第37回(令和6年度)介護福祉士国家試験 午後の問題

<領域:介護>

介護の基本

問題64  介護福祉に関連する法律に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1  「高齢者虐待防止法」は、福祉六法の1つである。
2  「障害者総合支援法」は、障害者基本計画の策定を義務づけている。
3  社会福祉法によって、社会福祉士の定義が規定されている。
4  介護保険法は、国民の共同連帯の理念に基づいて介護保険制度を設けている。
5  医師法によって、介護福祉の業務の一部として医行為が認められている。
問題65  社会福祉士及び介護福祉士法に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1  資質向上のために、5年に1回、資格更新研修を受けなければならない。
2  社会福祉士の業務を介護福祉士が行うことは禁じられている。
3  介護福祉士の信用を傷つける行為をしてはならない。
4  介護福祉士は、その業を辞した後は秘密保持義務が解除される。
5  介護福祉士国家試験に合格した日から、介護福祉士を名乗ることができる。
問題66  Aさん(75歳、女性)は、3か月前に、血管性認知症(vascular dementia)を発症し、軽度の左片麻痺{ひだりかたまひ}で杖歩行{つえほこう}となり、要介護3と認定された。Aさんは、料理が大好きで、娘と一緒に食事を作ることを楽しみに生活していた。1か月前から認知症(dementia)が進行し、ユニット型介護老人福祉施設に入所した。Aさんは夕方になると、「ご飯の支度をしないといけないから帰ります」と言いながら、興奮して歩き回る様子がみられるようになった。
Aさんへの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  居室に鍵をかけて、自室で過ごしてもらう。
2  介護福祉職と一緒に、夕食の準備をしてもらう。
3  杖{つえ}を預かり、低めの丸椅子に座ってもらう。
4  介護福祉職の判断で、向精神薬を服用してもらう。
5  ここがAさんの自宅であることを、理解してもらう。
問題67  ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)における「参加」と「活動」の2つが関連した、認知症の人の支援に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  若年性アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type with early onset)があり、治療している。
2  認知症カフェに通い、体操をしている。
3  近所に住む長男が、買物を代行している。
4  自宅にある広い庭を、バリアフリー化している。
5  見当識障害があり、GPS装置を身に着けている。
問題68  次の記述のうち、介護保険制度における訪問介護員(ホームヘルパー)が行うサービス内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  利用者が大切にしている庭の植木に、水やりをする。
2  利用者が長年飼っている猫のペットフードを、購入してくる。
3  掃き掃除をする習慣のある利用者と一緒に、寝室をほうきで掃除する。
4  利用者と一緒に、近所のラーメン屋に行く。
5  利用者のクレジットカードを預かって、買物を代行する。
問題69  次の記述のうち、介護従事者を守る法制度として、正しいものを1つ選びなさい。
1  労働安全衛生法では、年に1回以上の健康診断を行うことを義務づけている。
2  労働者災害補償保険法では、労働時間、賃金、休暇などの労働条件を定めている。
3  環境基本法では、快適な職場環境の形成の促進を定めている。
4  介護休業は、対象家族1名につき、毎年93日間を取得できる。
5  出生時育児休業は、子の出生後から8週間取得できる。
問題70  Bさん(68歳、女性、要介護1)は、ヨーロッパで生まれ育ち、50歳のときに日本人と結婚した。65歳で夫と共に日本で暮らすようになったが、日本語は十分に理解できない。半年前に、脳梗塞(cerebral infarction)を起こし、利き手に麻痺{まひ}があり、立ち上がりも不安定である。現在は、介護老人保健施設に入所し、在宅復帰へ向けたリハビリテーションを行っている。Bさんはこれまでの生活様式を守り、自宅で自分のペースで食事ができるようになりたいと希望している。
次の記述のうち、Bさんへの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  入所中は母語を使わずに、日本語を話すように伝える。
2  居室の床に布団を敷いて、寝起きができるようにする。
3  自分で食事ができるように、自助具の使用状況を確認する。
4  ほかの利用者と同じ時間に食べ終えるように伝える。
5  日本の生活に合わせるように、余暇活動の内容は介護福祉職が判断する。
問題71  次の記述のうち、チームアプローチに関するものとして、適切なものを1つ選びなさい。
1  介護福祉職が利用者のところに行って、相談、支援を行う。
2  障害者が、地域の資源を活用して、共生社会の実現を目指す。
3  複数の専門職が共通の目標に向かって協働し、課題解決に取り組む。
4  利用者に代わって、専門職がサービスを決定する。
5  当事者が集まって体験談を話し、共に支えあう。
問題72  介護保険施設における防災対策に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  介護福祉士は、災害派遣福祉チームで活動することが義務づけられている。
2  介護福祉士は、防災スキル向上のために、防災士の資格取得が義務づけられている。
3  災害対策基本法に基づき、個別避難計画の作成が施設長に義務づけられている。
4  一般的に、飲料水と非常食は1日分の備蓄が義務づけられている。
5  災害時等に備えて、業務継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の策定が義務づけられている。
問題73  次のうち、結核(tuberculosis)の予防対策に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  便座のアルコール消毒
2  肺炎球菌ワクチンの接種
3  紫外線を避けた生活
4  年に1回の胸部X線検査
5  50℃以上の温水によるリネン類の洗濯

コミュニケーション技術

問題74  次の記述のうち、利用者とのコミュニケーションの場面で用いる要約の技法として、適切なものを1つ選びなさい。
1  開かれた質問をして、利用者の気持ちを明らかにした。
2  共感しながら話を聞き、利用者の気持ちを受け止めた。
3  話の途中でうなずき、利用者の気持ちに同意した。
4  話の内容を総合的にまとめて返し、利用者の気持ちを整理した。
5  自己覚知を図り、利用者との人間関係の形成に努めた。
問題75  次の記述のうち、利用者と家族の意向が異なるとき、家族とのコミュニケーションにおいて介護福祉職が留意すべき点として、適切なものを1つ選びなさい。
1  家族に支援方針を決めてもらう。
2  家族を通して利用者の意向を聴き取る。
3  家族と話す機会を別に設ける。
4  家族にカウンセリングを行うことを意識する。
5  家族を説得する。
問題76  Aさん(80歳、男性、要介護3)は、介護老人福祉施設に入所している。アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)が進行している。ある日の昼食時、介護福祉職がAさんに配膳すると、「お金はこれしかありません。足りますか」と小さくたたまれたティッシュペーパーを渡してきた。
このときのAさんに対する介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  ティッシュペーパーは、口の周りが汚れたら拭くものだと伝える。
2  ティッシュペーパーが不足しているサインとして受け止める。
3  飲食店での会計の場面であると認識して対応する。
4  食事に集中するように促す。
5  小遣いの増額を家族に相談する。
問題77  構音障害のあるBさんは、現在発語訓練を実施中である。ある日、介護福祉職に対して、「おあんで、あつがおごれた」と訴えた。介護福祉職は、Bさんの発語をうまく聞き取れず、「もう一度、言ってください」と伝えた。Bさんは、自身の発語で会話を続けようとしているが、介護福祉職には、その内容を十分に理解することができなかった。
このときの、Bさんに対する介護福祉職の判断として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  Bさんは言葉の意味の理解に支障があるため、会話の継続は困難である。
2  発音が苦手なため、短い言葉でゆっくり話してもらう必要がある。
3  話す意欲があるため、開かれた質問が有効である。
4  発語訓練の効果がみられないため、訓練を中止する必要がある。
5  Bさんの言葉が聞き取れないため、会話を中断する必要がある。
問題78  Cさん(55歳、男性)は、知的障害がある。3か月前に、施設から居宅での一人暮らしに移行し、現在は、居宅介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら生活している。ある日、Cさんが、「ゴミ、分けて捨てるの、難しいよ」と言うので、室内に分別収集の説明書を貼って、カレンダーに収集日を書くことにした。そして、介護福祉職は、「この説明書とカレンダーを見て、捨てるといいですよ」とCさんに伝えた。その後、Cさんは努力していたが、分別できなかったゴミが少しずつ増えていった。
次のうち、Cさんにかける介護福祉職の最初の言葉として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  「ゴミでいっぱいになる前に、適切に捨てられるようになりましょう」
2  「説明書とカレンダーをよく見てください」
3  「ゴミが増えてきて、気持ち悪いですね」
4  「がんばっていれば、上手にできるようになりますよ」
5  「ゴミ捨ては難しいですよね。できることをいっしょに考えましょう」
問題79  介護保険サービスにおける記録に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  記録に含まれないものとして食事チェック表がある。
2  介護記録は介護福祉職の意見を中心に記録する。
3  調査・研究目的で記録を利用することは避ける。
4  主観的情報と客観的事実は区別しないで記録する。
5  利用者は記録の閲覧を請求することができる。

生活支援技術

問題80  高齢者に配慮した居室環境に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  夏は高齢者が発汗してから冷房を使用する。
2  暖房を使用するときは除湿機を併用する。
3  冷房を使用するときは換気を控える。
4  温度は介護福祉職の感覚で調整する。
5  冬はトイレの温度を居室の温度に近づける。
問題81  次の記述のうち、介護の現場において、レクリエーション活動で実施するアイスブレーキングの効果として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  参加者の緊張感を軽減することができる。
2  活動内容を毎回固定して実施することができる。
3  介護福祉職の負担を軽減することができる。
4  利用者の参加を義務づけることができる。
5  勝敗を楽しむことができる。
問題82  次の記述のうち、介護福祉職が行う身じたく・整容の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  ベッド上で行う口腔{こうくう}ケアは、ガーグルベースンを用いる。
2  総義歯の洗浄は、歯みがき剤を用いる。
3  耳垢{じこう}の除去は、ピンセットを用いる。
4  ベッド上で行う洗顔は、冷水に浸して絞ったタオルを用いる。
5  浴室で行う洗髪は、ドライシャンプーを用いる。
問題83  次の記述のうち、障害のある人への事故防止の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  パーキンソン病(Parkinson disease)の人には、低めのベッドを用意する。
2  認知症(dementia)の人には、ガスコンロを用意する。
3  在宅酸素療法中の人のそばでは、喫煙しない。
4  視覚障害のある人には、洗体用に頭受け台を用意する。
5  聴覚障害のある人には、補高便座を用意する。
問題84  次のうち、右片麻痺{みぎかたまひ}の利用者が多点杖{たてんづえ}を使用して3動作歩行を開始するときに、介護福祉職が行う説明として、適切なものを1つ選びなさい。
1  「杖{つえ}、右足、左足の順で歩きましょう」
2  「杖{つえ}、左足、右足の順で歩きましょう」
3  「右足、左足、杖{つえ}の順で歩きましょう」
4  「左足、杖{つえ}、右足の順で歩きましょう」
5  「左足、右足、杖{つえ}の順で歩きましょう」
問題85  ノーリフティングケアに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  仰臥位{ぎょうがい}(背臥位{はいがい})の利用者を抱え上げて、端座位にする。
2  仰臥位{ぎょうがい}(背臥位{はいがい})の利用者を手前に引きよせて、ストレッチャーに移乗する。
3  端座位の利用者の体幹を抱きかかえて、車いすに移乗する。
4  端座位の利用者にスライディングボードを使用して、車いすに移乗する。
5  立位が困難な端座位の利用者に回転移動盤を使用して、車いすに移乗する。
問題86  次の記述のうち、左片麻痺{ひだりかたまひ}の利用者を右側臥位{みぎそくがい}から端座位にするときの介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  利用者に左手でベッド柵をつかむように伝える。
2  利用者に右肘を支点にして上体を起こしてもらう。
3  利用者の右脚をベッドから下ろす。
4  利用者の頸部{けいぶ}を支えて上体を起こす。
5  端座位の利用者の右側に立って上体を支える。
問題87  口腔{こうくう}ケアに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  うがいは、顔貌を整える。
2  歯みがきは、感染予防になる。
3  口腔内{こうくうない}の乾燥は、口臭を予防する。
4  唾液腺マッサージは、唾液の分泌を抑える。
5  咀嚼機能{そしゃくきのう}の向上のために、タッピングを行う。
問題88  次の記述のうち、口腔{こうくう}ケアを実施するときの留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  実施中は、利用者に顎を上げた姿勢をとってもらう。
2  総義歯は、上顎から下顎の順に外してもらう。
3  歯みがきの前に、うがいを行ってもらう。
4  歯ブラシは、大きく動かして磨いてもらう。
5  舌ブラシは、舌先から咽頭に向かって動かしてもらう。
問題89  次の記述のうち、介護が必要な人への熱中症対策のために、介護福祉職が行う水分補給の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  のどが渇いてから、水分を取るように伝える。
2  水でむせるときは、ゼリーの提供を控える。
3  起床時は、水分摂取を控えるように伝える。
4  食事のときの水分は、一日の水分摂取量から除く。
5  汗の量が多いときは、塩分を含んだ飲み物を勧める。
問題90  Aさん(75歳、男性)は、1年前に前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia)と診断され、現在は、認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)に入居している。若い頃から食べることが好きである。現在、咀嚼{そしゃく}や嚥下機能{えんげきのう}の低下はなく、スプーンを使い、自分で食べている。最近、飲み込む前に次々と食べ物を口に入れることが増えた。
次の記述のうち、Aさんの現在の状態に合わせた食事の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  取っ手つきのコップを準備する。
2  食器に少量ずつ盛りつけて提供する。
3  すべての料理をテーブルの上に並べる。
4  大きなスプーンに変更する。
5  手で持って食べられる物を準備する。
問題91  次の記述のうち、パーキンソン病(Parkinson disease)で上肢の震えはあるが、自力摂取が可能な利用者の食事の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  食事後に口腔内{こうくうない}のアイスマッサージを行う。
2  片側の縁が高くなっている皿を準備する。
3  上半身を後ろに20度程度倒すように伝える。
4  食器の置いてある位置を説明する。
5  踵{かかと}を床から浮かすように伝える。
問題92  次の記述のうち、入浴の作用を生かした、高齢者への入浴の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  食事は、入浴直前に摂取する。
2  高血圧の人には、42℃以上の湯につかってもらう。
3  浴槽の中では、関節運動を促す。
4  心疾患(heart disease)のある人には、肩まで湯につかってもらう。
5  個浴の浴槽内では、足を浮かせてもらう。
問題93  次の記述のうち、下肢筋力が低下して介護を必要とする人の入浴に適した環境として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  浴室の入口は開き戸にする。
2  床から浴槽の縁までの高さは20cmにする。
3  縦に長く、浅めの洋式の浴槽にする。
4  浴槽の縁の幅は20cmにする。
5  浴槽への出入りのために、水平および垂直の手すりを設置する。
問題94  次の記述のうち、体調不良で入浴できない片麻痺{かたまひ}の利用者に対して、ベッド上で行う全身清拭の方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  清拭時は、窓を開けて行う。
2  洗面器には、40℃程度のお湯を準備する。
3  最初に、腹部から清拭する。
4  背部は、患側を下にした側臥位{そくがい}にして拭く。
5  蒸しタオルで拭いた後は、乾いたタオルで水分を拭き取る。
問題95  次のうち、同居の高齢者におむつを使用する家族介護者に対する、介護福祉職の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  「使用する本人の羞恥心に気を配りましょう」
2  「尿失禁を防ぐことができます」
3  「尿量を気にせずに、1日中同じおむつを使うことができます」
4  「おむつを着けると、安心して排泄{はいせつ}ができます」
5  「家族の都合に合わせて、おむつを使いましょう」
問題96  次の記述のうち、ポータブルトイレを使用するときの排泄{はいせつ}の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  ポータブルトイレの下に新聞紙を敷く。
2  ベッドで臥床{がしょう}している状態で、ズボンや下着をおろす。
3  ポータブルトイレには、前かがみになって座ってもらう。
4  排泄{はいせつ}が終わるまで、ポータブルトイレの後ろに立って待つ。
5  排泄後{はいせつご}の陰部の清拭は、ベッドの上で行う。
問題97  次の記述のうち、介護福祉職が行うことのできる、坐薬{ざやく}(座薬)を用いた介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  膣{ちつ}から挿入する坐薬{ざやく}(座薬)が扱える。
2  坐薬{ざやく}(座薬)は、あたたかな場所で保管する。
3  坐薬{ざやく}(座薬)は、とがっていない方から挿入する。
4  腹部に力を入れるよう促しながら、坐薬{ざやく}(座薬)を挿入する。
5  下剤以外の坐薬{ざやく}(座薬)挿入は、先に排泄{はいせつ}を済ませてから行う。
問題98  次の記述のうち、調理における基本調味料の効果や使い方として、適切なものを1つ選びなさい。
1  砂糖は、塩より先に入れると、食物に甘みが浸透しやすくなる。
2  塩は、食物のうま味を増し、照りを出す。
3  酢は、食物の水分を引き出し、保存性を高める。
4  しょうゆは、食物のくさみを抜き、肉を柔らかくする。
5  みそは、味付けの最初に入れると、特有の香りが逃げない。
問題99  食品の保存に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  賞味期限の切れた未開封の缶詰は、すぐに廃棄する。
2  ウインナーには、消費期限が記載されている。
3  前日調理して常温保存した肉入りカレーは、再加熱する。
4  りんごを冷蔵庫で保存するときは、ビニール袋に入れて密封する。
5  冷凍食品は、一度解凍しても再冷凍すれば長期間の保存が可能である。
問題100  次の記述のうち、衣類の保管方法として、適切なものを1つ選びなさい。
1  衣装ケースで保管するときは、たたんだ衣類の下に防虫剤を入れる。
2  ドライクリーニング後の衣類は、ビニールを外さずに保管する。
3  汚れのひどい衣類は、介護福祉職の判断で廃棄する。
4  湿気を含んだ衣類は、たたんで引き出しに保管する。
5  絹製品は、タンスの上部に保管する。
問題101  次の記述のうち、介護の現場で行うベッドメイキングとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  居室の窓は、閉めて行う。
2  キャスターのあるベッドは、ストッパーを外す。
3  シーツの中心線を、マットレスの端に合わせる。
4  シーツをマットレスの下に入れるときは、手掌を下にする。
5  シーツ交換は、両膝を伸ばしたままで行う。
問題102  Bさん(90歳、女性、要介護3)は、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)があり、介護老人福祉施設に入所している。テレビを見ることが好きで、日中はお茶を飲みながら、テレビを見て過ごすことが日課である。1週間前からBさんは、夜中に目が覚めたり、3時ごろに起きたりと、不眠が続いている。2時間ほどしか寝ていない日もある。ある日、Bさんは、「昼間、眠くてしかたがない。からだがだるい」と介護福祉職に話した。
次の記述のうち、Bさんに安眠を促すための介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  午前中、太陽の光を浴びることを勧める。
2  昼間眠いときは、1時間以上の昼寝を勧める。
3  夕食後、すぐに寝ることを勧める。
4  寝る前に、介護福祉職の判断で睡眠薬を勧める。
5  夜眠れないときは、居室でテレビを見ることを勧める。
問題103  終末期の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  決まった時間に食事を提供する。
2  部屋の換気は控えるようにする。
3  無反応のときは無言で静かに介護を行う。
4  呼吸困難時は、顎を下げて頭部を前屈させた仰臥位{ぎょうがい}(背臥位{はいがい})にする。
5  せん妄によって話のつじつまが合わないときは、否定せずに受け止める。
問題104  次のうち、キューブラー・ロス(Kubler-Ross, E.)が提唱した終末期にある人の死の受容過程のうち、「死は避けられないと知り、さまざまな喪失感を抱く段階」に該当するものとして、適切なものを1つ選びなさい。
1  否認
2  怒り
3  取り引き
4  抑うつ
5  受容
問題105  Cさん(58歳、男性)は、アテトーゼ型(athetosis)の脳性麻痺{のうせいまひ}(cerebral palsy)がある。腕、脚、体幹の筋肉は不随意的にゆっくりと動くことが多く、手指を細かく動かすことは難しい。言葉をはっきり発音することが困難であるが、音の聞き取りはできる。
次のうち、Cさんが使用している情報・意思疎通支援用具として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  福祉電話
2  携帯用会話補助装置
3  人工喉頭
4  助聴器
5  点字器

介護過程

問題106  次の記述のうち、介護過程を展開する目的として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  家族が抱える生活課題の解決
2  個別ケアに基づく利用者の自立支援
3  介護福祉職の職業倫理の向上
4  利用者と家族の信頼関係の構築
5  介護福祉職と他職種の連携の促進
問題107  生活課題に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  家族の立場から検討する。
2  利用者のニーズを判断の基盤にする。
3  利用者の要望を1つに集約する。
4  介護福祉職の主観を尊重する。
5  生命の危機よりも利用者の意向を優先する。
問題108  次の記述のうち、介護過程の展開における評価の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  他の利用者と比較して評価する。
2  短期目標の評価によって、介護過程の展開を終了する。
3  目標の達成状況を評価する。
4  介護計画の実施後に評価日を検討する。
5  介護計画を修正した場合は、評価を省略する。
問題109  次のうち、介護保険制度のサービス担当者会議におけるサービス提供責任者の役割として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  会議の主催
2  居宅サービス計画の原案の説明
3  他職種が実施したサービス内容の評価
4  訪問介護計画の作成に要した時間の報告
5  訪問介護計画の作成に必要な情報の確認

次の事例を読んで、問題110、問題111について答えなさい。
〔事  例〕
Aさん(78歳、男性、要介護1)は、一人暮らしで、脳梗塞(cerebral infarction)を発症し入院した。その後、リハビリテーションを経て、自宅に戻った。利き手の右手に麻痺{まひ}が残ったため、左手を使った調理の自立を目的に、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用することになった。サービス利用時は、訪問介護員(ホームヘルパー)の協力を得ながら、孫からプレゼントされた包丁を使って、調理に取り組んでいた。
ある日、好物の牛肉をうまく押さえることができず、切ることができなかった。すると、Aさんは包丁を置き、部屋で横になってしまった。心配した訪問介護員(ホームヘルパー)が声をかけ、バイタルサインを確認したところ変化はなかった。Aさんは、「右手が思うように動いてくれない。悔しい。でも、もう一度ひとりで作れるようになりたい」と話した。
次の日、Aさんは、「今日も手伝って」と訪問介護員(ホームヘルパー)に話した。

問題110  調理中にAさんが包丁を置き、部屋で横になってしまった行動に対する解釈として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  体調不良による休憩
2  食材に対する不満
3  調理に対する興味の喪失
4  包丁に対する不満
5  調理がうまくできないことに対する苛立{いらだ}ち
問題111  訪問介護計画の修正を目的としたカンファレンスで、訪問介護員(ホームヘルパー)が提案する内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  訪問介護員(ホームヘルパー)による調理の代行
2  担当する訪問介護員(ホームヘルパー)の交代
3  配食サービスの利用
4  調理に関する福祉用具の活用
5  訪問回数の削減

次の事例を読んで、問題112、問題113について答えなさい。
〔事  例〕
Bさん(42歳、女性、障害支援区分3)は、知的障害があり、母親と二人暮らしである。日中は生活介護事業所に通っている。日常生活動作の一部に見守りが必要である。個別支援計画の短期目標を、「見守りのもと、トイレで排泄{はいせつ}ができる」としている。
しかし、最近、排泄{はいせつ}のときに下着やズボンを汚してしまい、それをほかの利用者にからかわれ、しばらく一人でいる様子があったと生活支援員から申し送りがあった。
ある日、事業所長が話しかけると、Bさんは、「トイレで失敗したら恥ずかしい」と元気なく話した。母親からも電話で、「これからは紙おむつを使うように勧めているのだけど、使いたくないとBは話している」とサービス管理責任者に連絡があった。

問題112  次のうち、Bさんがしばらく一人でいた様子を理解するために必要な情報として、最も優先すべきものを1つ選びなさい。
1  サービス管理責任者との関係
2  生活支援員との関係
3  事業所長との関係
4  ほかの利用者との関係
5  母親との関係
問題113  Bさんについて、個別支援会議が開催され、短期目標を、「排泄{はいせつ}の自立(下着を汚さずに排泄{はいせつ}する)(3か月)」とした。次の記述のうち、Bさんの短期目標を実現するために生活支援員がとる対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  定期的に、手順を理解できているか一緒に確認する。
2  自宅で排泄{はいせつ}を済ませ、事業所で排泄{はいせつ}しないように助言する。
3  母親の要望であると伝え、紙おむつを使うように助言する。
4  ポータブルトイレを設置し、そこで排泄{はいせつ}をするように誘導する。
5  排泄{はいせつ}に関する行為を、全介助にする。

<総合問題>

総合問題

(総合問題1)

次の事例を読んで、問題114から問題116までについて答えなさい。
〔事  例〕
Aさん(70歳、男性)は、妻と二人で暮らしている。旅行や釣りが趣味で、会社員として勤務していたころは、活動的な生活を送っていた。66歳のときにパーキンソン病(Parkinson disease)と診断されたが、内服治療が開始され、症状はあまり気にならなかった。1年前から顔の表情が乏しくなり、歩行開始時に、はじめの一歩が出にくくなった。3か月前からは、歩き始めると方向転換が難しく、急に止まることができないことがある。
Aさんは、今後の生活について相談するために、地域包括支援センターに行った。センターで対応してくれたB主任介護支援専門員は、介護福祉士としての実務経験が豊富だった。Aさんは信頼して、気になっていたことをすべて話すことができた。Aさんは、要介護認定を申請することを勧められ、後日、市役所に行き、要介護認定の申請を行った。

問題114  現在のAさんの症状に該当するホーエン・ヤール重症度分類として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  ステージⅠ
2  ステージⅡ
3  ステージⅢ
4  ステージⅣ
5  ステージⅤ
問題115  要介護認定を申請してから2週間が経過した。Aさんは要介護認定の認定結果が届かないことが気になった。そこで、以前に対応してくれたB主任介護支援専門員に電話で相談した。
次のうち、B主任介護支援専門員の応答として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  「次の受診時に主治医に相談しましょう」
2  「通常1か月程度かかるので、あと2週間くらい待ってみましょう」
3  「以前に自宅に来てくれた認定調査員に相談しましょう」
4  「念のためにもう一度要介護認定を申請してください」
5  「通常であれば認定結果は出ていると思います」
問題116  最近、Aさんは急に体の動きが悪くなる時間帯があり、不安を感じた。そこでAさんは、週に2回利用している訪問介護員(ホームヘルパー)に相談した。相談を受けた訪問介護員(ホームヘルパー)はAさんに、日々の症状の変化とその時間、さらにもう一点をメモして、医師に伝えるようにと助言した。
日々の症状の変化とその時間に加えて、Aさんが医師に伝える内容として、最も優先度の高いものを1つ選びなさい。
1  服薬の時間
2  起床の時間
3  食事の時間
4  排便の時間
5  入浴の時間

(総合問題2)

次の事例を読んで、問題117から問題119までについて答えなさい。
〔事  例〕
Cさん(90歳、女性)は、動物好きで長年ペットのオウムを飼っている。5年前に夫が亡くなったときも、ペットが大きな心の支えになった。2年前、身体の衰えから買物や調理などの家事が難しくなり、一人暮らしが困難になったので、ペットと入所できる健康型有料老人ホームに入所した。
最近Cさんは、毎週楽しみにしていたレクリエーションがある曜日や時間を忘れてしまう、トイレの場所がわからず失禁するなどの症状が繰り返し生じるようになってきた。心配した娘がCさんと病院を受診したところ、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断を受けた。
健康型有料老人ホームでは対応が困難になってきたため、心配した娘はCさんが入所できる施設に移ることを検討し始めた。

問題117  次のうち、最近のCさんの症状に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  妄想
2  見当識障害
3  失語
4  遂行機能障害
5  観念失行
問題118  娘はCさんの病状を心配して、「お父さんが残してくれた貯金があるから、もっとお母さんのお世話をしてくれる施設に移ろう」と提案した。Cさんは、「ペットと一緒に暮らせなくなるのは嫌だ」とつぶやき、うつむいた。困った娘は健康型有料老人ホームの介護福祉士に相談した。
次のうち、娘への介護福祉士の応答として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  「Cさんがペットを大事にしている意思を尊重してはいかがですか」
2  「Cさんが新しい施設に行くことが最優先です」
3  「あなたの意向を優先してはいかがですか」
4  「Cさんがペットを飼うことは優先度の高いニーズとは言えません」
5  「Cさんが新しい施設に行くことを受け入れるように説得してください」
問題119  Cさんと娘は介護福祉士と相談し、希望に沿った施設を見つけることができた。
次のうち、Cさんが入所する施設として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  経過的軽費老人ホーム(B型)
2  介護医療院
3  介護老人保健施設
4  養護老人ホーム
5  介護付有料老人ホーム

(総合問題3)

次の事例を読んで、問題120から問題122までについて答えなさい。
〔事  例〕
Dさん(男性、障害支援区分4)は、ベッカー型筋ジストロフィー(Becker muscular dystrophy)である。自宅で家族と生活をしている。Dさんは、食事は自立しているが、排泄{はいせつ}、入浴に介護が必要である。歩行はできず、移動は電動車いすを使用している。絵を描くことが趣味であり、日中は創作活動に取り組んでいる。
これまでDさんは自宅で家族の介護を受けながら生活してきたが、Dさんの身体機能の低下に伴い、家族の介護負担が増えたため、居宅介護を利用することになった。

問題120  Dさんの疾患で生じる病態として、適切なものを1つ選びなさい。
1  筋線維の変性
2  運動神経の変性
3  網膜の変性
4  自己免疫の低下
5  脳細胞の変性
問題121 この問題は、視覚素材問題です。 Dさんのジェノグラムが示されています。
ジェノグラムに示されていることを説明します。
Dさん男性は、結婚し息子と3人で暮らしている。
Dさんの兄は独身である。
Dさんは、母親と一緒に暮らしていない。
Dさんの父親は、死亡している。
Dさんの妻は一人娘で、両親は生存している。
問題  E居宅介護事業所に勤務するF介護福祉職は、Dさん宅を初回訪問するにあたりフェイスシートのジェノグラムを確認した。
以下のジェノグラムからF介護福祉職が把握した内容として、適切なものを1つ選びなさい。
1  Dさんは、Dさんの母親と同居している。
2  Dさんには息子がいる。
3  Dさんの兄は結婚している。
4  Dさんの父親は生存している。
5  Dさんの妻には兄弟姉妹がいる。
問題122  Dさんが居宅介護を利用してから数年が経過し、Dさんの身体機能は徐々に低下して、着替えに時間がかかるようになった。Dさんは自分のことはできるだけ自分で行いたいという思いがあり、時間がかかっても自分で着替えをしていた。
ある日、DさんはF介護福祉職に、「着替えをすると疲れてしまい、絵を描くことができない」とつぶやいた。F介護福祉職は、「着替えは私たちや家族の介護を利用して、Dさんは好きな絵を描いたらいいのではないですか」と伝えた。その後、Dさんは介護福祉職と家族の介護を利用して、短時間で着替えを済ませ、絵を描くことに専念できるようになった。
F介護福祉職が発言した自立観を示した人物として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  ヴィクトール・フランクル(Frankl, V.)
2  バンク-ミケルセン(Bank-Mikkelsen, N.)
3  エド・ロバーツ(Roberts, E.)
4  フェリックス・バイステック(Biestek, F.)
5  ミルトン・メイヤロフ(Mayeroff, M.)

(総合問題4)

次の事例を読んで、問題123から問題125までについて答えなさい。
〔事  例〕
Gさん(38歳、女性)は、母親(65歳)と暮らしていた。両側性感音難聴(sensorineural hearing loss)があり、雑音がある場所では話を聞き取りにくい。相手の口の動きや表情から会話の内容を理解することはできる。Gさんは、脳梗塞(cerebral infarction)を発症し、左片麻痺{ひだりかたまひ}で車いすの生活となり、障害支援区分4と認定された。母親による介護が難しくなったため、障害者支援施設に入所することになった。
Gさんは、写真を撮ることが好きで、施設で近くの公園に出かけたときに、介護福祉職に手伝ってもらいながら好きな風景を撮影している。Gさんは、その写真をアルバムにして、母親にプレゼントしたいと考えている。
ある日、Gさんから、「アルバムを作りたい。飾りの付け方やメッセージの書き方を教えてほしい」と相談があった。介護福祉職は、Gさんとアルバムを作ることにした。

問題123  次のうち、Gさんが施設入所支援と同時に利用している障害福祉サービスとして、適切なものを1つ選びなさい。
1  自立生活援助
2  療養介護
3  短期入所
4  生活介護
5  居宅介護
問題124  次のうち、Gさんの難聴の原因となっている損傷部位に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  内耳から聴神経
2  外耳道から中耳
3  耳介から中耳
4  耳介から外耳道
5  耳介
問題125  次の記述のうち、Gさんに介護福祉職がアルバムの作り方を説明するときに配慮することとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  Gさんの左側に座る。
2  閉じられた質問を用いる。
3  小さな声で話す。
4  Gさんの好きな音楽を流す。
5  1対1で向かい合って話す。
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