第35回(令和4年度)介護福祉士国家試験 筆記試験午後の問題

<領域:介護>

介護の基本

問題64  利用者主体の考えに基づいた訪問介護員(ホームヘルパー)の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  トイレの窓は換気が必要であると判断し、開けたままにしておいた。
2  認知症(dementia)の人が包丁を持つのは危険だと判断し、訪問介護員(ホームヘルパー)が調理した。
3  煮物を調理するとき、利用者に好みの切り方を確認してもらった。
4  糖尿病(diabetes mellitus)のある利用者には、買い物代行で菓子の購入はしないことにした。
5  次回の掃除のために、訪問介護員(ホームヘルパー)が使いやすい場所に掃除機を置いた。
問題65  「求められる介護福祉士像」で示された内容に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  地域や社会のニーズにかかわらず、利用者を導く。
2  利用者の身体的な支援よりも、心理的・社会的支援を重視する。
3  施設か在宅かに関係なく、家族が望む生活を支える。
4  専門職として他律的に介護過程を展開する。
5  介護職の中で中核的な役割を担う。
問題66 社会福祉士及び介護福祉士法に規定されている介護福祉士の責務として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  地域生活支援事業その他の支援を総合的に行う。
2  介護等に関する知識及び技能の向上に努める。
3  肢体の不自由な利用者に対して必要な訓練を行う。
4  介護保険事業に要する費用を公平に負担する。
5  常に心身の健康を保持して、社会的活動に参加するように努める。
問題67 Aさん(85歳、女性、要介護1)は夫と二人暮らしで、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用している。Aさんは認知症(dementia)の進行によって、理解力の低下がみられる。ある日、Aさんが訪問介護員(ホームヘルパー)に、「受けているサービスをほかのものに変更したい」「夫とは仲が悪いので話したくない」と、不安な様子で話した。
意思決定支援を意識した訪問介護員(ホームヘルパー)の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  Aさんとの話し合いの場に初めから夫に同席してもらった。
2  Aさんにサービス変更の決断を急ぐように伝えた。
3  Aさんと話す前に相談内容を夫に話した。
4  サービスを変更したい理由についてAさんに確認した。
5  訪問介護員(ホームヘルパー)がサービス変更をすることを判断した。
問題68 すべての人が暮らしやすい社会の実現に向けて、どこでも、だれでも、自由に、使いやすくという考え方を表す用語として、適切なものを1つ選びなさい。
1  ユニバーサルデザイン(universal design)
2  インフォームドコンセント(informed consent)
3  アドバンス・ケア・プランニング(advance care planning)
4  リビングウィル(living will)
5  エンパワメント(empowerment)
問題69 Bさん(82歳、女性、要介護2)は、若いときに夫を亡くし、家で仕事をしながら子どもを一人で育てた。夫や子どもと過ごした家の手入れは毎日欠かさず行っていた。数年前に、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断され、認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)に入居した。夕方になると、「私、家に帰らないといけない」と介護福祉職に何度も訴えている。
Bさんに対する介護福祉職の声かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  「仕事はないですよ」
2  「ここが家ですよ」
3  「外に散歩に行きますか」
4  「家のことが気になるんですね」
5  「子どもさんが『ここにいてください』と言っていますよ」
問題70 介護保険施設の駐車場で、下記のマークを付けた車の運転手が困った様子で手助けを求めていた。介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  手話や筆談を用いて話しかける。
2  杖{つえ}を用意する。
3  拡大読書器を使用する。
4  移動用リフトを用意する。
5  携帯用点字器を用意する。
問題71  介護保険施設における専門職の役割に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  利用者の栄養ケア・マネジメントは、薬剤師が行う。
2  認知症(dementia)の診断と治療は、作業療法士が行う。
3  利用者の療養上の世話又は診療の補助は、社会福祉士が行う。
4  日常生活を営むのに必要な身体機能改善や機能訓練は、歯科衛生士が行う。
5  施設サービス計画の作成は、介護支援専門員が行う。
問題72  介護の現場におけるチームアプローチ(team approach)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  チームメンバーが得た情報は、メンバー間であっても秘密にする。
2  チームメンバーの役割分担を明確にする。
3  利用者を外してチームを構成する。
4  医師がチームの方針を決定する。
5  チームメンバーを家族が指名する。
問題73  利用者の危険を回避するための介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  スプーンを拾おうとして前傾姿勢になった車いすの利用者を、目視で確認した。
2  廊下をふらつきながら歩いていた利用者の横を、黙って通り過ぎた。
3  食事介助をしていた利用者の姿勢が傾いてきたので、姿勢を直した。
4  下肢筋力が低下している利用者が、靴下で歩いていたので、スリッパを履いてもらった。
5  車いすの利用者が、フットサポートを下げたまま立ち上がろうとしたので、またいでもらった。

コミュニケーション技術

問題74  次のうち、閉じられた質問として、適切なものを1つ選びなさい。
1  「この本は好きですか」
2  「午後はどのように過ごしますか」
3  「困っていることは何ですか」
4  「どのような歌が好きですか」
5  「なぜそう思いますか」
問題75  利用者の家族と信頼関係を形成するための留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  家族の希望を優先する。
2  話し合いの機会を丁寧にもつ。
3  一度形成した信頼関係は、変わらずに継続すると考える。
4  家族に対して、「こうすれば良い」と指示を出す。
5  介護は全面的に介護福祉職に任せてもらう。
問題76 Cさん(75歳、男性)は、老人性難聴(presbycusis)があり、右耳は中等度難聴、左耳は高度難聴である。耳かけ型補聴器を両耳で使用して静かな場所で話せば、なんとか相手の話を聞き取ることができる。
Cさんとの1対1のコミュニケーションの方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  正面で向き合って話しかける。
2  高音域の声を使って話しかける。
3  耳元で、できるだけ大きな声で話しかける。
4  手話で会話をする。
5  からだに触れてから話しかける。
問題77 Dさん(90歳、女性、要介護5)は、重度のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)である。介護福祉職は、Dさんに声かけをして会話をしているが、最近、自発的な発語が少なくなり、会話中に視線が合わないことも増えてきたことが気になっている。
Dさんとのコミュニケーションをとるための介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  引き続き、言語を中心にコミュニケーションをとる。
2  Dさんが緊張しているので、からだに触れないようにする。
3  表情やしぐさを確認しながら、感情の理解に努める。
4  視線が合わないときは、会話を控える。
5  自発的な発語がないため、会話の機会を減らしていく。
問題78 介護実践の場で行われる、勤務交代時の申し送りの目的に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  翌月の介護福祉職の勤務表を検討する。
2  利用者のレクリエーション活動を計画する。
3  利用者の問題解決に向けた事例検討を行う。
4  利用者へのケアの継続性を保つ。
5  利用者とケアの方針を共有する。
問題79 Eさん(87歳、女性、要介護3)は、介護老人福祉施設に入所していて、認知症(dementia)がある。ある日、担当のF介護福祉職がEさんの居室を訪問すると、Eさんは、イライラした様子で、「私の財布が盗まれた」と言ってベッドの周りをうろうろしていた。一緒に探すと、タンスの引き出しの奥から財布が見つかった。
F介護福祉職は、Eさんのケアカンファレンス(care conference)に出席して、この出来事について情報共有することにした。 Eさんの状況に関する報告として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  「Eさんの認知機能が低下しました」
2  「Eさんは、誰かに怒っていました」
3  「Eさんには、もの盗られ妄想があります」
4  「Eさんは、財布が見つかって、安心していると思います」
5  「Eさんは、財布が盗まれたと言って、ベッドの周りをうろうろしていました」

生活支援技術

問題80 Gさん(79歳、女性、要介護3)は、介護老人福祉施設に入所して、3週間が経過した。施設での生活には慣れてきているが、居室でテレビを見て過ごす時間が長くなった。ある時、Gさんが、「気分転換に台所を借りて、自分でおやつを作ってみたい」と介護福祉職に話した。
Gさんのレクリエーション活動の計画作成にあたり、介護福祉職が留意すべきこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  Gさんの居室で行うようにする。
2  おやつのメニューは、介護福祉職が選ぶ。
3  施設のレクリエーション財を優先する。
4  集団で行うことを優先する。
5  おやつ作りをきっかけに、施設生活に楽しみがもてるようにする。
問題81  高齢者の安全な移動に配慮した階段の要件として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  手すりを設置している。
2  階段の一段の高さは、25cm以上である。
3  階段の足をのせる板の奥行は、15cm未満である。
4  階段の照明は、足元の間接照明にする。
5  毛の長いじゅうたんを敷く。
問題82  介護予防教室で介護福祉職が行う安定した歩行に関する助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  「歩幅を狭くしましょう」
2  「腕の振りを小さくしましょう」
3  「足元を見ながら歩きましょう」
4  「後ろ足のつま先で地面を蹴って踏み出しましょう」
5  「つま先から足をつきましょう」
問題83  T字杖{じつえ}を用いて歩行する左片麻痺{ひだりかたまひ}の利用者が、20cm幅の溝をまたぐときの介護方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  杖{つえ}は、左手に持ちかえてもらう。
2  杖{つえ}は、溝の手前に突いてもらう。
3  溝は、右足からまたいでもらう。
4  遠い方向を見てもらう。
5  またいだ後は、両足をそろえてもらう。
問題84  総義歯の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  上顎から先に外す。
2  毎食後に洗う。
3  スポンジブラシで洗う。
4  熱湯につけてから洗う。
5  乾燥させて保管する。
問題85  Hさん(82歳、男性、要介護2)は、一人暮らしで、週1回、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用している。訪問時に、「足の爪が伸びているので、切ってほしい」と依頼された。爪を切ろうとしたところ、両足とも親指の爪が伸びて両端が皮膚に食い込んで赤くなっていて、触ると熱感があった。
親指の状態を確認した訪問介護員(ホームヘルパー)の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  親指に絆創膏{ばんそうこう}を巻く。
2  Hさんの家にある軟膏{なんこう}を親指に塗る。
3  蒸しタオルで爪を軟らかくしてから切る。
4  爪が伸びている部分に爪やすりをかける。
5  爪は切らずに、親指の状態をサービス提供責任者に報告する。
問題86 左片麻痺{ひだりかたまひ}の利用者が、前開きの上着をベッド上で臥床{がしょう}したまま交換するときの介護の基本に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  介護福祉職は利用者の左側に立つ。
2  新しい上着は利用者の右側に置く。
3  脱ぐときは、着ている上着の左上肢の肩口を広げておく。
4  左側の袖を脱ぎ、脱いだ上着は丸めて、からだの下に入れる。
5  利用者を左側臥位{ひだりそくがい}にし、脱いだ上着を引き出す。
問題87 利用者が食事中にむせ込んだときの介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  上を向いてもらう。
2  お茶を飲んでもらう。
3  深呼吸をしてもらう。
4  口の中のものを飲み込んでもらう。
5  しっかりと咳{せき}を続けてもらう。
問題88 テーブルで食事の介護を行うときの留意点に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  車いすで食事をするときは、足をフットサポートから下ろして床につける。
2  片麻痺{かたまひ}があるときは、患側の上肢を膝の上にのせる。
3  スプーンを使うときは、下顎を上げた姿勢にして食べ物を口に入れる。
4  利用者に声をかけるときは、食べ物を口に入れてから行う。
5  食事をしているときは、大きな音でテレビをつけておく。
問題89 逆流性食道炎(reflux esophagitis)の症状がある利用者への助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  脂肪を多く含む食品を食べるように勧める。
2  酸味の強い果物を食べるように勧める。
3  1日の食事は回数を分けて少量ずつ食べるように勧める。
4  食事のときは、腹圧をかけるような前かがみの姿勢をとるように勧める。
5  食後すぐに仰臥位{ぎょうがい}(背臥位{はいがい})をとるように勧める。
問題90 ベッド上で臥床{がしょう}している利用者の洗髪の基本に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  利用者のからだ全体をベッドの端に移動する。
2  利用者の両下肢は、まっすぐに伸ばした状態にする。
3  洗うときは、頭頂部から生え際に向かって洗う。
4  シャンプー後は、タオルで泡を拭き取ってからすすぐ。
5  ドライヤーの温風は、頭皮に直接当たるようにする。
問題91  目の周囲の清拭の方法を図に示す。矢印は拭く方向を表している。
次のA~Eのうち、基本的な清拭の方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  A
2  B
3  C
4  D
5  E
問題92  Jさん(85歳、女性、要介護2)は、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)である。時間をかければ一人で洗身、洗髪もできるが、ズボンの上に下着を着る行為がみられたため、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用することになった。
Jさんの入浴時における訪問介護員(ホームヘルパー)の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  脱いだ衣服は、着る衣服の隣に並べて置く。
2  洗身と洗髪は訪問介護員(ホームヘルパー)が行う。
3  入浴中の利用者に声をかけることは控える。
4  衣服の着る順番に応じて声をかける。
5  ズボンの着脱は訪問介護員(ホームヘルパー)が行う。
問題93  胃・結腸反射を利用して、生理的排便を促すための介護福祉職の支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  歩行を促す。
2  起床後に冷水を飲んでもらう。
3  腹部のマッサージをする。
4  便座に誘導する。
5  離床する時間を増やす。
問題94  利用者の便失禁を改善するための介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  トイレの場所がわからない認知症(dementia)の人には、ポータブルトイレを設置する。
2  移動に時間がかかる人には、おむつを使用する。
3  便意がはっきりしない人には、朝食後に時間を決めてトイレへ誘導する。
4  下剤を内服している人には、下剤の内服を中止する。
5  便失禁の回数が多い人には、食事の提供量を減らす。
問題95  女性利用者のおむつ交換をするときに行う陰部洗浄の基本に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  湯温は、介護福祉職の手のひらで確認する。
2  おむつを交換するたびに、石鹸{せっけん}を使って洗う。
3  タオルで汚れをこすり取るように洗う。
4  尿道口から洗い、最後に肛門部{こうもんぶ}を洗う。
5  洗浄後は、蒸しタオルで水分を拭き取る。
問題96 Kさん(76歳、女性、要介護2)は、介護老人保健施設に入所している。日頃から、「排泄{はいせつ}は最期まで他人の世話にならない」と言い、自分でトイレに行き排泄{はいせつ}している。先日、趣味活動に参加しているときにトイレに間に合わず失禁した。その後、トイレの近くで過ごすことが多くなり、趣味活動に参加することが少なくなった。Kさんを観察すると、1日の水分摂取量、排尿量は変わりないが、日中の排尿回数{はいにょうかいすう}が増えていることがわかった。
Kさんへの介護福祉職の最初の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  日中は水分摂取を控えるように伝える。
2  抗不安薬の処方ができないか看護師に相談する。
3  トイレに行く姿を見かけたら、同行する。
4  排泄{はいせつ}について不安に感じていることがないかを聞く。
5  積極的に趣味活動に参加するように勧める。
問題97 ノロウイルス(Norovirus)による感染症の予防のための介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  食品は、中心部温度50℃で1分間加熱する。
2  嘔吐物{おうとぶつ}は、乾燥後に処理をする。
3  マスクと手袋を着用して、嘔吐物{おうとぶつ}を処理する。
4  手すりの消毒は、エタノール消毒液を使用する。
5  嘔吐物{おうとぶつ}のついたシーツは、洗濯機で水洗いする。
問題98 弱視で物の区別がつきにくい人の調理と買い物の支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  買い物は、ガイドヘルパーに任せるように勧める。
2  財布は、貨幣や紙幣を同じ場所に収納できるものを勧める。
3  包丁は、調理台の手前に置くように勧める。
4  まな板は、食材と同じ色にするように勧める。
5  よく使う調理器具は、いつも同じ場所に収納するように勧める。
問題99 次の記述のうち、関節リウマチ(rheumatoid arthritis)のある人が、少ない負担で家事をするための介護福祉職の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  部屋の掃除をするときは、早朝に行うように勧める。
2  食器を洗うときは、水を使うように勧める。
3  テーブルを拭くときは、手掌基部を使うように勧める。
4  瓶のふたを開けるときは、指先を使うように勧める。
5  洗濯かごを運ぶときは、片手で持つように勧める。
問題100 睡眠の環境を整える介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  マットレスは、腰が深く沈む柔らかさのものにする。
2  枕は、頸部{けいぶ}が前屈する高さにする。
3  寝床内の温度を20℃に調整する。
4  臭気がこもらないように、寝室の換気をする。
5  睡眠状態を観察できるように、寝室のドアは開けておく。
問題101  利用者の入眠に向けた介護福祉職の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  「足をお湯につけて温めてから寝ましょう」
2  「寝室の照明を、昼光色の蛍光灯に変えましょう」
3  「布団に入ってから、短く浅い呼吸を繰り返しましょう」
4  「入眠への習慣は控えましょう」
5  「寝る前に、汗をかく運動をしましょう」
問題102  終末期で終日臥床{しゅうじつがしょう}している利用者に対する介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  入浴時は、肩までお湯につかるように勧める。
2  息苦しさを訴えたときは、半座位にする。
3  終日、窓を閉めたままにする。
4  会話をしないように勧める。
5  排便時は、息を止めて腹に力を入れるように勧める。
問題103  介護老人福祉施設に入所している利用者の看取りにおける、介護福祉職による家族への支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  利用者の介護は、介護福祉職が最期まで行い、家族には控えてもらう。
2  利用者の反応がないときには、声をかけることを控えるように伝える。
3  利用者の死後は、毎日電話をして、家族の状況を確認する。
4  利用者の死後は、気分を切り替えるように家族を励ます。
5  家族が悔いが残ると言ったときは、話を聴く。
問題104  利用者の障害特性に適した福祉用具の選択に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  言語機能障害の利用者には、ストッキングエイドの使用を勧める。
2  全盲の利用者には、音声ガイド付き電磁調理器の使用を勧める。
3  聴覚障害の利用者には、床置き式手すりの使用を勧める。
4  右片麻痺{みぎかたまひ}の利用者には、交互型歩行器の使用を勧める。
5  肘関節拘縮の利用者には、座位時に体圧分散クッションの使用を勧める。
問題105  福祉用具等を安全に使用するための方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  車いすをたたむときは、ブレーキをかけてから行う。
2  入浴用介助ベルトは、利用者の腰部を真上に持ち上げて使用する。
3  差し込み便器は、端座位で使用する。
4  移動用リフトで吊{つ}り上げるときは、利用者のからだから手を離して行う。
5  簡易スロープは、埋め込み工事をして使用する。

介護過程

問題106 介護過程を展開する目的として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  業務効率を優先する。
2  医師と連携する。
3  ケアプランを作成する。
4  画一的な介護を実現する。
5  根拠のある介護を実践する。
問題107 次のうち、介護過程を展開した結果を評価する項目として、最も優先すべきものを1つ選びなさい。
1  実施に要した日数
2  情報収集に要した時間
3  評価に要した時間
4  介護福祉職チームの満足度
5  短期目標の達成度
問題108 次の記述のうち、居宅サービス計画と訪問介護計画の関係として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  訪問介護計画を根拠に、居宅サービス計画を作成する。
2  居宅サービス計画の目標が変更されても、訪問介護計画は見直しをせず継続する。
3  居宅サービス計画と同じ内容を、訪問介護計画に転記する。
4  居宅サービス計画の方針に沿って、訪問介護計画を作成する。
5  訪問介護計画の終了後に、居宅サービス計画を作成する。

次の事例を読んで、問題109、問題110について答えなさい。
〔事  例〕
Lさん(76歳、女性、要介護1)は、自宅で娘と暮らしている。軽度の認知症(dementia)と診断されたが、身体機能に問題はなく、友人との外出を楽しんでいる。ある日、外食の後、自宅近くで保護されたとき、「ここはどこなの」と言った。その後、自宅から出ようとしなくなった。心配した娘が本人と相談して、小規模多機能型居宅介護を利用することになった。
利用開始時に、Lさんの短期目標を、「外出を楽しめる」と設定した。2週間が過ぎた頃、Lさんから、近くのスーパーへの買い物ツアーに参加したいと申し出があった。
当日、他の利用者や介護福祉職と笑顔で買い物をする様子が見られた。買い物が終わり、歩いて戻り始めると、笑顔が消え、急に立ち止まった。
介護福祉職が声をかけると、「ここはどこなの。どこに行くの」と不安そうに言った。

問題109 Lさんが急に立ち止まった行動の解釈として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  買い物ツアー時間の延長の要求
2  自分のいる場所がわからない不安
3  休憩したいという訴え
4  店での介護福祉職の支援に対する不満
5  一人で帰りたいという訴え
問題110 Lさんの状況から、短期目標と支援内容を見直すためのカンファレンス(conference)が開かれた。
担当する介護福祉職の提案として、最も優先すべきものを1つ選びなさい。
1  外出先から帰れなくなる不安への対応が必要である。
2  表情がかたくなったときは帰り道を変更する。
3  外出する意欲を持つ必要がある。
4  歩くために身体機能の改善が必要である。
5  事業所をなじみの生活空間にする。

次の事例を読んで、問題111、問題112について答えなさい。
〔事  例〕
Mさん(35歳、男性、障害支援区分5)は、脳性麻痺{のうせいまひ}(cerebral palsy)による四肢麻痺{ししまひ}で筋緊張がある。日常生活動作は全般に介護が必要であり、電動車いすを使用している。これまで、本人と母親(70歳)の希望で、自宅で二人暮らしを続けてきた。
Mさんは3年前から、重度訪問介護を利用している。軽度の知的障害があるが、自分の意思を介護者と母親に伝えることができる。相談支援専門員が作成したサービス等利用計画の総合目標は、「やりたいことに挑戦し、生活を充実させる」となっている。Mさん自身も、やりたいことを見つけたいと介護福祉職に話していたことから、次の個別支援会議で検討する予定になっていた。 ある日、重度訪問介護の利用時、パラリンピックのテレビ中継を見ていたMさんが、介護福祉職に、「ボール投げるの、おもしろそう」と話した。

問題111  次のうち、Mさんの発言から、個別支援計画を立案するために、介護福祉職が把握すべき情報として、最も優先すべきものを1つ選びなさい。
1  競技で使われるボールの種類
2  話を聞いた介護福祉職の感想
3  競技に対するMさんの意向
4  母親のパラリンピックへの関心
5  テレビ中継を見ていた時間
問題112  いくつかのスポーツクラブを見学後、介護福祉職はMさんから、「このスポーツクラブが近いから、入会前に体験したい」と伝えられた。
Mさんへの介護福祉職の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  筋緊張から回復する訓練を行うように伝える。
2  母親が決めたスポーツクラブを選ぶように勧める。
3  スポーツクラブにすぐに入会するように勧める。
4  意思決定に必要な情報を提供する。
5  相談支援専門員の許可を得るように勧める。
問題113  介護福祉職が事例研究を行う目的として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  事業所の介護の理念の確認
2  介護福祉職の能力を調べること
3  介護過程から介護実践を振り返ること
4  介護報酬の獲得
5  介護福祉職自身の満足度の充足

<総合問題>

総合問題

(総合問題1)

次の事例を読んで、問題114から問題116までについて答えなさい。
〔事  例〕
Aさん(80歳、女性)は、自宅で一人暮らしをしている。同じ県内に住む娘が、月に一度Aさんの自宅を訪れている。
最近、Aさんの物忘れが多くなってきたため、不安になった娘が、Aさんと一緒に病院を受診したところ、医師から、脳の記憶をつかさどる部分が顕著に萎縮したアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)であると診断された。Aさんはこのまま自宅で暮らすことを希望し、介護保険の訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら一人暮らしを継続することになった。
ある日、娘からサービス提供責任者に、今年はAさんが一人で雪かきができるか不安であると相談があった。そこで、サービス提供責任者が、Aさんと一緒に地区の民生委員に相談したところ、近所の人たちが雪かきをしてくれることになった。

問題114  図は脳を模式的に示したものである。 Aさんの脳に萎縮が顕著にみられる部位として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  A
2  B
3  C
4  D
5  E
問題115  地域包括ケアシステムにおいて、Aさんの雪かきの課題への対応を示すものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  自助
2  互助
3  介助
4  扶助
5  公助
問題116 ある日、訪問介護員(ホームヘルパー)がAさんの自宅を訪れ、一包化された薬の服薬状況を確認したところ、残薬があった。Aさんに服薬状況を確認すると、薬を飲んだかどうか、わからなくなることがあるという返答があった。訪問介護員(ホームヘルパー)は、Aさんとの会話から、日時に関する見当識に問題はないことを確認した。
Aさんの薬の飲み忘れを防止するための対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  一包化を中止する。
2  インフォーマルな社会資源の活用は避ける。
3  お薬カレンダーの使用を提案する。
4  一人では薬を服用しないように伝える。
5  薬の飲み忘れに気がついたとき、2回分を服用するように伝える。

(総合問題2)

次の事例を読んで、問題117から問題119までについて答えなさい。
〔事  例〕
Bさん(75歳、男性、要介護3)は、1年前に脳梗塞(cerebral infarction)を発症し、右片麻痺{みぎかたまひ}がある。自宅では、家具や手すりにつかまって、なんとか自力歩行し、外出時は車いすを使用していた。うまく話すことができないこともあるが、他者の話を聞き取って理解することは、問題なくできていて、介護保険サービスを利用しながら、一人で暮らしていた。数か月前から着替えや入浴に介助が必要になり、在宅生活が難しくなったため、1週間前にU介護老人福祉施設に入所した。
入所時の面談でBさんは、自分の力で歩きたいという意思を示した。U介護老人福祉施設では、C介護福祉士をBさんの担当者に選定した。C介護福祉士は、カンファレンス(conference)での意見に基づいて、Bさんが、四点杖{よんてんづえ}を使用して、安全に施設内を歩行できることを短期目標とした介護計画を立案した。

問題117 入所から2か月が経過した。C介護福祉士は、Bさんの四点杖歩行{よんてんづえほこう}の様子を観察したところ、左立脚相と比べて、右立脚相が短いことが気になった。Bさんの短期目標を達成するために、理学療法士と相談して、転倒予防の観点から、見守り歩行をするときの介護福祉職の位置について、改めて周知することにした。
Bさんの四点杖歩行{よんてんづえほこう}を見守るときに介護福祉職が立つ位置として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  Bさんの右側前方
2  Bさんの右側後方
3  Bさんの真後ろ
4  Bさんの左側前方
5  Bさんの左側後方
問題118 C介護福祉士がBさんとコミュニケーションをとるための方法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  補聴器を使用する。
2  五十音表を使用する。
3  手話を使う。
4  大きな声で話しかける。
5  「はい」「いいえ」で回答できる質問を中心に用いる。
問題119 入所から3か月後、C介護福祉士は、Bさんの四点杖歩行{よんてんづえほこう}が安定してきたことを確認して介護計画を見直すことにした。C介護福祉士がBさんに、今後の生活について確認したところ、居室から食堂まで、四点杖{よんてんづえ}で一人で歩けるようになりたいと思っていることがわかった。
Bさんの現在の希望に沿って介護計画を見直すときに、最も優先すべきものを1つ選びなさい。
1  生活場面の中で歩行する機会を増やす。
2  評価日は設定しない。
3  ほかの利用者と一緒に実施できる内容にする。
4  他者との交流を目標にする。
5  歩行練習を行う時間は、出勤している職員が決めるようにする。

(総合問題3)

次の事例を読んで、問題120から問題122までについて答えなさい。
〔事  例〕
Dさん(38歳、男性、障害支援区分3)は、1年前に脳梗塞(cerebral infarction)を発症し左片麻痺{ひだりかたまひ}となった。後遺症として左同名半盲、失行もみられる。現在は週3回、居宅介護を利用しながら妻と二人で生活している。
ある日、上着の袖に頭を入れようとしているDさんに介護福祉職が声をかけると、「どうすればよいかわからない」と答えた。普段は妻がDさんの着替えを手伝っている。食事はスプーンを使用して自分で食べるが、左側にある食べ物を残すことがある。Dさんは、「左側が見づらい。動いているものにもすぐに反応ができない」と話した。
最近は、日常生活の中で、少しずつできることが増えてきた。Dさんは、「人と交流する機会を増やしたい。また、簡単な生産活動ができるようなところに行きたい」と介護福祉職に相談した。

問題120 Dさんにみられた失行として、適切なものを1つ選びなさい。
1  構成失行
2  観念失行
3  着衣失行
4  顔面失行
5  観念運動失行
問題121  Dさんへの食事の支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  食事の量を少なくする。
2  テーブルを高くする。
3  スプーンを持つ手を介助する。
4  バネつき箸に替える。
5  食事を本人から見て右寄りに配膳する。
問題122  介護福祉職は、Dさんに生産活動ができるサービスの利用を提案したいと考えている。
次のうち、Dさんの発言内容に合う障害福祉サービスとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  就労継続支援A型での活動
2  地域活動支援センターの利用
3  療養介護
4  就労定着支援
5  相談支援事業の利用

(総合問題4)

次の事例を読んで、問題123から問題125までについて答えなさい。
〔事  例〕
Eさん(35歳、男性)は、自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)があり、V障害者支援施設の生活介護と施設入所支援を利用している。Eさんは、毎日のスケジュールを決め、規則や時間を守ってプログラムに参加しているが、周りの人や物事に関心が向かず、予定外の行動や集団行動はとりづらい。コミュニケーションは、話すよりも絵や文字を示したほうが伝わりやすい。
Eさんが利用するV障害者支援施設では、就労継続支援事業も行っている。災害が起こったときに様々な配慮が必要な利用者がいるため、施設として防災対策に力を入れている。また、通所している利用者も多いので、V障害者支援施設は市の福祉避難所として指定を受けている。

問題123  Eさんのストレングス(strength)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  行動力があり、すぐに動く。
2  自分で決めたことを継続する。
3  新しいことを思いつく。
4  コミュニケーション力が高い。
5  いろいろなことに興味がもてる。
問題124  V障害者支援施設では定期的に災害に備えた避難訓練を行っている。
Eさんの特性を考慮して実施する避難訓練に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  災害時に使用する意思伝達のイラストを用意する。
2  避難生活を想定して、食事等の日課を集団で行えるようにする。
3  予告せずに避難訓練を行う。
4  Eさんの避難訓練は単独で行う。
5  避難を援助する人によってEさんへの対応を変える。
問題125  V障害者支援施設が、災害発生に備えて取り組む活動として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  事前に受け入れ対象者を確認しておく。
2  災害派遣医療チーム(DMAT)と支援人員確保契約を結ぶ。
3  職員の役割分担は、状況に応じてその場で決める。
4  要配慮者のサービス等利用計画を作成する。
5  要配慮者に自分で避難するように促す。
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