第34回(令和3年度)社会福祉士国家試験午後の問題

社会調査の基礎

問題84 社会調査の倫理や個人情報保護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 施設職員を調査対象者にして、福祉サービスの一般的な苦情対応に関する調査を実施する際に、施設職員は調査に協力する義務があると依頼状に明記した。
2 調査者が、研究目的で住民基本台帳から作成した調査対象者の住所リストを、調査終了後に自分の主催する介護予防啓発イベントの案内状の郵送に利用した。
3 質問紙調査の回答の仕方で分からない箇所があるので教えて欲しいという調査対象者からの問合せに、調査対象者全体への公平性に欠けるため説明を控えた。
4 面接調査の音声データから記録を作成する際、調査対象者の名前や面接の中で出てきた人名を、アルファベット順に記号化した。
5 面接調査終了後、調査対象者1名から協力辞退の申出があったため、その調査対象者のデータについて年齢と所属を書き換えてから分析に利用した。
問題85 横断調査と縦断調査に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 同一の調査票を使って、昨年はN県、今年はP県で量的調査を実施することは、パネル調査に当たる。
2 横断調査と縦断調査の違いは、調査地域の広さや調査対象者数などといった調査の規模が異なることによる。
3 パネル調査では、調査を重ねるごとに調査対象者が増加する傾向がある。
4 出生時期を同じくする集団を調査対象にして、複数の時期に調査を行うことは、縦断調査に含まれる。
5 縦断調査のデータ分析は、横断調査に比べて、二つの変数間で原因と結果という因果関係を推論することには適していない。
問題86 質問紙調査に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 インターネット調査は、自計式であるため、調査コストを抑えることができる。
2 留置調査は、他計式であるため、調査対象者以外の者が回答することを回避できる。
3 郵送調査は、他計式であるため、調査対象者の匿名性が確保されにくい。
4 電話調査は、自計式であるため、質問数が多い調査に向いている。
5 訪問面接調査は、自計式であるため、調査者の態度が調査対象者の回答に与える影響を抑制できる。
問題87 調査票の回収後の手続に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 1問も回答されていない状態の調査票であっても、有効回答に含める。
2 調査票の数が非常に多い場合、個別の調査票ごとの誤記入や回答漏れの確認は必ずしも必要ではない。
3 自由回答のデータ化では、事前に用意したコード表に該当するものがない場合、新たにコードを追加することはできない。
4 調査票の中に、それまでの回答から判断して回答が矛盾していると明確に確認できる箇所があっても、調査者は修正を加えることはできない。
5 データ分析をする前に、データに入力の誤り等が含まれていないかを確認するため、予備的に集計しチェックする必要がある。
問題88 事例を読んで、集計結果に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Xデイサービスでは、本日9名の参加者が来所して交流を行い、心身機能の維持のための活動を行った。参加者は、男性が65歳、68歳、72歳の3名であり、女性が65歳、65歳、66歳、67歳、70歳、77歳の6名である。
1 参加者全体の年齢の中央値は65である。
2 男性参加者の年齢の分散は、女性参加者の年齢の分散より大きい。
3 男性参加者と女性参加者の年齢の最小値は異なる。
4 女性参加者の年齢の最頻値は77である。
5 参加者全体の年齢の範囲は12である。
問題89 調査手法としての観察法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 マジックミラー(ワンウェイミラー)を使った観察を行ってはならない。
2 調査者が、調査対象とする集団や地域社会に入り込み、人々と活動や生活を共にしながら、データ収集をすることもある。
3 実験室のような人工的な環境を作り、その中を観察して調査することはしない。
4 調査対象者の生活に関わる日記や写真を質的データとして扱うことはない。
5 客観的データを収集するためには、調査者は調査対象者とオーバーラポールになる必要がある。
問題90 調査手法としての面接法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 面接調査の質問項目が構造化されているほど、調査者に高度な面接能力が必要とされる。
2 グループインタビューでは、調査対象者同士が相互に影響を与えることを防ぐために、調査者は一人ずつの調査対象者に対して順に質問し回答を得る。
3 半構造化面接では質問項目を事前に用意し、いつ、どの順番で質問を行うかを面接中に調査者が判断する。
4 非構造化面接では、予想される調査対象者の回答を「イエス」「ノー」で記入できるシートを作成する。
5 録音データを分析する場合は、調査者が面接中に最も重要と判断した部分を要約して逐語記録を作成する。

相談援助の基盤と専門職

問題91 社会福祉士及び介護福祉士法における社会福祉士と、精神保健福祉士法における精神保健福祉士に関する次の記述のうち、これらの法律に明記されている共通する責務として、正しいものを1つ選びなさい。
1 集団的責任の保持
2 権利擁護の促進
3 多様性の尊重
4 資質向上
5 倫理綱領の遵守
問題92 ソーシャルワークの発展に寄与した代表的な研究者とその理論に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ホリス(Hollis, F.)は、「状況の中の人」という視点で、心理社会的アプローチを提唱した。
2 トール(Towle, C.)は、「ケースワークは死んだ」という論文を発表し、社会問題へ目を向けることを提唱した。
3 パールマン(Perlman, H.)は、社会的要因が心理的要因に従属させられていると指摘し、両者の再統合を提唱した。
4 ロビンソン(Robinson, V.)は、内的な特徴と外的な特徴を統合させて人間を理解することを提唱した。
5 ハミルトン(Hamilton, G.)は、社会科学とのつながりを意識して、「リッチモンドに帰れ」と原点回帰を提唱した。
問題93 「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」(2018年(平成30年)(厚生労働省))と「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」(2017年(平成29年)(厚生労働省))における意思決定支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 認知症の人の意思決定支援では、家族は本人と利害が対立することがあることから、意思決定支援チームの一員に入らないこととされている。
2 認知症の人の意思決定支援では、本人が実際の経験をすると本人の意思が変わることがあるので、体験利用などの提案は控えた方がよいとされている。
3 障害者の意思決定支援では、それに必要な情報の説明は本人が理解できるように工夫して行い、自己決定の尊重に基づくことが基本的原則である。
4 障害者の意思決定支援では、職員等の価値観においては不合理でも、また他者の権利を侵害する場合でも、その選択を実現する支援を行うことが基本的原則である。
5 障害者の意思決定支援では、本人の自己決定や意思確認の前に、本人をよく知る関係者が集まり、本人の意思を推定する支援を行うことが基本的原則である。
問題94 ソーシャルワークの専門職化に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ミラーソン(Millerson, G.)は、職業発展の過程から、ソーシャルワーク専門職が成立するプロセスを提示した。
2 グリーンウッド(Greenwood, E.)は、既に確立している専門職と、ソーシャルワーカーを比較することによって、準専門職の概念を提示した。
3 カー-ソンダース(Carr-Saunders, A.)は、専門職が成立する属性を挙げ、その中でテストによる能力証明の必要性を主張した。
4 エツィオーニ(Etzioni, A.)は、専門職が成立する属性を挙げ、その中で専門職的権威の必要性を主張した。
5 フレックスナー(Flexner, A.)は、専門職が成立する属性を挙げ、ソーシャルワークがいまだ専門職とはいえないことを主張した。
問題95 事例を読んで、Y病院のC医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が行う介入レベルごとのソーシャルワーク実践として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Q政令指定都市の拠点病院であるY病院には、患者サポートセンターがあり、そこには複数の社会福祉士が配置されている。患者サポートセンターでは、ここ数年、身寄りのない患者の退院支援に取り組んできたが、その数は増加傾向にある。そこでC医療ソーシャルワーカーは、増加傾向にあるこうした患者に対する総合的かつ包括的な援助活動や、支援体制の構築に向けた活動を行うこととした。
1 ミクロレベルの介入として、民生委員児童委員協議会に、身寄りのない患者が増加している問題を訴える。
2 ミクロレベルの介入として、Q市と福祉事務所との総合的な連携の在り方について協議する。
3 メゾレベルの介入として、身寄りのない患者との詳細なアセスメント面接を行う。
4 メゾレベルの介入として、病院内に対策検討委員会を設置することを提案する。
5 メゾレベルの介入として、退院の際、個別に日常生活自立支援事業の活用を提案する。
問題96 社会福祉士が参加する多職種等によって形成されるチーム(以下「多職種チーム」という。)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 多職種チームを構成する他の専門職の文化や価値を理解する。
2 多職種チームのメンバーには、利用者を含めてはならない。
3 多職種チームでは、メンバーが同一の施設や機関に所属している必要がある。
4 多職種チームを機能させるために、社会福祉士がリーダーとなりヒエラルヒーを構成する。
5 多職種チームでは、チームの方針・目標の設定よりも、社会福祉士としての独自の方針や目標設定を優先する。
※ 問題96は、当日配付した問題訂正の内容を反映しています。
問題97 事例を読んで、生活困窮者を対象とした自立相談支援機関で相談に当たっているD相談支援員(社会福祉士)のこの段階における対応として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Eさん(45歳、女性)から相談窓口に、「毎日不安でたまらない。どうしたらよいか」という電話があり、その結果、来所面接となった。Eさんは独身で、兄弟はおらず、両親を15年前に相次いで亡くしている。高校卒業後、様々なパートタイムの勤務をしたが長続きはせず、現在は失業中である。軽度のうつ病のため通院しており、主治医からは時間をかけて治療していきましょうと言われている。両親の没後、古い家を相続して住んではいるが、一時、収入があると、物を購入することがやめられず、家中が物で溢{あふ}れている。既に、手持ちの資金が底をついており、就労を考えたこともあるが、勤務先でのつらい体験が思い浮かび、何事をするにも自信が持てない。また、友人など周囲に相談できる人はほとんどおらず、孤立感を感じている。
1 生活困窮者一時生活支援事業の利用を勧める。
2 生活福祉資金貸付制度の利用を勧める。
3 債務処理に詳しい司法の専門家と連携を取る。
4 Eさんの症状を把握するため、Eさんの了解を得て、通院先の病院と連携を取る。
5 地域での孤立感を軽減するため積極的にボランティア活動へ参加することを提案する。

相談援助の理論と方法

問題98 システム理論に基づくソーシャルワークの対象の捉え方に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 家族の様々な問題を家族成員同士の相互関連性から捉える。
2 個人の考え方やニーズ、能力を固定的に捉える。
3 個人や家族、地域等を相互に影響し合う事象として連続的に捉える。
4 問題解決能力を個人の生得的な力と捉える。
5 生活問題の原因を個人と環境のどちらかに特定する。
問題99 次の記述のうち、ジャーメイン(Germain, C.)によるエコロジカルアプローチの特徴として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 空間という場や時間の流れが、人々の価値観やライフスタイルに影響すると捉える。
2 モデルとなる他者の観察やロールプレイを用いる。
3 クライエントのパーソナリティの治療改良とその原因となる社会環境の改善を目的とする。
4 問題の原因を追求するよりもクライエントの解決イメージを重視する。
5 認知のゆがみを改善することで、感情や行動を変化させ、問題解決を図る。
問題100 ソーシャルワークのアプローチに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ソロモン(Solomon, B.)のエンパワメントアプローチは、人の自我機能に着目し、自己対処できないほどの問題に直面しバランスを崩した状態を危機と捉える。
2 キャプラン(Caplan, G.)の危機介入アプローチは、クライエントが社会から疎外され、抑圧され、力を奪われていく構造に目を向ける。
3 ホワイト(White, M.)とエプストン(Epston, D.)のナラティヴアプローチは、クライエントの生活史や語り、経験の解釈などに関心を寄せ、希望や意欲など、肯定的側面に着目する。
4 リード(Reid, W.)とエプスタイン(Epstein, L.)の課題中心アプローチは、クライエントが解決を望む問題を吟味し、計画的に取り組む短期支援である。
5 サリービー(Saleebey, D.)のストレングスアプローチは、クライエントの否定的な問題が浸み込んでいるドミナントストーリーに焦点を当て家族療法を行う。
問題101 事例を読んで、Z障害者支援施設のF生活支援員(社会福祉士)が行ったこの段階におけるクライエントへの対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Gさん(58歳)は半年前に脳梗塞を起こし左半身に障害がある。現在、社会復帰を目指しZ障害者支援施設に入所している。家族は夫だけだったがその夫は10日前に病死した。葬儀が終わり戻ってきたGさんは意気消沈し精神的に不安定な状態だった。さらに不眠も続き食事もとれなくなっていた。そこでF生活支援員はGさんの部屋を訪問した。するとGさんは、「退所後の夫との生活を楽しみに頑張ってきたのに、これから何を目標に生きていけばいいのか」と涙をこらえながら話してくれた。
1 不眠は健康に悪いので日中の活動量を増やすように指導する。
2 悲しみが溢{あふ}れるときには、気持ちを抑えることはせず、泣いてもいいと伝える。
3 夫が亡くなった現実を直視し、落胆しすぎずに頑張るように励ます。
4 もう少し我慢し耐えていれば、きっと時間が解決してくれると伝える。
5 今までのリハビリの努力を認め、退所後に描いていた生活の一端をかなえるためにも、リハビリに集中するように伝える。
問題102 相談援助の過程におけるインテーク面接に関する次の記述のうち、ソーシャルワーカーの対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 クライエントの課題と分析を基に援助計画の作成を行う。
2 クライエントが解決したいと望んでいる課題について確認する。
3 クライエントの課題解決に有効な社会資源を活用する。
4 クライエントへの援助が計画どおりに行われているか確認する。
5 クライエントと共に課題解決のプロセスと結果について確認する。
問題103 事例を読んで、U病院のH医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)のクライエントへの対応として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Jさん(26歳、女性)の3歳になる娘は、先天性の肺疾患でU病院に入院中であったが、在宅療養に切り替えることになった。退院に際して、医師はJさんに、「ご自宅で長時間のケアをご家族が担うことになりますので福祉サービスの利用が必要になると思います」と伝え、相談室に行くように勧めた。Jさんは、「今のところ福祉サービスの利用は必要ないと思います」と返答したが、数日後、担当看護師に促されて相談室を訪れた。Jさんは、H医療ソーシャルワーカーに、「自分の子なので自分で看たいと思っています。誰にも任せたくないので、福祉サービスを利用するつもりはありません」と、うつむきながら告げた。
1 Jさんには福祉サービスの利用希望がないので、支援の必要がないと判断する。
2 Jさんに医師の指示なので面接する必要があると伝える。
3 Jさんが相談室に来たことをねぎらい、退院後の生活を一緒に考えたいと伝える。
4 Jさんにカウンセラーからカウンセリングを受けるように勧める。
5 Jさんに自分の役割や相談室の機能などについて説明する。
問題104 相談援助の過程における介入(インターベンション)に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい(ただし、緊急的介入は除く)。
1 介入は、ソーシャルワーカーと医療・福祉関係者との契約によって開始される。
2 介入では、ケース会議などを通じて社会資源の活用や開発を図る。
3 介入は、クライエントや関係者とのパートナーシップを重視して進められる。
4 クライエントのパーソナリティの変容を促す方法は、間接的な介入方法である。
5 コーズアドボカシーは、直接的な介入方法である。
問題105 相談援助の過程におけるフォローアップに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 相談援助が終結したクライエントの状況を調査・確認する段階である。
2 問題解決のプロセスを評価し、残された課題を確認する段階である。
3 クライエントの生活上のニーズを明らかにする段階である。
4 アセスメントの結果を踏まえ、援助の具体的な方法を選択する段階である。
5 クライエントとの信頼関係を形成する段階である。
問題106 事例を読んで、V児童養護施設のK児童指導員(社会福祉士)による退所時の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Lさん(18歳)は5歳の時に父親が亡くなり、その後、母親と二人で暮らしていた。母親は生活に追われ、Lさんへのネグレクトが継続したことから、児童相談所が介入し、翌年、LさんはV児童養護施設に入所した。そして、Lさんが10歳の時に母親は再婚し、相手の子を出産した後も、Lさんを引き取ることなく疎遠になった。Lさんは今春、高校を卒業することになり、V児童養護施設の退所者が多く就職している事業所に就職が決まったため、施設を退所することになった。退所に際して、LさんにK児童指導員が面接を行った。
1 退所後は人に頼ることなく、自ら問題を解決するように伝える。
2 退所後に相談があるときは、児童相談所に行くように伝える。
3 職場での自律的な人間関係を尊重するため、施設から職場には連絡を取らないと伝える。
4 施設が定期的に行っている交流会への参加を促す。
5 母親のことは、あてにせず関わらないように伝える。
問題107 事例検討会進行の際の留意点に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 事例提供者の心理状態や気持ちにも配慮しながら進行する。
2 検討の際、参加者の個人的な体験に基づいて検討するよう促す。
3 終了時刻が近づいてきても、検討が熱心に続いているのであれば、終了時刻を気にせず検討を継続する。
4 検討の論点のずれの修正は、参加者に委ねる。
5 経験の長さと発言の長さが比例するように話を振り、時間配分する。
問題108 相談援助の面接を展開するための技法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 言い換えとは、クライエントの語りに意識を集中させ、感情を感じながら積極的に耳を傾けることである。
2 感情の反射とは、クライエントが答える内容を限定せずに自由に述べられるように問い掛けることである。
3 傾聴とは、クライエントの感情に焦点を当て、クライエントが語った感情をそのまま返していくことである。
4 焦点化とは、複雑に絡み合う多くの現実の要素をクライエントと一緒に点検して整理することである。
5 開かれた質問とは、クライエントの話した事実や感情を簡潔に別の言葉に置き換えて伝え返すことである。
問題109 ケアマネジメントの意義や目的に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 複数のサービス事業者が支援を行うため、ケアマネジャーのモニタリング業務が省略できる。
2 幅広い生活課題に対応するため、身体面、精神面だけでなく、住環境や家族関係など多面的にアセスメントを行う。
3 住み慣れた地域で長く生活が続けられるようにするため、身近な資源を活用・調整する。
4 家族の望みどおりのケアプランが作成されるため、利用者の満足度が高くなる。
5 標準化されたケアプランを選択すればよいため、利用者の負担軽減になる。
問題110 相談援助における社会資源に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 フォーマルな社会資源の提供主体には、社会福祉法人も含まれる。
2 クライエント本人の家族などは、活用する社会資源に含まれない。
3 インフォーマルな社会資源はフォーマルな社会資源に比べ、クライエントの個別的な状況に対しての融通性に乏しい。
4 クライエント自身の問題解決能力を高めるために、社会資源の活用を控える。
5 社会資源の活用においては、インフォーマルな社会資源の活用を優先する。
問題111 グループワークの展開過程におけるソーシャルワーカーの対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 準備期では、情報収集のため、メンバーを一つのグループとして集め、活動を開始する。
2 開始期では、援助の枠組みを明確にする必要がないので、メンバーの行動に対して制限を加えることは避ける。
3 作業期では、メンバーを同化させ、メンバー同士の対立や葛藤が生じないように援助する。
4 作業期では、メンバーがソーシャルワーカーの指示に従って、目標達成に向けて課題に取り組んでいけるよう促す。
5 終結期では、メンバーがグループ体験を振り返り、感情を分かち合えるように援助する。
問題112 グループワークにおけるグループの相互作用に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 グループのメンバー同士の相互作用が促進されるにつれ、グループ規範は消滅していく。
2 サブグループが構成されると、サブグループ内のメンバー同士の相互作用は減少する。
3 グループのメンバー同士の関係性が固定的であるほど、グループの相互援助システムは形成されやすい。
4 同調圧力によって、メンバー同士の自由な相互作用が促進される。
5 グループの凝集性が高まると、メンバーのグループへの所属意識は強くなる。
問題113 事例を読んで、R市役所のM婦人相談員(社会福祉士)による部下のA婦人相談員(社会福祉士)に対するスーパービジョンとして、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
R市役所で働き始めて2年目のA婦人相談員は、ある日、Bさん(19歳、女性)からの相談を受けた。Bさんは親からの金銭的搾取と暴言が耐えられず、1年前に家出をし、繁華街の飲食店で仕事をしてきた。しかし、先月、勤め先が倒産して仕事を失い、生活に困窮しているという。また、同居人からの暴力があり、家に居づらく、気持ちが沈み、以前のように活動的に生活できないという。A婦人相談員は、Bさんからの相談内容が多岐にわたり、援助をどのように進めていくべきか決めるのが難しいと感じていた。そこで、職場のM婦人相談員にスーパービジョンを求めた。
1 A婦人相談員にもっと気楽に仕事をするよう助言する。
2 連携するべき関係機関を共に確認し、A婦人相談員が連絡するよう促す。
3 Bさんのアセスメントを行い、援助内容を決めて、A婦人相談員に伝える。
4 A婦人相談員の業務遂行が組織の指針に沿ったものかについて、専門家に相談するよう提案する。
5 A婦人相談員による実際の面接場面やアセスメントを、ジェノグラム等の記載や記録を通し、共に振り返る。
問題114 ソーシャルワークの記録に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 時間的順序に沿って過程を細かく記述する文体は、要約体である。
2 クライエントとのインテーク面接の動画を撮影して得た情報を記す様式は、モニタリングシート(経過観察用紙)である。
3 ソーシャルワーカーがクライエントに説明した言葉をそのまま記述する文体は、説明体である。
4 ソーシャルワーカーとクライエントとの相互作用を詳細に記述する文体は、過程叙述体である。
5 ソーシャルワーカーの教育訓練のために記すのが、月報や年報などの業務管理記録である。
問題115 次の記述のうち、個人情報の保護に関する法律の内容として、正しいものを1つ選びなさい。
1 死亡した個人に関する個人情報も保護の対象とする。
2 個人情報取扱事業者の権利利益を保護することを目的として、個人情報取扱事業者の遵守すべき義務等を定めている。
3 個人情報取扱事業者が第三者に個人データを提供するときは、本人の生命の保護のために必要な場合でも、常に本人の同意を得なければならない。
4 個人情報取扱事業者は、個人情報の取扱いに関する苦情の解決について、地方公共団体に委ねなければならない。
5 匿名加工情報とは、特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報であって、当該個人情報を復元できないようにしたものである。
問題116 バイステック(Biestek, F.)の援助関係の原則に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 意図的な感情表出の原則とは、クライエントのありのままの感情を大切にし、その表出を促すことである。
2 統制された情緒的関与の原則とは、クライエント自身が自らの情緒的混乱をコントロールできるようにすることである。
3 個別化の原則とは、他のクライエントと比較しながら、クライエントの置かれている状況を理解することである。
4 受容の原則とは、ソーシャルワーカーがクライエントに受け入れてもらえるように、誠実に働き掛けることである。
5 非審判的態度の原則とは、判断能力が不十分なクライエントを非難することなく、ソーシャルワーカーがクライエントの代わりに意思決定を行うことである。
問題117 事例を読んで、W地域包括支援センターのC社会福祉士のこの時点での対応に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
W地域包括支援センターのC社会福祉士は、日常生活圏域の「協議体」の終了後、一緒に参加していたD民生委員から、1年ほど前に妻を亡くして一人暮らしのEさん(85歳)について相談を受けた。D民生委員はEさんをふれあいサロンに誘うなど気に掛けているが、Eさんは外出を嫌がっている。最近もD民生委員が自宅を訪ねると、床一面ゴミだらけで悪臭がし、ねずみが動くのも見えた。Eさんは顔色も悪く足を引きずりながら出てきて、「俺のことは放っておいてくれ」とつぶやいたという。
1 D民生委員に、民生委員児童委員協議会の定例会で対応策を協議して決めるようアドバイスする。
2 D民生委員が誘っているふれあいサロンに参加するよう、C社会福祉士がEさんを説得する。
3 D民生委員も含めて多機関でEさんへの対応について検討するため、地域ケア会議の開催準備をする。
4 D民生委員に同行してEさん宅を訪ね、本人の健康に気遣いながら生活課題を把握する。
5 D民生委員も参加する協議体で、Eさんに対応できる新しいサービスを開発する。
問題118 事例を読んで、X病院に勤務するF医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)のこの段階における対応として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Gさん(55歳)は3年前に妻と離婚後、市内で一人暮らしをしていた。Gさんは糖尿病で、X病院に通院してきたが、仕事が忙しく、受診状況は良好ではなかった。ある日、Gさんは街中で倒れ、救急搬送されそのままX病院に入院となった。Gさんの糖尿病はかなり進行しており、主治医から、今後は週三日の透析治療を受ける必要があり、足指を切断する可能性もあることを告げられた。Gさんは、「どうしてこんな目に遭わなければならないのか」とつぶやいた。主治医は、相談室のF医療ソーシャルワーカーに、Gさんの生活相談に乗ってほしいと依頼した。F医療ソーシャルワーカーは、Gさんの思いを受け止めた上で、相談に乗った。
1 相談室の役割を説明し、引き続きの支援の中で活用できる制度やサービスの紹介をしていきたいと伝える。
2 今後の病状の進展によっては、足指の切断も必要ない場合があるので、諦めずに希望を持ってほしいと伝える。
3 今後の暮らしの変化について、収入面や就労継続等の生活課題を整理する。
4 今までの仕事優先の生活を改めるよう指導する。
5 同じような状況にあった人のことを例に挙げ、Gさんも必ず乗り越えられると励ます。

福祉サービスの組織と経営

問題119 特定非営利活動法人に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 内閣府の2021年(令和3年)3月31日現在の統計によると、特定非営利活動法人が行う事業のうち、最も多いのは、「社会教育の推進を図る活動」である。
2 特定非営利活動法人の設立認証等を行う所轄庁は、内閣府である。
3 特定非営利活動法人の設立に当たっては、社会福祉事業を実施するために必要な財産を保有していなければならない。
4 特定非営利活動法人は、地方公共団体の議会の議員候補者を推薦したり、支持したりする目的で設立することはできない。
5 特定非営利活動法人の監事は理事の中から選任される。
問題120 組織運営の特質と理論に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 科学的管理法とは、人間関係に着目し、それを科学的に解明しようとしたものである。
2 ホーソン実験では、物理的作業条件よりも人間関係の側面が生産性に影響を与えることが明らかにされた。
3 マトリックス型組織では、「命令統一性の原則」を貫くことが容易である。
4 コンティンジェンシー理論の特徴は、環境が変動したとしても唯一最善の不変的な組織タイプがあることを明らかにした点にある。
5 官僚制理論の特徴として、階層がないフラットな構造を有する点が挙げられる。
問題121 リーダーシップに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 リーダーの個性に着目した特性理論は、「リーダーを務める人は、もともと他の人と資質・人格に差がない」という前提に立つ理論である。
2 ハーシー(Hersey, P.)とブランチャード(Blanchard, K.)は、部下の能力や成熟度の度合いが違っても、リーダーシップのスタイルを変えるべきではないと指摘している。
3 パス・ゴール理論では、リーダーはメンバーに明確な目標(ゴール)へのパス(経路)を明示せず、メンバー自身に考えさせることが必要としている。
4 サーバント・リーダーシップは、リーダーがカリスマとなってフォロワーに奉仕させるリーダーシップである。
5 シェアード・リーダーシップは、それぞれのメンバーが、必要に応じてリーダーのように振る舞って他のメンバーに影響を与えるリーダーシップである。
問題122 福祉サービス提供組織における人材マネジメントに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ワークエンゲージメントとは、仕事に対して過度のエネルギーを費やして疲弊してしまう状態を指す。
2 バーンアウトとは、活力・熱意・没頭に特徴づけられる仕事に関連するポジティブな心理状態を指す。
3 目標管理制度とは、職員個人の能力に応じた目標と組織目標を関連づけ、組織の業績向上と職員の自己実現を目指すことである。
4 コンピテンシーとは、職務や役割において低い成果や業績につながるような行動特性を指す。
5 福祉サービスは多様なニーズを持った人々を支援する複雑な業務であることから、キャリアパスの構築は必要ない。
問題123 社会福祉法人の財務管理・会計管理に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 クラウドファンディングとは、不特定多数から通常インターネット経由で資金調達することを指す。
2 社会福祉充実残額が生じた場合は地域福祉計画を策定する必要がある。
3 貸借対照表の借方(左側)は資金使途を示し、純資産が計上される。
4 土地や建物は貸借対照表の流動資産に計上される。
5 負債とは返済義務のない財源である。
問題124 リスクマネジメントに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 1件の重大事故の背景には、重大事故に至らなかった29件の軽微な事故が隠れており、その背後には事故寸前だった300件の危険な状態が隠れているのを、リーズンの軌道モデルという。
2 リスクマネジメントは、厳しい管理体制を敷けば事故はなくせるものという前提に立つ。
3 職員要因のリスクコントロールをするためには、サービスの質の維持・向上を図るための業務や作業の標準化が必要である。
4 リスクマネジメントは、危機管理体制の確立よりも個別リスクへの対応を基本とする。
5 リスクコントロールとリスクファイナンスのうち、リスクコントロールの例として損害賠償保険の活用が挙げられる。
問題125 職場のメンタルヘルスに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 パワーハラスメントの典型的な例には、優越的な関係を背景として行われた、身体的・精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大・過小な要求などが含まれる。
2 時間外・休日労働について、月200時間を超えなければ、事業者には健康障害を予防するための医師による面接指導を行う義務はない。
3 全ての事業場には産業医を置かなければならない。
4 常時50人以上の労働者を使用する事業所を複数運営する組織であっても、衛生委員会は本部(本社)に設置すればよい。
5 「ストレスチェック」の結果は、事業者から労働者に対して通知することが義務づけられている。

高齢者に対する支援と介護保険制度

問題126 「令和3年版高齢社会白書」(内閣府)で示された日本の高齢者の生活実態などに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 高齢者の就業率を年齢階級別にみると、65~69歳については、2010年(平成22年)から2020年(令和2年)までの間、継続して下落している。
2 2016年(平成28年)時点での健康寿命は、2010年(平成22年)と比べて男女共に延びている。
3 2020年(令和2年)における75歳以上の運転免許保有者10万人当たりの死亡事故件数を2010年(平成22年)と比較すると、およそ2倍に増加している。
4 60歳以上の人に家族以外の親しい友人がいるか尋ねたところ、「いる」と回答した割合は、日本・アメリカ・ドイツ・スウェーデンの中で、日本が最も高い。
5 60歳以上の人に新型コロナウイルス感染症の拡大により生活にどのような影響があったか尋ねたところ、「友人・知人や近所付き合いが減った」と回答した割合は、およそ1割であった。
問題127 高齢者保健福祉施策の変遷に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 高齢者介護・自立支援システム研究会「新たな高齢者介護システムの構築を目指して」(1994年(平成6年))において、措置制度による新たな介護システムの創設が提言された。
2 介護保険法(1997年(平成9年))が制定され、高齢者のニーズに応じた総合的なサービス利用を支援するため、居宅介護支援(ケアマネジメント)が定められた。
3 高齢者介護研究会「2015年の高齢者介護~高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて~」(2003年(平成15年))において、「第2次ベビーブーム世代」が高齢者になる時期を念頭に、既存の介護保険施設の拡充が提言された。
4 「医療介護総合確保法」(2014年(平成26年))において、地域包括ケアシステムが「全国一律に医療、保健予防、社会福祉及び自立支援施策が包括的に確保される体制」と定義づけられた。
5 「認知症施策推進大綱」(2019年(令和元年))において、認知症の人の事故を補償する給付を現行の介護保険制度の中で創設することの必要性が明示された。
問題128 事例を読んで、Y特別養護老人ホームに入所している高齢者への介護に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Hさん(83歳)は、要介護5で、ユニット型個室のY特別養護老人ホームに入所しており、ほぼ日常生活全般にわたり介助を必要とする。自発的な発話が聞かれることは少なく、簡単な質問や指示に対してもほとんど反応がない。最近、かゆみのためかベッド上で自分の胸や脇の下あたりをかきむしることが続いている。感染性のものであるかも含めて、翌日に嘱託医が診察を行う予定である。介護・看護職員と生活相談員(社会福祉士)は、今後の対応を話し合った。
1 Hさんの気分転換を図るために、他ユニットの利用者との交流を増やす。
2 入浴や清拭で皮膚の清潔を保ち、適切な爪の長さに整える。
3 他の利用者が以前に使用していたかゆみ止め薬を塗布する。
4 皮膚を保護するために、ベッド柵にHさんの両腕を固定する。
5 これまでの皮膚の状態、かきむしりの様子などを、嘱託医に情報提供できるよう書面にまとめておく。
問題129 事例を読んで、Z地域包括支援センターのJ社会福祉士による妻への助言として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Kさん(74歳)は、レビー小体型認知症であるが、日常生活は自立している。妻(68歳)と二人暮らしである。1か月くらい前から、部屋の隅を見て、「虫が群れをなしている」とおびえるものの、妻は、自分には見えないし、急に動こうとするので対応に困り、Z地域包括支援センターを訪れた。担当したJ社会福祉士は、レビー小体型認知症の症状を説明した上で、以下の助言を行った。
1 「パーキンソン症状により転びやすいので、気を付けてください」
2 「間接照明を使った部屋を利用するようにしてください」
3 「細かい模様のあるカーテンを目に付くところに配置してください」
4 「虫はいないとはっきり説明して、Kさんを安心させてください」
5 「虫が見えることを否定せず、Kさんの不安を受け止めてください」
問題130 終末期ケアに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ホスピスでは、看取り後の家族らが抱える悲嘆を緩和することを終末期ケアにおける支援の中心とする。
2 デーケン(Deeken, A.)が提唱した死への準備教育(デス・エデュケーション)とは、症状の緩和、特に痛みの緩和、安楽をもたらすチームケアを行うための介護スタッフ教育のことである。
3 アドバンス・ケア・プランニング(ACP)では、本人が医療・ケアチームと十分な話合いを行い、本人による意思決定を尊重する。
4 グリーフケアは、終末期を迎えた人に対して、積極的な延命治療を行わず、できる限り自然な死を迎えられるようにすることである。
5 緩和ケアとは、可能な限りの延命治療を行った上で人生の最期を迎えられるようにするケアである。
問題131 介護保険制度における都道府県の義務に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 都道府県は、6年を1期とする介護保険事業計画を策定するに当たって、各年度の地域支援事業の見込量の算出を行う。
2 都道府県知事は、介護サービス事業者から介護サービス情報の報告を受けた後、その報告の内容を公表する。
3 都道府県は、老人福祉圏域ごとに地域包括支援センターを設置する。
4 都道府県は、介護サービス事業者を代表する委員、介護の専門職を代表する委員、医療の専門職を代表する委員で組織される介護保険審査会を設置する。
5 都道府県は、要介護者及び要支援者に対し、介護保険法の定めるところにより、保健福祉事業を行う。
問題132 介護保険制度の指定訪問介護事業所(共生型居宅サービスを除く)の従事者に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 訪問介護員として従事する者に対しては資格取得や研修修了等の要件は課されておらず、業務を遂行する上での最低限の技術の習得が条件とされている。
2 訪問介護員は、常に利用者の心身の状況やその置かれている環境等の的確な把握に努め、利用者又はその家族に対し、適切な相談及び助言を行う。
3 訪問介護員が入浴や清拭の支援を行う場合、利用者の主治医の指示に基づいて介護を行うことが義務づけられている。
4 サービス提供責任者は、訪問介護員に対して利用者の状況についての情報を伝達し、具体的な援助目標や援助内容を指示する。
5 サービス提供責任者は、多様な事業者等から総合的に提供される介護サービスの内容などを記載した居宅サービス計画を作成する。
問題133 事例を読んで、L社会福祉士が活用を検討する施策や事業として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
L社会福祉士は、営利法人が経営するサービス付き高齢者向け住宅の職員として勤務し、安否確認や生活相談サービスを担当している。最近は介護サービスを利用する認知症高齢者の入居も増え、その家族等から高齢者の支援方法やサービス内容について様々な要望や質問が寄せられることが多くなってきた。
ある日、L社会福祉士は法人の取締役から、「ボランティアなど外部の人が入居者の相談に応じて疑問や不満・不安の解消を図る仕組みが必要だ」と指示を受けた。そこで、L社会福祉士は、まず既存の公的施策・事業の活用を検討することにした。
1 包括的支援事業における認知症地域支援・ケア向上事業
2 福祉サービス第三者評価事業
3 介護サービス相談員派遣等事業(旧介護相談員派遣等事業)
4 包括的支援事業における権利擁護業務
5 福祉サービス利用援助事業
問題134 事例を読んで、M相談員(社会福祉士)がAさんの娘に説明をした入所施設について、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
S市に住むAさん(75歳)は、大手企業の管理職として仕事をしていたが、過労が原因で60歳の時に脳梗塞を起こし、緊急入院した。幸い一命は取り留め、退院後はリハビリテーションに努めたものの、右半身に麻痺{まひ}が残り、要介護4の状態となった。Aさんの介護は長年、主に妻が担い、必要に応じて介護支援専門員と相談し、短期入所生活介護や訪問介護などのサービスを利用していた。しかし、1か月前に長年連れ添った妻が亡くなり、その後は娘が遠距離介護をしていたが、Aさんが、「施設に入所し、そこで残りの人生を全うしたい」と希望したので、娘はS市介護保険課のM相談員に相談した。そこで、M相談員は、S市の「入所に関する指針」等を参考にしながら、Aさんに最も適した入所施設について、娘に説明をした。
1 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
2 介護老人保健施設
3 介護医療院
4 養護老人ホーム
5 軽費老人ホーム
問題135 「バリアフリー法」に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 公共交通や建築物等の施設設置管理者等は、2020年(令和2年)の改正により、法の施行から3年以内に移動等円滑化基準に適合するよう、既存施設の改修等を行わなければならなくなった。
2 公共用通路の出入口は、移動等円滑化基準において、その幅を60cm以上としなければならない。
3 公共交通事業者等は、その職員に対して移動等円滑化を図るために必要な教育訓練を行うよう努めなければならない。
4 厚生労働大臣は、旅客施設を中心とする地区や高齢者等が利用する施設が集まった地区について、移動等円滑化基本構想を作成しなければならない。
5 移動等円滑化基本構想に位置づけられた事業の実施状況等の調査・分析や評価は、おおむね10年ごとに行わなければならない。

児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度

問題136 事例を読んで、Bスクールソーシャルワーカー(社会福祉士)によるこの時点での対応として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Bスクールソーシャルワーカーは、C君(小学6年生)の学級担任のD教師から相談を受けた。C君は、母親が病気で動けないため、母親の手伝いや2歳の妹の世話をしており、学校を休むことが多いという。Bスクールソーシャルワーカーが登校してきたC君と二人で話すと、父親は仕事が忙しく、家族と過ごす時間が少ないこと、C君は父親から、家庭内のことは誰にも話さないようにと言われていることが分かった。C君は、「学校には来たいけれど、母や妹のことが心配だ」と話した。
1 C君に、このまま家族の犠牲になっていては、将来に影響すると話す。
2 保護者に対し、学校を休みがちで心配だと伝え、家庭訪問を打診する。
3 関係機関によるケース会議が必要であることを校長に報告する。
4 乳児家庭全戸訪問事業として家庭訪問を行う。
5 妹を一時保護する。
問題137 次の記述のうち、児童福祉法に定められた事業の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 児童発達支援は、未就学の児童とその保護者を対象に、「子育てひろば」を実施する取組である。
2 放課後等デイサービスは、小学校に通う児童を対象に、放課後、小学校の空き教室や児童館等の公共施設において「学童保育」を実施する取組である。
3 保育所等訪問支援は、保育所等に入所している健診未受診の乳幼児を対象に、保健師が保育所等を訪問する取組である。
4 児童自立生活援助事業は、「自立援助ホーム」における相談その他の日常生活上の援助及び生活指導並びに就業の支援を行う取組である。
5 子育て短期支援事業は、出産直後の子育て家庭を対象に、居宅を訪問して家事支援等を行う取組である。
問題138 次の記述のうち、2019年度(令和元年度)の児童相談所における児童虐待相談対応件数(「福祉行政報告例」(厚生労働省))について、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 虐待相談対応件数は、5年前と比べて減少している。
2 心理的虐待は、5年前と比べて減少している。
3 警察等からの虐待通告は、5年前と比べて増加している。
4 相談種別で件数をみると、ネグレクトの割合が最も高い。
5 相談の経路(通告者)は、家族・親戚からの割合が最も高い。
問題139 事例を読んで、T市母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)のE相談員(社会福祉士)の支援に関する次の記述のうち、この段階における対応として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
若年妊婦等支援事業の担当者であるE相談員は、お腹の大きいFさん(19歳)から相談を受けた。Fさんは、両親との関係が悪く友人宅を転々としており、「妊娠していると思うが、交際相手とは別れてしまい、頼れる人はいない」「自分はどうしたらよいか分からない」「子どもを産んで育てる自信がない」「仕事もしておらず、経済的にも苦しい」と語った。
1 緊急一時的な居場所として宿泊施設等の利用を提案する。
2 出産や子育てには両親の手助けが必要であり、まずは家に戻るよう促す。
3 母親になる自覚を持つよう促す。
4 出産費用の捻出が求められるため就労支援を図る。
5 産科受診の同行支援ができることを伝える。
問題140 児童養護施設入所児童の家庭環境調整に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 家庭環境調整は、児童の家庭の状況に応じ親子関係の再構築などが図られるように行わなければならない。
2 児童が施設入所に至った理由の説明は、児童を精神的に追い詰めることになるので行わないこととされている。
3 児童にとって親は唯一無二の存在であり、児童養護施設には親との面会・交流を行うことが義務づけられている。
4 家庭支援専門相談員が児童の家庭復帰の判断とその決定を行う。
5 保護者の虐待で施設入所した児童を家庭復帰させた場合には、保護者の主体性を重んじ、児童相談所は継続的な指導は行わないこととされている。
問題141 事例を読んで、N県児童相談所のG児童福祉司(社会福祉士)が考えるHちゃんの支援方針として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Hちゃん(1歳半)は、ネグレクトによりU乳児院に入所している。Hちゃんの母Jさん(25歳)は現在新しいパートナーと二人で暮らしているが、U乳児院によると、HちゃんはJさんと面会しても全く反応がなかったという。G児童福祉司は何度かJさんと面談し、今後の養育や家庭引取りに向け話合いをしてきた。しかし、JさんはHちゃんを養育する意思はないとはっきり伝えてきた。その後、Jさんは全く面会せず、現在は連絡もなかなかつかない状況である。
1 集団生活の一貫性を保障するため、児童養護施設に措置変更をする。
2 家庭と同様の養育環境を保障するため、里親に委託する。
3 JさんとHちゃんの愛着関係を見極めるため、措置を継続する。
4 Jさんに母親として自覚してもらうため、家庭復帰する。
5 愛着関係不全からの回復を図るため、福祉型障害児入所施設に措置変更をする。
問題142 児童相談所の一時保護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 一時保護する場合には親権者の同意が必要である。
2 一時保護は児童相談所に設置されている一時保護所に限って行う。
3 親権者の意に反して2か月を超える一時保護を実施するためには、児童福祉審議会の承認を得なければならない。
4 都道府県知事は、一時保護所の福祉サービス第三者評価を行わなければならない。
5 外出、通学、通信、面会に関する制限は、子どもの安全の確保が図られ、かつ一時保護の目的が達成できる範囲で必要最小限とする。

就労支援サービス

問題143 日本国憲法の勤労などに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 障害者は、これを酷使してはならないと明記している。
2 何人も、公共の福祉に反しない限り、職業選択の自由を有すると明記している。
3 男女同一賃金の原則を明記している。
4 週40時間労働の原則を明記している。
5 勤労者は団体行動をしてはならないと明記している。
問題144 「障害者総合支援法」の障害者の就労支援などに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 就労移行支援事業では、利用者が就職できるまで支援を提供するため、利用期間に関する定めはない。
2 就労継続支援A型事業では、雇用契約を締結した利用者については最低賃金法が適用される。
3 就労継続支援A型事業の利用者が一般就労に移行することはできない。
4 就労継続支援B型事業の利用者が一般就労に移行する場合には、就労移行支援事業の利用を経なければならない。
5 就労継続支援B型事業は、利用者に支払える平均工賃が月額20,000円を上回ることが事業認可の条件となっている。
問題145 「求職者支援法」に基づく求職者支援制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 求職者支援制度では、雇用保険の被保険者は対象としていない。
2 求職者支援制度の申込みは福祉事務所で行わなければならない。
3 求職者支援制度では、月20万円の訓練受講手当の支給を受けることができる。
4 求職者支援制度は1990年代初めに若年者への失業対策として創設された。
5 求職者支援制度の対象となる職業訓練は、長期的な就業安定を目的とするために期間が設けられていない。
問題146 事例を読んで、P市福祉事務所における就労支援の進め方について、K生活保護現業員(社会福祉士)の行動として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Lさん(40歳)は、病気により離職し、生活が困窮し生活保護を受給している。現在、体調は回復し、医師からも軽めの仕事であれば就労可能であると言われている。Lさんは、就労意欲はあるが、フルタイムでの就労には不安を感じている。そこで、生活保護を受給しながら就労することについてK生活保護現業員に相談した。
1 就労の可能性を高めるため、公共職業安定所(ハローワーク)のフルタイムの求人に応募するように助言する。
2 生業扶助では民間の教育訓練講座の受講はできないため、公共職業訓練の受講を勧める。
3 福祉事務所の就労支援は期間を定めて行われるため、終了時には生活保護も廃止となると伝える。
4 公共職業安定所(ハローワーク)と連携した生活保護受給者等就労自立促進事業などを紹介し、利用の意向を尋ねる。
5 自立支援プログラムへの参加が生活保護を継続する条件になると伝える。

更生保護制度

問題147 更生保護に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 更生保護には、犯罪予防の活動の促進が含まれる。
2 更生保護には、再犯・再非行の防止は含まれない。
3 更生保護の処遇は、矯正施設における施設内処遇を主とする。
4 更生保護制度の基本となる法律は監獄法である。
5 更生保護行政をつかさどる国の機関は、厚生労働省である。
問題148 少年院に収容中の者に対する生活環境の調整に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 仮退院決定後、速やかに開始する。
2 裁判所の発する令状をもって開始する。
3 調整すべき事項に借金返済のための金品の給与が含まれる。
4 少年院の法務技官によって行われる。
5 調整すべき事項に釈放後の就業先や通学先の確保が含まれる。
問題149 事例を読んで、仮釈放に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Mさん(25歳)は、交通事故(人身事故)で懲役3年の実刑判決を受けてV刑務所に収容され、刑に服して6か月が過ぎた。深く反省し、服役中の行状も良好である。かつてMさんが勤務していた会社の社長Aさんは、Mさんが釈放された場合、自分が引受人になって再びMさんを雇用してもよいと考えている。
1 Mさんの仮釈放の審理を開始するには、MさんがV刑務所の長に仮釈放を申し立てなければならない。
2 Mさんは、仮釈放になった後は保護観察が付されない可能性がある。
3 Mさんの仮釈放の審理において、被害者の意見や心情は反映されない。
4 Mさんについて、現在の刑に服した期間では仮釈放の決定はできない。
5 Mさんの家族以外の者が仮釈放後の引受人になることはできない。
問題150 事例を読んで、B社会復帰調整官の業務として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
保護観察所のB社会復帰調整官は、「医療観察法」に基づく処遇の対象者であるCさん(30歳)を担当することになった。Cさんは「医療観察法」第107条に規定されている「守るべき事項」により届け出た居住地で生活している。
1 Cさんの居住地の保護司にCさんの処遇判断を委ねる。
2 Cさんの「守るべき事項」に、必要に応じて新たな事項を加える。
3 Cさんの通院状況や生活状況を見守るとともに、必要な指導を行う。
4 Cさんの病状が悪化した場合、指定入院医療機関への入院を決定する。
5 Cさんの病状が安定した場合、「医療観察法」による医療の終了を決定する。
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