第37回(令和6年度)介護福祉士国家試験 午前の問題
<領域:人間と社会>
人間の尊厳と自立
- 問題1 次の記述のうち、介護福祉職がアドボカシー(advocacy)の視点から行う対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 介護を行う前には、利用者に十分な説明をして同意を得る。
- 2 利用者の介護計画を作成するときに、他職種に専門的な助言を求める。
- 3 利用者個人の趣味を生かして、レクリエーション活動を行う。
- 4 希望を言い出しにくい利用者の意思をくみ取り、その実現に向けて働きかける。
- 5 視覚障害者が必要とする情報を、利用しやすいようにする。
- 問題2 Aさん(83歳、女性、要介護3)は、脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で左片麻痺{まひ}があり、介護老人福祉施設で生活している。家族から、「できることは自分で行ってほしい」と希望があり、Aさんは自室から食堂まで車いすで自走することを日課としている。
1週間前から、介護福祉士養成施設の学生がAさんのフロアで実習を開始した。数日前からAさんは実習生に、「今日は腕が痛いので、食堂まで車いすを押してください」と依頼するようになった。悩んだ実習生は、実習指導者に相談をした。
実習生に対する実習指導者の最初の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 「Aさんの腕は痛くないので、気にしないでください」
- 2 「どのようなときも、Aさん自身で行ってもらうことが必要です」
- 3 「ご家族から自分で行うように、言われています」
- 4 「それは自立につながらないので、車いすを押さないでください」
- 5 「Aさんが依頼する理由を、まず考えてみることが大切です」
人間関係とコミュニケーション
- 問題3 人間関係と心理に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 自己愛とは、自分という存在を、他人と区別して意識することである。
- 2 自己同一性の確立とは、自分とは何かという認識をもつことである。
- 3 自我とは、日常行動に影響を与える、表面化していない意識のことである。
- 4 自己覚知とは、コミュニケーションにおいて自分について話すことである。
- 5 自己中心性とは、自分の意思で自分の行動をコントロールすることである。
- 問題4 Aさん(80歳、男性)は、有料老人ホームに入所することになった。一人暮らしが長かったAさんは、入所当日、担当の介護福祉職と話すことに戸惑っている様子で、なかなか自分のことを話そうとはしなかった。介護福祉職は、一方的な働きかけにならないように、Aさんとコミュニケーションをとるとき、あいづちを打ちながらAさんの発話を引き出すように心がけた。
このときの、介護福祉職の対応の意図に当てはまるものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 互いの自己開示
- 2 コミュニケーション能力の評価
- 3 感覚機能の低下への配慮
- 4 認知機能の改善
- 5 双方向のやり取り
- 問題5 次の記述のうち、介護福祉職のキャリアパスに関するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 介護計画を作成するときのポイントを明確にする。
- 2 介護福祉職の業務マニュアルを具体化する。
- 3 利用サービスに応じて求められる関係書類を検討する。
- 4 介護施設に必要な設備基準について確認する。
- 5 介護福祉職として必要な能力や経験を明確にする。
- 問題6 B介護老人福祉施設に、学校を卒業したばかりの元気なC介護福祉職が加わった。2か月後、ユニットリーダーが、「最近、C介護福祉職に笑顔が少ない。いつもとちがう様子だ」と、フォロワーであるD介護福祉職に話した。D介護福祉職はチームの一員として何ができるのかを考えた。
D介護福祉職が最初に行うフォロワーシップとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 C介護福祉職に対して、元気を出すように励ます。
- 2 ユニットリーダーが気になっていることを詳しく聞く。
- 3 C介護福祉職の状況をユニット内のほかのメンバーと速やかに共有する。
- 4 施設長に対して、何か指示を出すようにお願いする。
- 5 C介護福祉職に対して、介助方法について教える。
社会の理解
- 問題7 社会福祉法に基づく社会福祉法人に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 収益事業は禁止されている。
- 2 所轄庁は内閣府である。
- 3 設立時に所轄庁の認可は不要である。
- 4 評議員会を置く必要がある。
- 5 解散は禁止されている。
- 問題8 次の記述のうち、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の説明として、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 利用定員は、9人以下と定められている。
- 2 日中・夜間を通じて、提供するサービスである。
- 3 認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)に入居する利用者に対して、機能訓練を行うサービスである。
- 4 通い、泊まり、看護の3種類の組合せによるサービスである。
- 5 都道府県が事業者の指定、指導、監督を行うサービスである。
- 問題9 Aさん(48歳、会社員)は、うつ症状から体調不良が続き、仕事を休むことが増えたため、自主的に退職した。その後、体調は回復したが、再就職先がなかなか見つからなかった。しばらく貯金で生活していたが、数か月後、生活を営むことができなくなってしまった。頼れる親族はなく、生活保護を受給することにした。
この事例において、日本国憲法に基づいてAさんに保障された権利として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 団体交渉権
- 2 平等権
- 3 財産権
- 4 思想の自由
- 5 生存権
- 問題10 次の記述のうち、保健所に関するものとして、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 保健師助産師看護師法に基づいて設置されている。
- 2 すべての市町村に設置の義務がある。
- 3 業務には精神保健に関する事項が含まれている。
- 4 歯科衛生士を置かなくてはならない。
- 5 児童の一時保護を行う。
- 問題11 地域包括支援センターの業務に関する記述として、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 地域ケア会議の開催
- 2 施設サービスのケアプランの作成
- 3 成年後見制度の申請
- 4 介護認定審査会の設置
- 5 地域密着型サービスの事業者の指導・監督
- 問題12 Bさん(85歳、男性、要支援1)は、自宅で一人暮らしをしている。最近、物忘れが多くなり、1か月前から地域支援事業の訪問型サービスを利用するようになった。ある日、Bさんが、「これからも自宅で生活したいが、日中、話し相手がいなくて寂しい」と介護福祉職に話した。
次のうち、Bさんに介護福祉職が勧めるサービスとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
- 2 介護老人福祉施設
- 3 第一号通所事業(通所型サービス)
- 4 夜間対応型訪問介護
- 5 居宅療養管理指導
- 問題13 介護保険制度に関する記述として、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 第1号被保険者の保険料は、都道府県が徴収する。
- 2 第1号被保険者の保険料は、全国一律である。
- 3 第2号被保険者の保険料は、年金保険の保険料と合わせて徴収される。
- 4 財源には、第1号被保険者の保険料と第2号被保険者の保険料が含まれる。
- 5 介護保険サービスの利用者負担割合は、一律、1割である。
- 問題14 障害者の雇用の促進等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 2024年度(令和6年度)の民間企業の法定雇用率は、2.5%である。
- 2 精神障害者は、法定雇用率の対象から除外されている。
- 3 2024年度(令和6年度)に、障害者の雇用義務が生じるのは、従業員101人以上の事業主である。
- 4 週所定労働時間が10時間以上20時間未満の労働は認められていない。
- 5 2024年度(令和6年度)の事業主支援(助成金)は、2023年度(令和5年度)以前と同じである。
- 問題15 「障害者総合支援法」のサービスに関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 介護給付費の支給を受けるときに、障害支援区分の認定は不要である。
- 2 短期入所は介護給付の1つである。
- 3 地域生活支援事業は、国が実施主体である。
- 4 自立支援給付は応益負担である。
- 5 行動援護は訓練等給付の1つである。
- (注) 「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
- 問題16 障害児支援に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 サービスを受けるには、療育手帳の取得が必要である。
- 2 放課後等デイサービスは、子ども・子育て支援法に基づく支援である。
- 3 障害児通所支援の利用には、障害児支援利用計画の作成は不要である。
- 4 障害児入所支援は、すべての市町村が実施主体である。
- 5 保育所等訪問支援は、保育所等を訪問し、障害のある児童が集団生活に適応できるように専門的な支援を行う。
- 問題17 次の記述のうち、サービス付き高齢者向け住宅に関するものとして、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 「高齢者住まい法」に基づく、高齢者のための住まいである。
- 2 65歳以上の者が、市町村の措置によって入居する。
- 3 認知症高齢者を対象とした、共同生活の住居である。
- 4 食事サービスの提供が義務づけられている。
- 5 介護サービスの提供が義務づけられている。
- (注) 「高齢者住まい法」とは、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」のことである。
- 問題18 Cさん(60歳、男性)は、休日に自宅で趣味の家庭菜園の作業中に脳出血(cerebral hemorrhage)を起こして救急搬送された。特に麻痺{まひ}はなく、その後、リハビリテーション病院に転院した。現在は、高次脳機能障害(higher brain dysfunction)の治療とリハビリテーションに専念している。
医療費を支払うときにCさんが利用する制度として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 介護保険制度
- 2 労働者災害補償保険制度
- 3 雇用保険制度
- 4 医療保険制度
- 5 年金制度
<領域:こころとからだのしくみ>
こころとからだのしくみ
- 問題19 次のうち、恐怖や不安、喜びなどの情動に関わる脳の機能局在の部位として、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 扁桃体{へんとうたい}
- 2 小脳
- 3 下垂体
- 4 海馬
- 5 視床下部
- 問題20 次のうち、顔の感覚に関与する脳神経として、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 嗅神経
- 2 三叉神経{さんさしんけい}
- 3 顔面神経
- 4 迷走神経
- 5 舌下神経
- 問題21 次の記述のうち、鼻の構造と機能として、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 鼻腔{びくう}は前鼻道・中鼻道・後鼻道に分かれる。
- 2 鼻毛は塵{ちり}や埃{ほこり}を除去する。
- 3 鼻腔{びくう}の奥は喉頭に直接つながっている。
- 4 鼻腔{びくう}には毛細血管は少ない。
- 5 嗅細胞は外鼻孔にある。
- 問題22 次のうち、歯周病(periodontal disease)の症状として、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 歯のくぼみの形成
- 2 歯の硬組織の軟化
- 3 歯髄の炎症・疼痛{とうつう}
- 4 歯のエナメル質の侵蝕{しんしょく}
- 5 歯周ポケットの形成
- 問題23 Aさん(78歳、女性)は、友人から口臭を指摘されて悩んでいる。また、食事をするときに、「水分と一緒に食べないと飲み込みにくい」とも話している。Aさんに歯の欠損、麻痺{まひ}はなく、ストレスの訴えもない。
次のうち、Aさんのからだの中で、機能低下が考えられるものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 咀嚼{そしゃく}
- 2 蠕動運動{ぜんどううんどう}
- 3 嗅覚
- 4 唾液分泌
- 5 胃液分泌
- 問題24 皮膚の構造に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 表皮の厚さは平均2.0mmである。
- 2 真皮には角質層がある。
- 3 外界と接する組織は表皮である。
- 4 皮脂腺は皮下組織にある。
- 5 表皮の最表面は基底層である。
- 問題25 次のうち、高齢者が嗜好{しこう}や温度覚の低下によって高温浴を希望した場合に、説明すべき高温浴の特徴として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 血圧の上昇
- 2 腸蠕動{ちょうぜんどう}の促進
- 3 腎機能の促進
- 4 副交感神経の亢進{こうしん}
- 5 心機能の抑制
- 問題26 次のうち、食物の栄養素の大部分を吸収する部位として、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 胃
- 2 小腸
- 3 直腸
- 4 横行結腸
- 5 S状結腸
- 問題27 次の記述のうち、レム睡眠に関するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 記憶を整理し、定着させる。
- 2 脳を休息させる。
- 3 入眠初期に出現する。
- 4 成長ホルモンの分泌を促す。
- 5 深い眠りの状態である。
- 問題28 Bさん(76歳、男性)は、この数週間、日中に、「眠い」と訴えている。Bさんは毎日15時にコーヒー1杯を飲み、たばこを1本吸い、21時に就寝する。夜間の睡眠状態を数日間観察すると、睡眠中にぴくぴくと下肢が動いていることがたびたびあった。起床後、手足に異常を感じるかをBさんに確認したが、「特にない」とのことだった。
次のうち、Bさんの睡眠障害の原因として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 ニコチン摂取
- 2 レム睡眠行動障害
- 3 レストレスレッグス症候群
- 4 カフェイン摂取
- 5 周期性四肢運動障害
- 問題29 次のうち、呼吸中枢がある部位として、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 大脳
- 2 中脳
- 3 小脳
- 4 延髄
- 5 脊髄
- 問題30 次のうち、脳の機能停止を示す徴候に該当するものとして、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 呼吸不全
- 2 溢流性尿失禁{いつりゅうせいにょうしっきん}
- 3 心停止
- 4 蠕動運動{ぜんどううんどう}の減弱
- 5 瞳孔散大・対光反射消失
発達と老化の理解
- 問題31 次の記述のうち、子どもの標準的な成長として、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 1歳半から2歳ごろに、ハイハイをして移動できるようになる。
- 2 生後9か月から1歳ごろに、指をさして自分の関心や欲求を他者に伝えられるようになる。
- 3 子どもが使う言葉が急に増える語彙爆発は、5歳を過ぎたころに生じる。
- 4 人見知りの反応は、2歳を過ぎたころに生じる。
- 5 イヤイヤをしてすぐに泣く行動は、第二反抗期に生じる。
- 問題32 次の記述のうち、神経性無食欲症(anorexia nervosa)に関するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 活動性が高まる。
- 2 学童期に最も生じやすい。
- 3 太ることへの恐怖はみられない。
- 4 低体重の深刻さを理解している。
- 5 多くが男性である。
- 問題33 Aさん(73歳、男性)は、会社の役員として勤めていたが、3年前に退職した。地域の老人クラブへの入会を勧められたが拒否している。毎年、敬老の日に記念品が配布されても、不快感を示して受け取らない。退職後も会社の状況を気にしていて、後輩とときどき連絡をとっている。Aさんは、身体が衰えることに強い不安を感じて、筋力トレーニングを毎日行っている。会社の後輩から、「いつも若々しいですね」と言われることに喜びを感じている。
ライチャード(Reichard, S.)による、引退後の男性の5つの適応タイプのうち、Aさんに相当するものとして、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 外罰(憤慨)型
- 2 内罰(自責)型
- 3 円熟(成熟)型
- 4 自己防衛(装甲)型
- 5 ロッキングチェアー(安楽椅子)型
- 問題34 次の記述のうち、結晶性知能に関する説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 感覚や運動に基づく知能である。
- 2 過去に得た知識を活用して問題を解決する能力である。
- 3 40~50歳で急激に低下する。
- 4 知識や文化の影響よりも、生理的な老化の影響を受けやすい。
- 5 その場で新しい問題を解決する能力である。
- 問題35 次の記述のうち、加齢に伴う感覚機能の変化として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 皮膚感覚が敏感になる。
- 2 高音域の聴力が高まる。
- 3 暗順応の時間が延長する。
- 4 味覚が敏感になる。
- 5 嗅覚が敏感になる。
- 問題36 Bさん(74歳、女性)は、地方で一人暮らしをしている。持病はなく、認知機能の異常もない。ダンスサークルに通い、近所との付き合いも良好で、今の暮らしに満足している。最近、白髪が増え、友人との死別もあり、年をとったと感じている。ある日、一人息子(50歳、未婚)から、東京で一緒に住むことを提案された。Bさんは、「ここには知り合いがいるが、東京には誰もいない。ここが一番いい」と言った。すると息子は、Bさんに、「年をとると頑固になる。あと数年したら認知症(dementia)になるかもしれないので、自分と一緒に暮らすべきだ」と言った。
次のうち、Bさんに関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 Bさんには、老性自覚はみられない。
- 2 Bさんには、友人との死別による悲嘆がみられる。
- 3 Bさんは、今、住んでいる環境や生活に適応できていない。
- 4 Bさんには、エイジズム(ageism)の考え方がみられる。
- 5 Bさんには、住み慣れた環境や仲間を喪失することへの不安がみられる。
- 問題37 次の記述のうち、サクセスフル・エイジング(successful aging)として、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 長生きすることが、最大の目的である。
- 2 一人暮らしで、周囲の人と交流をしないようにしている。
- 3 膝に痛みがあるので、一日中ベッド上で過ごすようにしている。
- 4 難聴があるので、補聴器をつけてパソコン教室に通い始めた。
- 5 歌を上手に歌えなくなったので、カラオケに誘われても行かないようにしている。
- 問題38 次のうち、老年症候群に直接関わる疾患として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 高血圧症(hypertension)
- 2 糖尿病(diabetes mellitus)
- 3 骨粗鬆症{こつそしょうしょう}(osteoporosis)
- 4 心筋梗塞(myocardial infarction)
- 5 脂質異常症(dyslipidemia)
認知症の理解
- 問題39 次の記述のうち、2019年(令和元年)の認知症施策推進大綱に関する説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 「共生」と「予防」を車の両輪として施策を推進していく。
- 2 「予防」とは、「認知症(dementia)にならない」という意味である。
- 3 「認知症高齢者等にやさしい地域づくり」を推進する7つの柱が示された。
- 4 「普及啓発・本人発信支援」として、家族が積極的に本人の意思を代弁することが示された。
- 5 策定後は、毎年施策の進捗を確認することが示された。
- 問題40 Aさん(84歳、女性、要介護3)は、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)で、介護老人福祉施設に入所している。赤ちゃんの人形を持っていて、「はなちゃん」と呼んで話しかけている。
昼食のため、介護福祉職が居室を訪問すると、Aさんは不安そうな顔で、「はなちゃんがいなくなった。どこへ連れて行ったの?返して」と大声を出した。人形はAさんのロッカーの上に置かれていた。
Aさんに対する介護福祉職の最初の声かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 「私を疑っているんですか」
- 2 「置いた場所を忘れたんですか」
- 3 「心配ですね、一緒に探しませんか」
- 4 「ご飯を食べてから探してはどうですか」
- 5 「ロッカーの上にあるのが見えないんですか」
- 問題41 認知症(dementia)の高齢者にみられる、せん妄に関する記述として、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 覚醒レベルが重度に低下した状態である。
- 2 症状の変動が少ないことが特徴である。
- 3 夜間よりも日中に生じやすいことが特徴である。
- 4 認知機能障害がみられることはまれである。
- 5 関与する因子を特定することが重要である。
- 問題42 次の記述のうち、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)の特徴として、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 近時記憶(新しい記憶)の障害は、初期から始まる。
- 2 特徴的な症状として幻視がある。
- 3 脳にアミロイドβが沈着し始めると、すぐに発症する。
- 4 歩行障害が多く現れるのは、初期の段階である。
- 5 嚥下障害{えんげしょうがい}が多く現れるのは、初期の段階である。
- 問題43 次のうち、認知症(dementia)のリスクを高める要因として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 身体活動
- 2 不飽和脂肪酸の摂取
- 3 歯がなくなることによる咀嚼機能{そしゃくきのう}の低下
- 4 難聴による補聴器の使用
- 5 ボランティア活動
- 問題44 次のうち、全般的な認知機能を評価する尺度であり、30点満点で20点以下を認知症の目安とするものとして、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 バーセルインデックス(Barthel Index)
- 2 改訂長谷川式認知症スケール(HDS-R)
- 3 FAST(Functional Assessment Staging)
- 4 認知症高齢者の日常生活自立度判定基準
- 5 臨床的認知症尺度(CDR:Clinical Dementia Rating)
- 問題45 次の記述のうち、「認知症(dementia)の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」(2018年(平成30年)(厚生労働省))で示されている、意思決定支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 認知症(dementia)の人の家族の意思を支援することである。
- 2 意思決定支援者は特定の職種に限定される。
- 3 一度、意思決定したら、最後まで同じ内容で支援する。
- 4 看取りの場面になってから支援を開始する。
- 5 身振りや表情の変化も意思表示として読み取る努力を最大限に行う。
- 問題46 次の記述のうち、回想法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 肩や背中から優しくゆっくりと触れる。
- 2 共感を通して、認知症(dementia)の人が体験している現実を受け入れる。
- 3 見当識を高めるために、時間や場所、現在の状況を説明する。
- 4 昔の写真や音楽を活用して、記憶を活性化する。
- 5 残存能力を活用し、共同作業を通して仲間をつくる。
- 問題47 次の記述のうち、認知症疾患医療センターの説明として、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 事業の実施主体は、市町村である。
- 2 都道府県ごとに、1か所の設置が義務づけられている。
- 3 認知症(dementia)の鑑別診断を行う。
- 4 主に認知症(dementia)が進行した人の入院治療を行う。
- 5 介護保険法に定められている。
- 問題48 Bさん(87歳、男性)は、一人暮らしである。玄関前で、脱水で倒れているところを発見され、救急搬送された。入院中、認知症(dementia)の疑いがある行動が見られた。Bさんは、「自宅で暮らしたい」と強く希望していた。退院後、Bさんは外出して自宅に戻れなくなることがあった。近所の人たちが、Bさんの生活を心配して、地域包括支援センターに相談した結果、認知症初期集中支援チームが編成された。
次の記述のうち、Bさんに対して認知症初期集中支援チームが行う支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 金銭管理を行う。
- 2 支援方針を検討する。
- 3 居宅サービス計画書を作成する。
- 4 介護保険サービスを契約する。
- 5 法定後見を行う。
障害の理解
- 問題49 次のうち、ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)の社会(人生)レベルに該当するものとして、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 心身機能・身体構造
- 2 活動
- 3 参加
- 4 機能障害
- 5 活動制限
- 問題50 次の記述のうち、障害者のエンパワメントに関するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 障害のある人が障害のない人と同等に生活し、活動する社会を目指す。
- 2 専門職が主導し、障害がある人は受動的に支援を受ける。
- 3 障害のある人が自らの能力や長所に気づき、課題に対応する。
- 4 障害のある人が、主体性や人権が守られないことに耐える。
- 5 障害のある人が、医学的リハビリテーションを受ける。
- 問題51 次のうち、クローン病(Crohn disease)にみられる特徴的な症状として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 視力低下
- 2 栄養障害
- 3 咳嗽{がいそう}
- 4 運動失調
- 5 関節痛
- 問題52 次の記述のうち、遂行機能障害の特徴として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 些細{ささい}なことですぐに興奮して怒鳴る。
- 2 新しい知識を覚えることが困難である。
- 3 ぼんやりして周囲に注意を向け続けることが困難である。
- 4 行動を計画して実行することが困難である。
- 5 言葉の表出や理解が困難である。
- 問題53 視覚障害の特徴と視覚障害者の生活支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 ロービジョンは、視覚情報をまったく得られない状態である。
- 2 中途視覚障害者は、先天性の障害に比べて障害を受容しやすい。
- 3 白杖{はくじょう}には、視覚に障害があることを周囲に知らせる役目がある。
- 4 視覚障害を補うために、ペットの犬と一緒に外出する。
- 5 視覚障害者は、ガイドヘルパーの利用はできない。
- 問題54 Aさん(76歳、女性)は、パーキンソン病(Parkinson disease)と診断され、日常生活動作(Activities of Daily Living:ADL)は、車いすやベッド上で全介助である。最近、食事に時間がかかって嫌がるようになり、かすれ声が目立つようになった。
- 次のうち、現在のAさんに対して介護福祉職が留意すべきこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 安静時振戦
- 2 筋固縮
- 3 仮面様顔貌
- 4 誤嚥{ごえん}
- 5 便秘
- 問題55 聴覚障害者の特徴や支援の方法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 要約筆記によって意思疎通を補う。
- 2 軽度の聴覚障害を「ろう」という。
- 3 フラッシュベルは周囲の音を増幅させて伝える。
- 4 手話は意思の伝達に役立たない。
- 5 両耳の聴力レベルが40dBで身体障害者手帳が交付される。
- 問題56 Bさん(24歳、男性)は、母親と二人暮らしで、小学生のときに注意欠陥多動性障害と疑われていた。Bさんは、最近になって昼夜を問わずゲームを続け、朝起きられずにアルバイトを無断で休むことが増えた。
次のうち、Bさんの母親が相談する機関として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 ハローワーク(公共職業安定所)
- 2 難病情報センター
- 3 認知症カフェ
- 4 放課後等デイサービス
- 5 発達障害者支援センター
- 問題57 次の記述のうち、「障害者差別解消法」の合理的配慮に沿った対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 車いすの身体障害者から、陳列棚にある商品を見せてほしいと言われたが、口頭で商品を説明した。
- 2 聴覚障害者の手話による注文がわからなかったので、最も人気のあるメニューを出した。
- 3 盲導犬を連れた視覚障害者が来店したが、動物嫌いの客から苦情を言われると思い、犬は店の中に入れないように頼んだ。
- 4 役所に相談に来た精神障害者から、多くの人の中だと不安になると言われたため、帰宅してもらった。
- 5 知的障害者から申し出があったので、会議に参加するための資料をわかりやすい言葉に直して、事前に口頭で説明した。
- (注) 「障害者差別解消法」とは、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。
- 問題58 レスパイトケアの望ましいあり方に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 障害者はサービスを利用せずに生活するべきである。
- 2 利用中、家族は自宅で休まなくてはならない。
- 3 家族が障害者を預けて旅行に行くことは認められない。
- 4 家族の休息が目的なので、障害者の施設利用は宿泊に限定される。
- 5 家族が休息している間も、障害者が自分らしく過ごせるようにする。
<領域:医療的ケア>
医療的ケア
- 問題59 次の記述のうち、成人に対する救急蘇生法{きゅうきゅうそせいほう}での胸骨圧迫の方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 呼吸が確認できない場合は、すぐに圧迫を始める。
- 2 圧迫する部位は、胸骨の左側である。
- 3 実施者の両手を重ねて、指先で圧迫する。
- 4 圧迫の深さは、胸が10cm沈むようにする。
- 5 1分間に60回を目安に圧迫する。
- 問題60 次の記述のうち、痰{たん}を喀出{かくしゅつ}する仕組みに関するものとして、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 呼吸器官の内部は乾燥した状態になっている。
- 2 気管の内部の表面には絨毛{じゅうもう}があり、分泌物の侵入を防いでいる。
- 3 分泌物は、咽頭で吸収される。
- 4 痰{たん}は、咳{せき}や咳払{せきばら}いによって排出される。
- 5 咳{せき}は、下垂体にある咳中枢{せきちゅうすう}によっておこる反射運動である。
- 問題61 次の記述のうち、介護福祉士が行う口腔内{こうくうない}の喀痰吸引{かくたんきゅういん}の方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 吸引圧は、利用者の体調によって介護福祉士が決める。
- 2 吸引圧をかけた状態で、吸引チューブを挿入する。
- 3 口蓋垂まで吸引チューブを挿入する。
- 4 吸引チューブを回転させながら痰{たん}を吸引する。
- 5 吸引後は洗浄水を吸引し、清浄綿でチューブを拭く。
- 問題62 次の記述のうち、消化器症状の説明として、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 腹部膨満感は、腹部が張る感覚のことである。
- 2 しゃっくり(吃逆{きつぎゃく})は、胸膜の刺激で起こる現象である。
- 3 胸やけは、飲食物による食道の熱傷のことである。
- 4 げっぷ(噯気)は、咽頭にたまった空気が排出されることである。
- 5 嘔気{おうき}は、胃や腸の内容物が、食道を逆流して口外に吐き出されることである。
- 問題63 Aさん(80歳、女性)は、脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で左片麻痺{ひだりかたまひ}があり、介護老人保健施設に入所して在宅復帰に向けた訓練をしている。嚥下障害{えんげしょうがい}もあるため、経鼻経管栄養による栄養摂取をしているが、経口摂取できないことでイライラしてチューブを抜去したことがある。医師からは一時的な治療であると説明を受けて同意していた。
経管栄養中に介護福祉士が訪室すると、チューブを触りながら、「自分の口から食べたいから、このチューブを抜いてほしい。見た目も良くない」と訴えがあった。看護師に連絡し、チューブが抜けていないことを確認してもらった。
このときのAさんへの介護福祉士の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 チューブを抜かないようにAさんの右手を固定する。
- 2 経管栄養が早く終わるように滴下速度を調節する。
- 3 医師や看護師にAさんの思いを伝える。
- 4 Aさんに胃ろうの造設を提案する。
- 5 Aさんに経口摂取を提案する。
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