第36回(令和5年度)介護福祉士国家試験 筆記試験午後の問題

<領域:介護>

介護の基本

問題64  介護を取り巻く状況に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  ダブルケアとは、夫婦が助け合って子育てをすることである。
2  要介護・要支援の認定者数は、介護保険制度の導入時から年々減少している。
3  家族介護を支えていた家制度は、地域包括ケアシステムによって廃止された。
4  要介護・要支援の認定者のいる三世代世帯の構成割合は、介護保険制度の導入時から年々増加している。
5  家族が担っていた介護の役割は、家族機能の低下によって社会で代替する必要が生じた。
問題65  介護福祉士に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1  傷病者に対する療養上の世話又は診療の補助を業とする。
2  喀痰吸引{かくたんきゅういん}を行うときは市町村の窓口に申請する。
3  業務独占の資格である。
4  資格を更新するために5年ごとに研修を受講する。
5  信用を傷つけるような行為は禁止されている。
問題66  施設利用者の個人情報の保護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  職員がすべての個人情報を自由に閲覧できるように、パスワードを共有する。
2  個人情報を記載した書類は、そのまま新聞紙と一緒に捨てる。
3  個人情報保護に関する研修会を定期的に開催し、意識の向上を図る。
4  職員への守秘義務の提示は、採用時ではなく退職時に書面で行う。
5  利用者の音声情報は、同意を得ずに使用できる。
問題67  個別性や多様性を踏まえた介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  その人らしさは、障害特性から判断する。
2  生活習慣は、生活してきた環境から理解する。
3  生活歴は、成人期以降の情報から収集する。
4  生活様式は、同居する家族と同一にする。
5  衣服は、施設の方針によって統一する。
問題68  Aさん(48歳、女性、要介護1)は、若年性認知症(dementia with early onset)で、夫、長女(高校1年生)と同居している。Aさんは家族と過ごすことを希望し、小規模多機能型居宅介護で通いを中心に利用を始めた。Aさんのことが心配な長女は、部活動を諦めて学校が終わるとすぐに帰宅していた。
ある日、夫が、「長女が、学校の先生たちにも相談しているが、今の状況をわかってくれる人がいないと涙を流すことがある」と介護福祉職に相談をした。
夫の話を聞いた介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  長女に、掃除や洗濯の方法を教える。
2  家族でもっと頑張るように、夫を励ます。
3  同じような体験をしている人と交流できる場について情報を提供する。
4  介護老人福祉施設への入所の申込みを勧める。
5  介護支援専門員(ケアマネジャー)に介護サービスの変更を提案する。
問題69  Bさん(61歳、男性、要介護3)は、脳梗塞(cerebral infarction)による左片麻痺{ひだりかたまひ}がある。週2回訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用し、妻(58歳)と二人暮らしである。自宅での入浴が好きで、妻の介助を受けながら、毎日入浴している。サービス提供責任者に、Bさんから、「浴槽から立ち上がるのがつらくなってきた。何かいい方法はないですか」と相談があった。
Bさんへのサービス提供責任者の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  Bさんがひとりで入浴できるように、自立生活援助の利用を勧める。
2  浴室を広くするために、居宅介護住宅改修費を利用した改築を勧める。
3  妻の入浴介助の負担が軽くなるように、行動援護の利用を勧める。
4  入浴補助用具で本人の力を生かせるように、特定福祉用具販売の利用を勧める。
5  Bさんが入浴を継続できるように、通所介護(デイサービス)の利用を勧める。
問題70  社会奉仕の精神をもって、住民の立場に立って相談に応じ、必要な援助を行い、社会福祉の増進に努める者として、適切なものを1つ選びなさい。
1  民生委員
2  生活相談員
3  訪問介護員(ホームヘルパー)
4  通所介護職員
5  介護支援専門員(ケアマネジャー)
問題71  3階建て介護老人福祉施設がある住宅地に、洪水・内水氾濫の図記号マークに関連した警戒レベル3が発令された。介護福祉職がとるべき行動として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  玄関のドアを開けたままにする。
2  消火器で、初期消火する。
3  垂直避難誘導をする。
4  利用者家族に安否情報を連絡する。
5  転倒の危険性があるものを固定する。
問題72  次の記述のうち、介護における感染症対策として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  手洗いは、液体石鹸{えきたいせっけん}よりも固形石鹸{こけいせっけん}を使用する。
2  配膳時にくしゃみが出たときは、口元をおさえた手でそのまま行う。
3  嘔吐物{おうとぶつ}の処理は、素手で行う。
4  排泄{はいせつ}の介護は、利用者ごとに手袋を交換する。
5  うがい用のコップは、共用にする。
問題73  介護福祉士が行う服薬の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  服薬時間は、食後に統一する。
2  服用できずに残った薬は、介護福祉士の判断で処分する。
3  多種類の薬を処方された場合は、介護福祉士が一包化する。
4  内服薬の用量は、利用者のその日の体調で決める。
5  副作用の知識をもって、服薬の介護を行う。

コミュニケーション技術

問題74  Cさん(85歳、女性、要介護3)は、介護老人保健施設に入所しており、軽度の難聴がある。数日前から、職員は感染症対策として日常的にマスクを着用して勤務することになった。
ある日、D介護福祉職がCさんの居室を訪問すると、「孫が絵を描いて送ってくれたの」と笑いながら絵を見せてくれた。D介護福祉職はCさんの言動に共感的理解を示すために、意図的に非言語コミュニケーションを用いて対応した。
このときのD介護福祉職のCさんへの対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  「よかったですね」と紙に書いて渡した。
2  目元を意識した笑顔を作り、大きくうなずいた。
3  「お孫さんの絵が届いて、うれしかったですね」と耳元で話した。
4  「私もうれしいです」と、ゆっくり話した。
5  「えがとてもじょうずです」と五十音表を用いて伝えた。
問題75  利用者の家族との信頼関係の構築を目的としたコミュニケーションとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  家族に介護技術を教える。
2  家族に介護をしている当事者の会に参加することを提案する。
3  家族から介護の体験を共感的に聴く。
4  家族に介護を続ける強い気持ちがあるかを質問する。
5  家族に介護保険が使える範囲を説明する。
問題76  Eさん(70歳、女性)は、脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で言語に障害がある。発語はできるが、話したいことをうまく言葉に言い表せない。聴覚機能に問題はなく、日常会話で使用する単語はだいたい理解できるが、単語がつながる文章になるとうまく理解できない。ある日、Eさんに介護福祉職が、「お風呂は、今日ではなくあしたですよ」と伝えると、Eさんはしばらく黙って考え、理解できない様子だった。
このとき、Eさんへの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  「何がわからないのか教えてください」と質問する。
2  「お風呂、あした」と短い言葉で伝える。
3  「今日、お風呂に入りたいのですね」と確かめる。
4  「あしたがお風呂の日で、今日は違いますよ」と言い換える。
5  「お・ふ・ろ・は・あ・し・た」と1音ずつ言葉を区切って伝える。
問題77  Fさん(70歳、女性)は、最近、抑うつ状態(depressive state)にあり、ベッドに寝ていることが多く、「もう死んでしまいたい」とつぶやいていた。
Fさんの発言に対する、介護福祉職の言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  「落ちこんだらだめですよ」
2  「とてもつらいのですね」
3  「どうしてそんなに寝てばかりいるのですか」
4  「食堂へおしゃべりに行きましょう」
5  「元気を出して、頑張ってください」
問題78  Gさん(70歳、女性、要介護1)は、有料老人ホームに入居していて、網膜色素変性症(retinitis pigmentosa)による夜盲がある。ある日の夕方、Gさんがうす暗い廊下を歩いているのをH介護福祉職が発見し、「Hです。大丈夫ですか」と声をかけた。Gさんは、「びっくりした。見えにくくて、わからなかった…」と暗い表情で返事をした。
このときのGさんに対するH介護福祉職の受容的な対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  「驚かせてしまいましたね。一緒に歩きましょうか」
2  「明るいところを歩きましょう。電気をつけたほうがいいですよ」
3  「見えにくくなってきたのですね。一緒に点字の練習を始めましょう」
4  「白杖{はくじょう}があるかを確認しておきます。白杖{はくじょう}を使うようにしましょう」
5  「暗い顔をしないでください。頑張りましょう」
問題79  事例検討の目的に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  家族に介護計画を説明し、同意を得る。
2  上司に利用者への対応の結果を報告し、了解を得る。
3  介護計画の検討をとおして、チームの交流を深める。
4  チームで事例の課題を共有し、解決策を見いだす。
5  各職種の日頃の悩みを共有する。

生活支援技術

問題80  介護老人福祉施設における、レクリエーション活動に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  利用者全員が参加することを重視する。
2  毎回、異なるプログラムを企画する。
3  プログラムに買い物や調理も取り入れる。
4  利用者の過去の趣味を、プログラムに取り入れることは避ける。
5  地域のボランティアの参加は、遠慮してもらう。
問題81  関節リウマチ(rheumatoid arthritis)で、関節の変形や痛みがある人への住まいに関する介護福祉職の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  手すりは、握らずに利用できる平手すりを勧める。
2  いすの座面の高さは、低いものを勧める。
3  ベッドよりも、床に布団を敷いて寝るように勧める。
4  部屋のドアは、開き戸を勧める。
5  2階建ての家の場合、居室は2階にすることを勧める。
問題82  心身機能が低下した高齢者の住環境の改善に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  玄関から道路までは、コンクリートから砂利敷きにする。
2  扉の取っ手は、レバーハンドルから丸いドアノブにする。
3  階段の足が乗る板と板の先端部分は、反対色から同系色にする。
4  車いすを使用する居室の床は、畳から板製床材(フローリング)にする。
5  浴槽は、和洋折衷式から洋式にする。
問題83  仰臥位{ぎょうがい}(背臥位{はいがい})から半座位(ファーラー位)にするとき、ギャッチベッドの背上げを行う前の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  背部の圧抜きを行う。
2  臀部{でんぶ}をベッド中央部の曲がる部分に合わせる。
3  ベッドの高さを最も低い高さにする。
4  利用者の足がフットボードに付くまで水平移動する。
5  利用者のからだをベッドに対して斜めにする。
問題84  回復期にある左片麻痺{ひだりかたまひ}の利用者が、ベッドで端座位から立位になるときの基本的な介護方法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  利用者の右側に立つ。
2  利用者に、ベッドに深く座るように促す。
3  利用者に、背すじを伸ばして真上に立ち上がるように促す。
4  利用者の左側に荷重がかかるように支える。
5  利用者の左の膝頭に手を当てて保持し、膝折れを防ぐ。
問題85  標準型車いすを用いた移動の介護に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1  急な上り坂は、すばやく進む。
2  急な下り坂は、前向きで進む。
3  踏切を渡るときは、駆動輪を上げて進む。
4  エレベーターに乗るときは、正面からまっすぐに進む。
5  段差を降りるときは、前輪から下りる。
問題86  医学的管理の必要がない高齢者の爪の手入れに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  爪は、入浴の前に切る。
2  爪の先の白い部分は、残らないように切る。
3  爪は、一度にまっすぐ横に切る。
4  爪の両端は、切らずに残す。
5  爪切り後は、やすりをかけて滑らかにする。
問題87  左片麻痺{ひだりかたまひ}の利用者が、端座位でズボンを着脱するときの介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  最初に、左側の腰を少し上げて脱ぐように促す。
2  右膝を高く上げて、脱ぐように促す。
3  左足を右の大腿{だいたい}の上にのせて、ズボンを通すように促す。
4  立ち上がる前に、ズボンを膝下まで上げるように促す。
5  介護福祉職は右側に立って、ズボンを上げるように促す。
問題88  次のうち、嚥下機能{えんげきのう}の低下している利用者に提供するおやつとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  クッキー
2  カステラ
3  もなか
4  餅
5  プリン
問題89  介護老人福祉施設の介護福祉職が、管理栄養士と連携することが必要な利用者の状態として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  利用者の食べ残しが目立つ。
2  経管栄養をしている利用者が嘔吐{おうと}する。
3  利用者の食事中の姿勢が不安定である。
4  利用者の義歯がぐらついている。
5  利用者の摂食・嚥下{えんげ}の機能訓練が必要である。
問題90  次の記述のうち、血液透析を受けている利用者への食事の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  塩分の多い食品をとるように勧める。
2  ゆでこぼした野菜をとるように勧める。
3  乳製品を多くとるように勧める。
4  水分を多くとるように勧める。
5  魚や肉を使った料理を多くとるように勧める。
問題91  介護老人福祉施設の一般浴(個浴)で、右片麻痺{みぎかたまひ}の利用者が移乗台に座っている。その状態から安全に入浴をするための介護福祉職の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  「浴槽に入るときは、右足から入りましょう」
2  「湯につかるときは、左膝に手をついてゆっくり入りましょう」
3  「浴槽内では、足で浴槽の壁を押すようにして姿勢を安定させましょう」
4  「浴槽内では、後ろの壁に寄りかかり足を伸ばしましょう」
5  「浴槽から出るときは、真上方向に立ち上がりましょう」
問題92  次の記述のうち、椅座位で足浴を行う介護方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  ズボンを脱いだ状態で行う。
2  湯温の確認は、介護福祉職より先に利用者にしてもらう。
3  足底は、足浴用容器の底面に付いていることを確認する。
4  足に付いた石鹸{せっけん}の泡は、洗い流さずに拭き取る。
5  足浴用容器から足を上げた後は、自然乾燥させる。
問題93  身体機能が低下している高齢者が、ストレッチャータイプの特殊浴槽を利用するときの入浴介護の留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  介護福祉職2名で、洗髪と洗身を同時に行う。
2  背部を洗うときは、側臥位{そくがい}にして行う。
3  浴槽に入るときは、両腕の上から固定ベルトを装着する。
4  浴槽では、首までつかるようにする。
5  浴槽につかる時間は、20分程度とする。
問題94  Jさん(84歳、女性、要介護3)は、認知症(dementia)があり、夫(86歳、要支援1)と二人暮らしである。Jさんは尿意はあるが、夫の介護負担を軽減するため終日おむつを使用しており、尿路感染症(urinary tract infection)を繰り返していた。夫が体調不良になったので、Jさんは介護老人福祉施設に入所した。
Jさんの尿路感染症(urinary tract infection)を予防する介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  尿の性状を観察する。
2  体温の変化を観察する。
3  陰部洗浄の回数を検討する。
4  おむつを使わないで、トイレに誘導する。
5  膀胱留置{ぼうこうりゅうち}カテーテルの使用を提案する。
問題95  夜間、自宅のトイレでの排泄{はいせつ}が間に合わずに失敗してしまう高齢者への介護福祉職の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  水分摂取量を減らすように勧める。
2  終日、リハビリパンツを使用するように勧める。
3  睡眠薬を服用するように勧める。
4  泌尿器科を受診するように勧める。
5  夜間は、ポータブルトイレを使用するように勧める。
問題96  介護福祉職が行うことができる、市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器{かんちょうき}を用いた排便の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  浣腸液{かんちょうえき}は、39℃~40℃に温める。
2  浣腸液{かんちょうえき}を注入するときは、立位をとるように声をかける。
3  浣腸液{かんちょうえき}は、すばやく注入する。
4  浣腸液{かんちょうえき}を注入したら、すぐに排便するように声をかける。
5  排便がない場合は、新しい浣腸液{かんちょうえき}を再注入する。
問題97  訪問介護員(ホームヘルパー)が行う見守り的援助として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  ゴミの分別ができるように声をかける。
2  利用者がテレビを見ている間に洗濯物を干す。
3  着られなくなった服を作り直す。
4  調理したものを盛り付け、食事を提供する。
5  冷蔵庫の中を整理し、賞味期限が切れた食品を捨てておく。
問題98  高齢者が靴下・靴を選ぶときの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  靴下は、指つきのきついものを勧める。
2  靴下は、足底に滑り止めがあるものを勧める。
3  靴は、床面からつま先までの高さが小さいものを勧める。
4  靴は、踵{かかと}のない脱ぎやすいものを勧める。
5  靴は、先端部に0.5~1cmの余裕があるものを勧める。
問題99  Kさん(77歳、女性、要支援2)は、もの忘れが目立ちはじめ、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら夫と二人で生活している。訪問時、Kさん夫婦から、「Kさんがテレビショッピングで購入した健康食品が毎月届いてしまい、高額の支払いが発生して困っている」と相談があった。
Kさん夫婦に対する訪問介護員(ホームヘルパー)の発言として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  「健康食品は処分しましょう」
2  「クーリング・オフをしましょう」
3  「買い物は夫がするようにしましょう」
4  「契約内容を一緒に確認しましょう」
5  「テレビショッピングでの買い物はやめましょう」
問題100  消化管ストーマを造設した利用者への睡眠の介護に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  寝る前にストーマから出血がある場合は、軟膏{なんこう}を塗布する。
2  寝る前に、パウチに便がたまっていたら捨てる。
3  寝る前に、ストーマ装具を新しいものに交換する。
4  便の漏れが心配な場合は、パウチの上からおむつを強く巻く。
5  睡眠を妨げないように、パウチの観察は控える。
問題101  Lさん(79歳、男性、要介護2)は、介護老人保健施設に入所して1か月が経過した。睡眠中に大きないびきをかいていることが多く、いびきの音が途切れることもある。夜間に目を覚ましていたり、起床時にだるそうにしている様子もしばしば見られている。
介護福祉職がLさんについて収集すべき情報として、最も優先度の高いものを1つ選びなさい。
1  枕の高さ
2  マットレスの硬さ
3  掛け布団の重さ
4  睡眠中の足の動き
5  睡眠中の呼吸状態
問題102  Mさん(98歳、男性、要介護5)は、介護老人福祉施設に入所している。誤嚥性肺炎{ごえんせいはいえん}(aspiration pneumonia)で入退院を繰り返し、医師からは終末期が近い状態であるといわれている。
介護福祉職が確認すべきこととして、最も優先度の高いものを1つ選びなさい。
1  主治医の今後の見通し
2  誤嚥性肺炎{ごえんせいはいえん}(aspiration pneumonia)の発症時の入院先
3  経口摂取に対する本人の意向
4  経口摂取に対する家族の意向
5  延命治療に対する家族の希望
問題103  デスカンファレンス(death conference)の目的に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  一般的な死の受容過程を学習する。
2  終末期を迎えている利用者の介護について検討する。
3  利用者の家族に対して、死が近づいたときの身体の変化を説明する。
4  亡くなった利用者の事例を振り返り、今後の介護に活用する。
5  終末期の介護に必要な死生観を統一する。
問題104  福祉用具を活用するときの基本的な考え方として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  福祉用具が活用できれば、住宅改修は検討しない。
2  複数の福祉用具を使用するときは、状況に合わせた組合せを考える。
3  福祉用具の選択に迷うときは、社会福祉士に選択を依頼する。
4  家族介護者の負担軽減を最優先して選ぶ。
5  福祉用具の利用状況のモニタリング(monitoring)は不要である。
問題105  次のうち、握力の低下がある利用者が使用する杖{つえ}として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  T字杖
2  オフセット杖
3  ロフストランド・クラッチ
4  多点杖
5  サイドケイン

介護過程

問題106  介護福祉職が、初回の面談で情報を収集するときの留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  用意した項目を次から次に質問する。
2  目的を意識しながら話を聴く。
3  ほかの利用者が同席する状況で質問する。
4  最初に経済状態に関する質問をする。
5  家族の要望を中心に話を聴く。
問題107  介護過程の評価に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  生活状況が変化しても、介護計画で設定した日に評価する。
2  サービス担当者会議で評価する。
3  相談支援専門員が中心になって評価する。
4  利用者の満足度を踏まえて評価する。
5  介護計画の実施中に評価基準を設定する。
問題108  次の記述のうち、介護老人保健施設で多職種連携によるチームアプローチ(team approach)を実践するとき、介護福祉職が担う役割として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  利用者の生活状況の変化に関する情報を提供する。
2  総合的な支援の方向性を決める。
3  サービス担当者会議を開催する。
4  必要な検査を指示する。
5  ほかの職種が担う貢献度を評価する。

次の事例を読んで、問題109、問題110について答えなさい。
〔事  例〕
Aさん(75歳、女性)は、一人暮らしで、身体機能に問題はない。70歳まで地域の子どもたちに大正琴を教えていた。認知症(dementia)の進行が疑われて、心配した友人が地域包括支援センターに相談した結果、Aさんは介護老人福祉施設に入所することになった。入所時のAさんの要介護度は3であった。
入所後、短期目標を、「施設に慣れ、安心して生活する(3か月)」と設定し、計画は順調に進んでいた。Aさんは施設の大正琴クラブに自ら進んで参加し、演奏したり、ほかの利用者に大正琴を笑顔で教えたりしていた。ある日、クラブの終了後に、Aさんは部屋に戻らずに、エレベーターの前で立ち止まっていた。介護職員が声をかけると、Aさんが、「あの子たちが待っているの」と強い口調で言った。

問題109  大正琴クラブが終わった後のAさんの行動を解釈するために必要な情報として、最も優先すべきものを1つ選びなさい。
1  介護職員の声かけのタイミング
2  Aさんが演奏した時間
3  「あの子たちが待っているの」という発言
4  クラブに参加した利用者の人数
5  居室とエレベーターの位置関係
問題110  Aさんの状況から支援を見直すことになった。
次の記述のうち、新たな支援の方向性として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  介護職員との関係を改善する。
2  身体機能を改善する。
3  演奏できる自信を取り戻す。
4  エレベーターの前に座れる環境を整える。
5  大正琴を教える役割をもつ。

次の事例を読んで、問題111、問題112について答えなさい。
〔事  例〕
Bさん(50歳、男性、障害支援区分3)は、49歳のときに脳梗塞(cerebral infarction)を発症し、左片麻痺{ひだりかたまひ}で高次脳機能障害(higher brain dysfunction)と診断された。以前は大工で、手先が器用だったと言っている。
現在は就労継続支援B型事業所に通っている。短期目標を、「右手を使い、作業を自分ひとりで行える(3か月)」と設定し、製品を箱に入れる単純作業を任されていた。ほかの利用者との人間関係も良好で、左片麻痺{ひだりかたまひ}に合わせた作業台で、毎日の作業目標を達成していた。生活支援員には、「将来は手先を使う仕事に就きたい」と希望を話していた。
将来に向けて、生活支援員が新たに製品の組立て作業を提案すると、Bさんも喜んで受け入れた。初日に、「ひとりで頑張る」と始めたが、途中で何度も手が止まり、完成品に不備が見られた。生活支援員が声をかけると、「こんなの、できない」と大声を出した。

問題111  生活支援員の声かけに対し、Bさんが大声を出した理由を解釈する視点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  ほかの利用者との人間関係
2  生活支援員に話した将来の希望
3  製品を箱に入れる毎日の作業量
4  製品の組立て作業の状況
5  左片麻痺{ひだりかたまひ}に合わせた作業台
問題112  Bさんに対するカンファレンス(conference)が開催され、短期目標を達成するための具体的な支援について見直すことになった。
次の記述のうち、見直した支援内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  完成品の不備を出すことへの反省を促す。
2  左側に部品を置いて作業するように促す。
3  完成までの手順を理解しやすいように示す。
4  生活支援員が横に座り続けて作業内容を指示する。
5  製品を箱に入れる単純作業も同時に行うように調整する。
問題113  事例研究を行うときに、遵守すべき倫理的配慮として、適切なものを1つ選びなさい。
1  研究内容を説明して、事例対象者の同意を得る。
2  個人が特定できるように、氏名を記載する。
3  得られたデータは、研究終了後すぐに破棄する。
4  論文の一部であれば、引用元を明示せずに利用できる。
5  研究成果を得るために、事実を拡大解釈する。

<総合問題>

総合問題

(総合問題1)

次の事例を読んで、問題114から問題116までについて答えなさい。
〔事  例〕
Cさん(59歳、男性)は、妻(55歳)と二人暮らしであり、専業農家である。Cさんはおとなしい性格であったが、最近怒りやすくなったと妻は感じていた。Cさんは毎日同じ時間に同じコースを散歩している。ある日、散歩コースの途中にあり、昔からよく行く八百屋から、「Cさんが代金を支払わずに商品を持っていった。今回で2回目になる。お金を支払いにきてもらえないか」と妻に連絡があった。妻がCさんに確認したところ、悪いことをした認識がなかった。心配になった妻がCさんと病院に行くと、前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia)と診断を受けた。妻は今後同じようなことが起きないように、Cさんの行動を常に見守り、外出を制限したが、疲労がたまり、今後の生活に不安を感じた。そこで、地域包括支援センターに相談し、要介護認定の申請を行い、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用することになった。

問題114  Cさんが八百屋でとった行動から考えられる状態として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  脱抑制
2  記憶障害
3  感情失禁
4  見当識障害
5  遂行機能障害
問題115  Cさんの介護保険制度の利用に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1  介護保険サービスの利用者負担割合は1割である。
2  介護保険料は特別徴収によって納付する。
3  要介護認定の結果が出る前に介護保険サービスを利用することはできない。
4  要介護認定の利用者負担割合は2割である。
5  介護保険サービスの費用はサービスの利用回数に関わらず定額である。
問題116  その後、妻に外出を制限されたCさんは不穏となった。困った妻が訪問介護員(ホームヘルパー)に相談したところ、「八百屋に事情を話して事前にお金を渡して、Cさんが品物を持ち去ったときは、渡したお金から商品代金を支払うようにお願いしてはどうか」とアドバイスを受けた。
訪問介護員(ホームヘルパー)が意図したCさんへの関わりをICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)に当てはめた記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  個人因子への影響を意図して、健康状態に働きかける。
2  健康状態への影響を意図して、心身機能に働きかける。
3  活動への影響を意図して、身体構造に働きかける。
4  参加への影響を意図して、環境因子に働きかける。
5  環境因子への影響を意図して、個人因子に働きかける。

(総合問題2)

次の事例を読んで、問題117から問題119までについて答えなさい。
〔事  例〕
Dさん(70歳、男性)は、自宅で妻と二人暮らしで、年金収入で生活している。ある日、車を運転中に事故に遭い救急搬送された。医師からは、第4胸髄節まで機能が残存している脊髄損傷(spinal cord injury)と説明を受けた。Dさんは、入院中に要介護3の認定を受けた。
Dさんは、退院後は自宅で生活することを望んでいた。妻は一緒に暮らしたいと思うが、Dさんの身体状況を考えると不安を感じていた。介護支援専門員(ケアマネジャー)は、「退院後は、在宅復帰を目的に、一定の期間、リハビリテーション専門職がいる施設で生活してはどうか」とDさんに提案した。Dさんは妻と退院後の生活について話し合った結果、一定期間施設に入所して、その間に、自宅の住宅改修を行うことにして、介護支援専門員(ケアマネジャー)に居宅介護住宅改修費について相談した。

問題117  次のうち、Dさんが提案を受けた施設として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  養護老人ホーム
2  軽費老人ホーム
3  介護老人福祉施設
4  介護老人保健施設
5  介護医療院
問題118  次のうち、介護支援専門員(ケアマネジャー)がDさんに説明する居宅介護住宅改修費の支給限度基準額として、適切なものを1つ選びなさい。
1  10万円
2  15万円
3  20万円
4  25万円
5  30万円
問題119  Dさんが施設入所してから3か月後、住宅改修を終えた自宅に戻ることになった。Dさんは自宅での生活を楽しみにしている。その一方で、不安も抱えていたため、担当の介護福祉士は、理学療法士と作業療法士に相談して、生活上の留意点を記載した冊子を作成して、Dさんに手渡した。
次の記述のうち、冊子の内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  食事では、スプーンを自助具で手に固定する。
2  移動には、リクライニング式車いすを使用する。
3  寝具は、エアーマットを使用する。
4  更衣は、ボタンエイドを使用する。
5  外出するときには、事前に多機能トイレの場所を確認する。

(総合問題3)

次の事例を読んで、問題120から問題122までについて答えなさい。
〔事  例〕
Eさん(34歳、女性、障害支援区分3)は、特別支援学校の高等部を卒業後、週2回、生活介護を利用しながら自宅で生活している。Eさんはアテトーゼ型(athetosis)の脳性麻痺{のうせいまひ}(cerebral palsy)で不随意運動があり、首を振る動作が見られる。
食事は首の動きに合わせて、自助具を使って食べている。食事中は不随意運動が強く、食事が終わると、「首が痛い、しびれる」と言ってベッドに横になるときがある。
また、お茶を飲むときは取っ手つきのコップで飲んでいるが、コップを口元に運ぶまでにお茶がこぼれるようになってきた。日頃から自分のことは自分でやりたいと考えていて、お茶が上手に飲めなくなってきたことを気にしている。
Eさんは、生活介護事業所で油絵を描くことを楽しみにしている。以前から隣町の油絵教室に通い技術を高めたいと話していた。そこでEさんは、「自宅から油絵教室に通うときの介助をお願いするにはどうしたらよいか」と介護福祉職に相談した。

問題120  Eさんの食事の様子から、今後、引き起こされる可能性が高いと考えられる二次障害として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  変形性股関節症(coxarthrosis)
2  廃用症候群(disuse syndrome)
3  起立性低血圧(orthostatic hypotension)
4  脊柱側弯症{せきちゅうそくわんしょう}(scoliosis)
5  頚椎症性脊髄症{けいついしょうせいせきずいしょう}(cervical spondylotic myelopathy)
問題121  Eさんがお茶を飲むときの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  吸い飲みに変更する。
2  ストローつきコップに変更する。
3  重いコップに変更する。
4  コップを両手で持つように伝える。
5  全介助を行う。
問題122  介護福祉職は、Eさんが隣町の油絵教室に通うことができるようにサービスを提案したいと考えている。
次のうち、Eさんが利用するサービスとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  自立生活援助
2  療養介護
3  移動支援
4  自立訓練
5  同行援護

(総合問題4)

次の事例を読んで、問題123から問題125までについて答えなさい。
〔事  例〕
Fさん(20歳、男性)は、自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)と重度の知的障害があり、自宅で母親(50歳)、姉(25歳)と3人で暮らしている。
Fさんは生活介護事業所を利用している。事業所では比較的落ち着いているが、自宅に帰ってくると母親に対してかみつきや頭突きをすることがあった。また、自分で頭をたたくなどの自傷行為もたびたび見られる。
仕事をしている母親に代わり、小さい頃から食事や排泄{はいせつ}の介護をしている姉は、これまでFさんの行動を止めることができていたが、最近ではからだが大きくなり力も強くなって、母親と協力しても止めることが難しくなっていた。
家族で今後のことを考えた結果、Fさんは障害者支援施設に入所することになった。

問題123  次のうち、Fさんが自宅に帰ってきたときの状態に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  学習障害
2  注意欠陥多動性障害
3  高次脳機能障害
4  強度行動障害
5  気分障害
問題124  Fさんが入所してからも月1、2回は、姉が施設を訪ね、Fさんの世話をしている。
ある日、担当の介護福祉職が姉に声をかけると、「小学生の頃から、学校が終わると友だちと遊ばずにまっすぐ家に帰り、母親に代わって、弟の世話をしてきた。今は、弟を見捨てたようで、申し訳ない」などと話す。
介護福祉職の姉への対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  「これからもFさんのお世話をしっかり行ってください」
2  「Fさんは落ち着いていて、自傷他害行為があるようには見えませんね」
3  「お姉さんは、小さい頃からお母さんの代わりをしてきたのですね」
4  「訪問回数を減らしてはどうですか」
5  「施設入所を後悔しているのですね。もう一度在宅ケアを考えましょう」
問題125  Fさんが施設に入所して1年が経った。介護福祉職は、Fさん、母親、姉と共にこれまでの生活と支援を振り返り、当面、施設で安定した生活が送れるように検討した。
次のうち、Fさんの支援を修正するときに利用するサービスとして、正しいものを1つ選びなさい。
1  地域定着支援
2  計画相談支援
3  地域移行支援
4  基幹相談支援
5  基本相談支援
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