第36回(令和5年度)介護福祉士国家試験 筆記試験午前の問題

<領域:人間と社会>

人間の尊厳と自立

問題1  Aさん(76歳、女性、要支援1)は、一人暮らしである。週1回介護予防通所リハビリテーションを利用しながら、近所の友人たちとの麻雀{まーじゃん}を楽しみに生活している。最近、膝に痛みを感じ、変形性膝関節症(knee osteoarthritis)と診断された。同時期に友人が入院し、楽しみにしていた麻雀{まーじゃん}ができなくなった。Aさんは徐々に今後の生活に不安を感じるようになった。ある日、「自宅で暮らし続けたいけど、心配なの…」と介護福祉職に話した。
Aさんに対する介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  要介護認定の申請を勧める。
2  友人のお見舞いを勧める。
3  膝の精密検査を勧める。
4  別の趣味活動の希望を聞く。
5  生活に対する思いを聞く。
問題2  次の記述のうち、介護を必要とする人の自立についての考え方として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  自立は、他者の支援を受けないことである。
2  精神的自立は、生活の目標をもち、自らが主体となって物事を進めていくことである。
3  社会的自立は、社会的な役割から離れて自由になることである。
4  身体的自立は、介護者の身体的負担を軽減することである。
5  経済的自立は、経済活動や社会活動に参加せずに、生活を営むことである。

人間関係とコミュニケーション

問題3  U介護老人福祉施設では、利用者の介護計画を担当の介護福祉職が作成している。このため、利用者の個別の介護目標を、介護福祉職のチーム全員で共有することが課題になっている。
この課題を解決するための取り組みとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  管理職がチーム全体に注意喚起して、集団規範を形成する。
2  現場経験の長い介護福祉職の意見を優先して、同調行動を促す。
3  チームメンバーの懇談会を実施して、内集団バイアスを強化する。
4  チームメンバー間の集団圧力を利用して、多数派の意見に統一する。
5  担当以外のチームメンバーもカンファレンス(conference)に参加して、集団凝集性を高める。
問題4  Bさん(90歳、女性、要介護3)は、介護老人福祉施設に入所している。入浴日に、担当の介護福祉職が居室を訪問し、「Bさん、今日はお風呂の日です。時間は午後3時からです」と伝えた。しかし、Bさんは言っていることがわからなかったようで、「はい、何ですか」と困った様子で言った。
このときの、介護福祉職の準言語を活用した対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  強い口調で伝えた。
2  抑揚をつけずに伝えた。
3  大きな声でゆっくり伝えた。
4  急かすように伝えた。
5  早口で伝えた。
問題5  V介護老人福祉施設では、感染症が流行したために、緊急的な介護体制で事業を継続することになった。さらに労務管理を担当する職員からは、介護福祉職の精神的健康を守ることを目的とした組織的なマネジメントに取り組む必要性について提案があった。
次の記述のうち、このマネジメントに該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  感染防止対策を強化する。
2  多職種チームでの連携を強化する。
3  利用者のストレスをコントロールする。
4  介護福祉職の燃え尽き症候群(バーンアウト(burnout))を防止する。
5  利用者家族の面会方法を見直す。
問題6  次のうち、介護老人福祉施設における全体の指揮命令系統を把握するために必要なものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  組織図
2  勤務表
3  経営理念
4  施設の歴史
5  資格保有者数

社会の理解

問題7  次のうち、セルフヘルプグループ(self-help group)の活動に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  断酒会
2  施設の社会貢献活動
3  子ども食堂の運営
4  傾聴ボランティア
5  地域の町内会
問題8  特定非営利活動法人(NPO法人)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  社会福祉法に基づいて設置される。
2  市町村が認証する。
3  保健、医療又は福祉の増進を図る活動が最も多い。
4  収益活動は禁じられている。
5  宗教活動を主たる目的とする団体もある。
問題9  地域福祉において、19世紀後半に始まった、貧困地域に住み込んで実態調査を行いながら住民への教育や生活上の援助を行ったものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  世界保健機関(WHO)
2  福祉事務所
3  地域包括支援センター
4  生活協同組合
5  セツルメント
問題10  社会福祉基礎構造改革に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1  社会福祉法が社会福祉事業法に改正された。
2  利用契約制度から措置制度に変更された。
3  サービス提供事業者は、社会福祉法人に限定された。
4  障害福祉分野での制度改正は見送られた。
5  判断能力が不十分な者に対する地域福祉権利擁護事業が創設された。
問題11  Cさん(77歳、男性)は、60歳で公務員を定年退職し、年金生活をしている。持病や障害はなく、退職後も趣味のゴルフを楽しみながら健康に過ごしている。ある日、Cさんはゴルフ中にけがをして医療機関を受診した。 このとき、Cさんに適用される公的医療制度として、正しいものを1つ選びなさい。
1  国民健康保険
2  後期高齢者医療制度
3  共済組合保険
4  育成医療
5  更生医療
問題12  次のうち、介護保険法に基づき、都道府県・指定都市・中核市が指定(許可)、監督を行うサービスとして、正しいものを1つ選びなさい。
1  地域密着型介護サービス
2  居宅介護支援
3  施設サービス
4  夜間対応型訪問介護
5  介護予防支援
問題13  「障害者差別解消法」に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1  法の対象者は、身体障害者手帳を交付された者に限定されている。
2  合理的配慮は、実施するときの負担の大小に関係なく提供する。
3  個人による差別行為への罰則規定がある。
4  雇用分野での、障害を理由とした使用者による虐待の禁止が目的である。
5  障害者基本法の基本的な理念を具体的に実施するために制定された。
問題14  「障害者総合支援法」に規定された移動に関する支援の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  移動支援については、介護給付費が支給される。
2  行動援護は、周囲の状況把握ができない視覚障害者が利用する。
3  同行援護は、危険を回避できない知的障害者が利用する。
4  重度訪問介護は、重度障害者の外出支援も行う。
5  共同生活援助(グループホーム)は、地域で生活する障害者の外出支援を行う。
問題15  Dさん(80歳、男性、要介護2)は、認知症(dementia)がある。訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら一人暮らしをしている。
ある日、訪問介護員(ホームヘルパー)がDさんの自宅を訪問すると、近所に住むDさんの長女から、「父が、高額な投資信託の電話勧誘を受けて、契約しようかどうか悩んでいるようで心配だ」と相談された。
訪問介護員(ホームヘルパー)が長女に助言する相談先として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  公正取引委員会
2  都道府県障害者権利擁護センター
3  運営適正化委員会
4  消費生活センター
5  市町村保健センター
問題16  災害時の福祉避難所に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1  介護老人福祉施設の入所者は、原則として福祉避難所の対象外である。
2  介護保険法に基づいて指定される避難所である。
3  医療的ケアを必要とする者は対象にならない。
4  訪問介護員(ホームヘルパー)が、災害対策基本法に基づいて派遣される。
5  同行援護のヘルパーが、災害救助法に基づいて派遣される。
問題17  「感染症法」に基づいて、結核(tuberculosis)を発症した在宅の高齢者に、医療費の公費負担の申請業務や家庭訪問指導などを行う機関として、適切なものを1つ選びなさい。
1  基幹相談支援センター
2  地域活動支援センター
3  保健所
4  老人福祉センター
5  医療保護施設
問題18  Eさん(55歳、女性、障害の有無は不明)は、ひきこもりの状態にあり、就労していない。父親の年金で父親とアパートで暮らしていたが、父親が亡くなり、一人暮らしになった。遠方に住む弟は、姉が家賃を滞納していて、生活に困っているようだと、家主から連絡を受けた。
心配した弟が相談する機関として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  地域包括支援センター
2  福祉事務所
3  精神保健福祉センター
4  公共職業安定所(ハローワーク)
5  年金事務所

<領域:こころとからだのしくみ>

こころとからだのしくみ

問題19  次のうち、マズロー(Maslow, A.H.)の欲求階層説で成長欲求に該当するものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1  承認欲求
2  安全欲求
3  自己実現欲求
4  生理的欲求
5  所属・愛情欲求
問題20  次のうち、交感神経の作用に該当するものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1  血管収縮
2  心拍数減少
3  気道収縮
4  消化促進
5  瞳孔収縮
問題21  Fさん(82歳、女性)は、健康診断で骨粗鬆症{こつそしょうしょう}(osteoporosis)と診断され、内服治療が開始された。杖歩行{つえほこう}で時々ふらつくが、ゆっくりと自立歩行することができる。昼間は自室にこもり、ベッドで横になっていることが多い。リハビリテーションとして週3日歩行訓練を行い、食事は普通食を毎食8割以上摂取している。
Fさんの骨粗鬆症{こつそしょうしょう}(osteoporosis)の進行を予防するための支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  リハビリテーションを週1日に変更する。
2  繊維質の多い食事を勧める。
3  日光浴を日課に取り入れる。
4  車いすでの移動に変更する。
5  ビタミンA(vitamin A)の摂取を勧める。
問題22  中耳にある耳小骨として、正しいものを1つ選びなさい。
1  ツチ骨
2  蝶形骨{ちょうけいこつ}
3  前頭骨
4  頬骨{きょうこつ}
5  上顎骨
問題23  成人の爪に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1  主成分はタンパク質である。
2  1日に1mm程度伸びる。
3  爪の外表面には爪床がある。
4  正常な爪は全体が白色である。
5  爪半月は角質化が進んでいる。
問題24  食物が入り誤嚥{ごえん}が生じる部位として、適切なものを1つ選びなさい。
1  扁桃{へんとう}
2  食道
3  耳管
4  気管
5  咽頭
問題25  Gさん(79歳、男性)は、介護老人保健施設に入所している。Gさんは普段から食べ物をかきこむように食べる様子がみられ、最近はむせることが多くなった。義歯は使用していない。食事は普通食を摂取している。ある日の昼食時、唐揚げを口の中に入れたあと、喉をつかむようなしぐさをし、苦しそうな表情になった。
Gさんに起きていることとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  心筋梗塞(myocardial infarction)
2  蕁麻疹{じんましん}(urticaria)
3  誤嚥性肺炎{ごえんせいはいえん}(aspiration pneumonia)
4  食中毒(foodborne disease)
5  窒息(choking)
問題26  Hさん(60歳、男性)は、身長170cm、体重120kgである。Hさんは浴槽で入浴しているときに毎回、「お風呂につかると、からだが軽く感じて楽になります」と話す。胸が苦しいなど、ほかの訴えはない。
Hさんが話している内容に関連する入浴の作用として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  静水圧作用
2  温熱作用
3  清潔作用
4  浮力作用
5  代謝作用
問題27  男性に比べて女性に尿路感染症(urinary tract infection)が起こりやすい要因として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  子宮の圧迫がある。
2  尿道が短く直線的である。
3  腹部の筋力が弱い。
4  女性ホルモンの作用がある。
5  尿道括約筋が弛緩{しかん}している。
問題28  次のうち、眠りが浅くなる原因として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  抗不安薬
2  就寝前の飲酒
3  抗アレルギー薬
4  抗うつ薬
5  足浴
問題29  概日リズム睡眠障害(circadian rhythm sleep disorder)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  早朝に目が覚める。
2  睡眠中に下肢が勝手にピクピクと動いてしまう。
3  睡眠中に呼吸が止まる。
4  睡眠中に突然大声を出したり身体を動かしたりする。
5  夕方に強い眠気を感じて就寝し、深夜に覚醒してしまう。
問題30  鎮痛薬としてモルヒネを使用している利用者に、医療職と連携した介護を実践するときに留意すべき観察点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  不眠
2  下痢
3  脈拍
4  呼吸
5  体温

発達と老化の理解

問題31  スキャモン(Scammon, R.E.)の発達曲線に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1  神経系の組織は、4歳ごろから急速に発達する。
2  筋骨格系の組織は、4歳ごろから急速に発達する。
3  生殖器系の組織は、12歳ごろから急速に発達する。
4  循環器系の組織は、20歳ごろから急速に発達する。
5  リンパ系の組織は、20歳ごろから急速に発達する。
問題32  幼稚園児のJさん(6歳、男性)には、広汎性発達障害(pervasive developmental disorder)がある。砂場で砂だんごを作り、きれいに並べることが好きで、毎日、一人で砂だんごを作り続けている。
ある日、園児が帰宅した後に、担任が台風に備えて砂場に青いシートをかけておいた。翌朝、登園したJさんが、いつものように砂場に行くと、青いシートがかかっていた。Jさんはパニックになり、その場で泣き続け、なかなか落ち着くことができなかった。
担任は、Jさんにどのように対応すればよかったのか、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  前日に、「あしたは、台風が来るよ」と伝える。
2  前日に、「あしたは、台風が来るので砂場は使えないよ」と伝える。
3  前日に、「あしたは、おだんご屋さんは閉店です」と伝える。
4  その場で、「今日は、砂場は使えないよ」と伝える。
5  その場で、「今日は、おだんご屋さんは閉店です」と伝える。
問題33  生理的老化に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  環境によって起こる現象である。
2  訓練によって回復できる現象である。
3  個体の生命活動に有利にはたらく現象である。
4  人間固有の現象である。
5  遺伝的にプログラムされた現象である。
問題34  エイジズム(ageism)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  高齢を理由にして、偏見をもったり差別したりすることである。
2  高齢になっても生産的な活動を行うことである。
3  高齢になることを嫌悪する心理のことである。
4  加齢に抵抗して、健康的に生きようとすることである。
5  加齢を受容して、活動的に生きようとすることである。
問題35  Kさん(80歳、男性)は、40歳ごろから職場の健康診査で高血圧と高コレステロール血症(hypercholesterolemia)を指摘されていた。最近、階段を上るときに胸の痛みを感じていたが、しばらく休むと軽快していた。喉の違和感や嚥下痛{えんげつう}はない。今朝、朝食後から冷や汗を伴う激しい胸痛が起こり、30分しても軽快しないので、救急車を呼んだ。
Kさんに考えられる状況として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  喘息{ぜんそく}(bronchial asthma)
2  肺炎(pneumonia)
3  脳梗塞(cerebral infarction)
4  心筋梗塞(myocardial infarction)
5  逆流性食道炎(reflux esophagitis)
問題36  次のうち、健康寿命の説明として、適切なものを1つ選びなさい。
1  0歳児の平均余命
2  65歳時の平均余命
3  65歳時の平均余命から介護期間を差し引いたもの
4  介護状態に至らずに死亡する人の平均寿命
5  健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間
問題37  次のうち、前立腺肥大症(prostatic hypertrophy)に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  抗利尿ホルモンが関与している。
2  症状が進むと無尿になる。
3  初期には頻尿が出現する。
4  進行すると透析の対象になる。
5  骨盤底筋訓練で回復が期待できる。
問題38  次のうち、高齢期に多い筋骨格系の疾患に関する記述として、適切なものを1つ選びなさい。
1  骨粗鬆症{こつそしょうしょう}(osteoporosis)は男性に多い。
2  変形性膝関節症(knee osteoarthritis)ではX脚に変形する。
3  関節リウマチ(rheumatoid arthritis)は軟骨の老化によって起こる。
4  腰部脊柱管狭窄症{ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう}(lumbar spinal canal stenosis)では下肢のしびれがみられる。
5  サルコペニア(sarcopenia)は骨量の低下が特徴である。

認知症の理解

問題39  高齢者の自動車運転免許に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1  75歳から免許更新時の認知機能検査が義務づけられている。
2  80歳から免許更新時の運転技能検査が義務づけられている。
3  軽度認知障害(mild cognitive impairment)と診断された人は運転免許取消しになる。
4  認知症(dementia)の人はサポートカー限定免許であれば運転が可能である。
5  認知症(dementia)による運転免許取消しの後、運転経歴証明書が交付される。
問題40  認知症(dementia)の行動・心理症状(BPSD)であるアパシー(apathy)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1  感情の起伏がみられない。
2  将来に希望がもてない。
3  気持ちが落ち込む。
4  理想どおりにいかず悩む。
5  自分を責める。
問題41  認知症(dementia)の人にみられる、せん妄に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  ゆっくりと発症する。
2  意識は清明である。
3  注意機能は保たれる。
4  体調の変化が誘因になる。
5  日中に多くみられる。
問題42  レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)にみられる歩行障害として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  しばらく歩くと足に痛みを感じて、休みながら歩く。
2  最初の一歩が踏み出しにくく、小刻みに歩く。
3  動きがぎこちなく、酔っぱらったように歩く。
4  下肢は伸展し、つま先を引きずるように歩く。
5  歩くごとに骨盤が傾き、腰を左右に振って歩く。
問題43  次の記述のうち、若年性認知症(dementia with early onset)の特徴として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  高齢の認知症(dementia)に比べて、症状の進行速度は緩やかなことが多い。
2  男性よりも女性の発症者が多い。
3  50歳代よりも30歳代の有病率が高い。
4  特定健康診査で発見されることが多い。
5  高齢の認知症(dementia)に比べて、就労支援が必要になることが多い。
問題44  Lさん(78歳、女性、要介護1)は、3年前にアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断された。訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用し、夫の介護を受けながら二人で暮らしている。ある日、訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問すると夫から、「用事で外出しようとすると『外で女性に会っている』と言って興奮することが増えて困っている」と相談を受けた。 Lさんの症状に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  誤認
2  観念失行
3  嫉妬妄想
4  視覚失認
5  幻視
問題45  認知機能障害による生活への影響に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  遂行機能障害により、自宅がわからない。
2  記憶障害により、出された食事を食べない。
3  相貌失認により、目の前の家族がわからない。
4  視空間認知障害により、今日の日付がわからない。
5  病識低下により、うつ状態になりやすい。
問題46  バリデーション(validation)に基づく、認知症(dementia)の人の動きや感情に合わせるコミュニケーション技法として、正しいものを1つ選びなさい。
1  センタリング(centering)
2  リフレージング(rephrasing)
3  レミニシング(reminiscing)
4  ミラーリング(mirroring)
5  カリブレーション(calibration)
問題47  Mさん(80歳、女性、要介護1)は、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)であり、3日前に認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)に入居した。主治医から向精神薬が処方されている。居室では穏やかに過ごしていた。夕食後、表情が険しくなり、「こんなところにはいられません。私は家に帰ります」と大声を上げ、ほかの利用者にも、「あなたも一緒に帰りましょう」と声をかけて皆が落ち着かなくなることがあった。 Mさんの介護を検討するときに優先することとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  Mさんが訴えている内容
2  Mさんの日中の過ごし方
3  ほかの利用者が落ち着かなくなったこと
4  対応に困ったこと
5  薬が効かなかったこと
問題48  Aさん(80歳、男性、要介護1)は、認知症(dementia)で、妻の介護を受けながら二人で暮らしている。「夫は昼夜逆転がある。在宅介護を続けたいが、私が体調を崩し数日間の入院が必要になった」と言う妻に提案する、Aさんへの介護サービスとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  認知症対応型通所介護(認知症対応型デイサービス)
2  短期入所生活介護(ショートステイ)
3  認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
4  特定施設入居者生活介護
5  介護老人福祉施設

障害の理解

問題49  次のうち、ノーマライゼーション(normalization)の原理を盛り込んだ法律(いわゆる「1959年法」)を制定した最初の国として、正しいものを1つ選びなさい。
1  デンマーク
2  イギリス
3  アメリカ
4  スウェーデン
5  ノルウェー
問題50  法定後見制度において、成年後見人等を選任する機関等として、正しいものを1つ選びなさい。
1  法務局
2  家庭裁判所
3  都道府県知事
4  市町村長
5  福祉事務所
問題51  次の記述のうち、障害を受容した心理的段階にみられる言動として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  障害があるという自覚がない。
2  周囲に不満をぶつける。
3  自分が悪いと悲観する。
4  価値観が転換し始める。
5  できることに目を向けて行動する。
問題52  統合失調症(schizophrenia)の特徴的な症状として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  振戦せん妄
2  妄想
3  強迫性障害
4  抑うつ気分
5  健忘
問題53  Bさん(60歳、男性)は、一人暮らしをしている。糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy)による視覚障害(身体障害者手帳1級)があり、末梢神経障害{まっしょうしんけいしょうがい}の症状がでている。Bさんの日常生活において、介護福祉職が留意すべき点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  水晶体の白濁
2  口腔粘膜{こうくうねんまく}や外陰部の潰瘍
3  振戦や筋固縮
4  足先の傷や壊疽{えそ}などの病変
5  感音性の難聴
問題54  Cさん(55歳、男性)は、5年前に筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)と診断された。現在は症状が進行して、日常生活動作に介護が必要で、自宅では電動車いすと特殊寝台を使用している。
次の記述のうち、Cさんの現在の状態として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  誤嚥{ごえん}せずに食事することが可能である。
2  明瞭に話すことができる。
3  身体の痛みがわかる。
4  自力で痰{たん}を排出できる。
5  箸を上手に使える。
問題55  Dさん(36歳、女性、療育手帳所持)は、一人暮らしをしながら地域の作業所に通っている。身の回りのことはほとんど自分でできるが、お金の計算、特に計画的にお金を使うのが苦手だった。そこで、社会福祉協議会の生活支援員と一緒に銀行へ行って、1週間ごとにお金をおろして生活するようになった。小遣い帳に記録をするようにアドバイスを受けて、お金を計画的に使うことができるようになった。
次のうち、Dさんが活用した支援を実施する事業として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  障害者相談支援事業
2  自立生活援助事業
3  日常生活自立支援事業
4  成年後見制度利用支援事業
5  日常生活用具給付等事業
問題56  次のうち、障害の特性に応じた休憩時間の調整など、柔軟に対応することで障害者の権利を確保する考え方を示すものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  全人間的復権
2  合理的配慮
3  自立生活運動
4  意思決定支援
5  共同生活援助
問題57  「障害者総合支援法」において、障害福祉サービスを利用する人の意向のもとにサービス等利用計画案を作成する事業所に置かなければならない専門職として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  介護支援専門員(ケアマネジャー)
2  社会福祉士
3  介護福祉士
4  民生委員
5  相談支援専門員
問題58  家族の介護力をアセスメントするときの視点に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  障害者個人のニーズを重視する。
2  家族のニーズを重視する。
3  家族構成員の主観の共通部分を重視する。
4  家族を構成する個人と家族全体の生活を見る。
5  支援者の視点や価値観を基準にする。

<領域:医療的ケア>

医療的ケア

問題59  次の記述のうち、喀痰吸引等{かくたんきゅういんとう}を実施する訪問介護事業所として登録するときに、事業所が行うべき事項として、正しいものを1つ選びなさい。
1  登録研修機関になる。
2  医師が設置する安全委員会に参加する。
3  喀痰吸引等計画書{かくたんきゅういんとうけいかくしょ}の作成を看護師に依頼する。
4  介護支援専門員(ケアマネジャー)の文書による指示を受ける。
5  医療関係者との連携体制を確保する。
問題60  次のうち、呼吸器官の部位の説明に関する記述として、正しいものを1つ選びなさい。
1  鼻腔{びくう}は、上葉・中葉・下葉に分かれている。
2  咽頭は、左右に分岐している。
3  喉頭は、食べ物の通り道である。
4  気管は、空気の通り道である。
5  肺は、腹腔内{ふくくうない}にある。
問題61  次のうち、痰{たん}の吸引の準備に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  吸引器は、陰圧になることを確認する。
2  吸引びんは、滅菌したものを用意する。
3  吸引チューブのサイズは、痰{たん}の量に応じたものにする。
4  洗浄水は、決められた消毒薬を入れておく。
5  清浄綿は、次亜塩素酸ナトリウムに浸しておく。
問題62  次のうち、経管栄養で起こるトラブルに関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  チューブの誤挿入は、下痢を起こす可能性がある。
2  注入速度が速いときは、嘔吐{おうと}を起こす可能性がある。
3  注入物の温度の調整不良は、脱水を起こす可能性がある。
4  注入物の濃度の間違いは、感染を起こす可能性がある。
5  注入中の姿勢の不良は、便秘を起こす可能性がある。
問題63  Eさん(75歳、女性)は、介護老人福祉施設に入所している。脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症があり、介護福祉士が胃ろうによる経管栄養を行っている。
ある日、半座位で栄養剤の注入を開始し、半分程度を順調に注入したところで、体調に変わりがないかを聞くと、「少しお腹が張ってきたような気がする」とEさんは答えた。意識レベルや顔色に変化はなく、腹痛や嘔気{おうき}はない。
次のうち、介護福祉士が看護職員に相談する前に行う対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  嘔吐{おうと}していないので、そのまま様子をみる。
2  仰臥位{ぎょうがい}(背臥位{はいがい})にする。
3  腹部が圧迫されていないかを確認する。
4  注入速度を速める。
5  栄養剤の注入を終了する。
「第36回音声読み上げ用筆記試験問題一覧」のページに戻る