。
- 4 保護観察所は、協力雇用主に対し、刑務所出所者のみを雇用することを命ずることができる。
- 5 公共職業安定所(ハローワーク)は、個々の保護観察対象者に対し、求人開拓から就職まで総合的な就労支援を行っている。
- 問題150 「医療観察法」が定める医療観察制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 対象となる行為は、殺人、放火、強盗、強制わいせつ、強制性交等及び傷害等に当たる行為である。
- 2 社会復帰調整官は、各地方裁判所に配属されている。
- 3 入院決定を受けた者に対して医療を実施する指定入院医療機関は、都道府県知事が指定した病院である。
- 4 通院決定がなされた場合、指定通院医療機関による医療を受けることができる期間の上限は10年である。
- 5 地域社会における精神保健観察は、保護観察官と保護司が協働して実施すると規定されている。
- (注)「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
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