第34回(令和3年度)介護福祉士国家試験 筆記試験午後の問題
<領域:こころとからだのしくみ>
発達と老化の理解
- 問題69 愛着行動に関する次の記述のうち、ストレンジ・シチュエーション法における安定型の愛着行動として、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 養育者がいないと不安な様子になり、再会すると安心して再び遊び始める。
- 2 養育者がいないと不安な様子になり、再会すると接近して怒りを示す。
- 3 養育者がいないと不安な様子になり、再会すると関心を示さずに遊んでいる。
- 4 養育者がいなくても不安な様子にならず、再会すると関心を示さずに遊んでいる。
- 5 養育者がいなくても不安な様子にならず、再会すると喜んで遊び続ける。
- 問題70 乳幼児期の言語発達に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 生後6か月ごろに初語を発するようになる。
- 2 1歳ごろに喃語{なんご}を発するようになる。
- 3 1歳半ごろに語彙爆発が起きる。
- 4 2歳半ごろに一語文を話すようになる。
- 5 3歳ごろに二語文を話すようになる。
- 問題71 2019年(平成31年、令和元年)における、我が国の寿命と死因に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 健康寿命は、平均寿命よりも長い。
- 2 人口全体の死因順位では、老衰が悪性新生物より上位である。
- 3 人口全体の死因で最も多いのは、脳血管障害(cerebrovascular disorder)である。
- 4 平均寿命は、男女とも75歳未満である。
- 5 90歳女性の平均余命は、5年以上である。
- 問題72 Aさん(87歳、女性、要介護3)は、2週間前に介護老人福祉施設に入所した。Aさんにはパーキンソン病(Parkinson disease)があり、入所後に転倒したことがあった。介護職員は頻繁に、「危ないから車いすに座っていてくださいね」と声をかけていた。Aさんは徐々に自分でできることも介護職員に依存し、着替えも手伝ってほしいと訴えるようになった。
Aさんに生じている適応(防衛)機制として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 投影
- 2 退行
- 3 攻撃
- 4 抑圧
- 5 昇華
- 問題73 記憶に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 エピソード記憶は、短期記憶に分類される。
- 2 意味記憶は、言葉の意味などに関する記憶である。
- 3 手続き記憶は、過去の出来事に関する記憶である。
- 4 エピソード記憶は、老化に影響されにくい。
- 5 意味記憶は、老化に影響されやすい。
- 問題74 老化に伴う感覚機能や認知機能の変化に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 大きな声で話しかけられても、かえって聞こえにくいことがある。
- 2 会話をしながら運転するほうが、安全に運転できるようになる。
- 3 白と黄色よりも、白と赤の区別がつきにくくなる。
- 4 低い声よりも、高い声のほうが聞き取りやすくなる。
- 5 薄暗い部屋のほうが、細かい作業をしやすくなる。
- 問題75 高齢者の睡眠に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 午前中の遅い時間まで眠ることが多い。
- 2 刺激を与えても起きないような深い睡眠が多い。
- 3 睡眠障害を自覚することは少ない。
- 4 不眠の原因の1つはメラトニン(melatonin)の減少である。
- 5 高齢者の睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome)の発生頻度は、若年者よりも低い。
- 問題76 高齢者の肺炎(pneumonia)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 意識障害になることはない。
- 2 体温が37.5℃未満であれば肺炎(pneumonia)ではない。
- 3 頻呼吸になることは、まれである。
- 4 誤嚥{ごえん}による肺炎(pneumonia)を起こしやすい。
- 5 咳{せき}・痰{たん}などを伴うことは、まれである。
認知症の理解
- 問題77 認知症ケアにおける「ひもときシート」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 「ひもときシート」では、最初に分析的理解を行う。
- 2 認知症(dementia)の人の言動を介護者側の視点でとらえる。
- 3 言動の背景要因を分析して認知症(dementia)の人を理解するためのツールである。
- 4 評価的理解では、潜在的なニーズを重視する。
- 5 共感的理解では、8つの要因で言動を分析する。
- 問題78 レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)の幻視の特徴に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 幻視の内容はあいまいではっきりしない。
- 2 睡眠中でも幻視が生じる。
- 3 本人は説明されても幻視という認識ができない。
- 4 薄暗い部屋を明るくすると幻視が消えることがある。
- 5 抗精神病薬による治療が行われることが多い。
- 問題79 軽度認知障害(mild cognitive impairment)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 本人や家族から記憶低下の訴えがあることが多い。
- 2 診断された人の約半数がその後1年の間に認知症(dementia)になる。
- 3 CDR(Clinical Dementia Rating)のスコアが2である。
- 4 日常生活能力が低下している。
- 5 治療には、主に抗認知症薬が用いられる。
- 問題80 若年性認知症(dementia with early onset)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 75歳未満に発症する認知症(dementia)である。
- 2 高齢者の認知症(dementia)よりも進行は緩やかである。
- 3 早期発見・早期対応しやすい。
- 4 原因で最も多いのはレビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)である。
- 5 不安や抑うつを伴うことが多い。
- 問題81 認知症(dementia)の行動・心理症状(BPSD)に対する抗精神病薬を用いた薬物療法でよくみられる副作用として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 歩幅が広くなる。
- 2 誤嚥{ごえん}のリスクが高くなる。
- 3 過剰に活動的になる。
- 4 筋肉の緊張が緩む。
- 5 怒りっぽくなる。
- 問題82 軽度の認知症(dementia)の人に、日付、季節、天気、場所などの情報をふだんの会話の中で伝えて認識してもらう認知症ケアとして、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 ライフレビュー(life review)
- 2 リアリティ・オリエンテーション(reality orientation)
- 3 バリデーション(validation)
- 4 アクティビティ・ケア(activity care)
- 5 タッチング(touching)
- 問題83 Bさん(86歳、女性)は、中等度のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)である。短期入所生活介護(ショートステイ)の利用を始めた日の翌朝、両手に便が付着した状態でベッドに座っていた。
Bさんへの声かけとして、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 「臭いからきれいにします」
- 2 「汚い便が手についています」
- 3 「ここはトイレではありません」
- 4 「手を洗いましょう」
- 5 「こんなに汚れて困ります」
- 問題84 Cさん(80歳、女性)は夫(85歳)と二人暮らしである。1年ほど前から記憶障害があり、最近、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断された。探し物が増え、財布や保険証を見つけられないと、「泥棒が入った、警察に連絡して」と訴えるようになった。「泥棒なんて入っていない」と警察を呼ばずにいると、Cさんがますます興奮するので、夫は対応に困っている。
夫から相談を受けた介護福祉職の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 「主治医に興奮を抑える薬の相談をしてみてはどうですか」
- 2 「施設入所を検討してはどうですか」
- 3 「Cさんと一緒に探してみてはどうですか」
- 4 「Cさんの希望通り、警察に通報してはどうですか」
- 5 「Cさんに認知症(dementia)であることを説明してはどうですか」
- 問題85 認知症(dementia)の人に配慮した施設の生活環境として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 いつも安心感をもってもらえるように接する。
- 2 私物は本人の見えないところに片付ける。
- 3 毎日新しい生活体験をしてもらう。
- 4 壁の色と同系色の表示を使用する。
- 5 日中は1人で過ごしてもらう。
- 問題86 認知症初期集中支援チームに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 自宅ではない場所で家族から生活の様子を聞く。
- 2 チーム員には医師が含まれる。
- 3 初回の訪問時にアセスメント(assessment)は不要である。
- 4 介護福祉士は、認知症初期集中支援チーム員研修を受講しなくてもチームに参加できる。
- 5 認知症疾患医療センター受診後に、チームが対応方法を決定する。
障害の理解
- 問題87 障害者の法的定義に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 身体障害者福祉法における身体障害者は、身体障害者手帳の交付を受けた18歳以上のものをいう。
- 2 知的障害者は、知的障害者福祉法に定義されている。
- 3 「精神保健福祉法」における精神障害者には、知的障害者が含まれていない。
- 4 障害者基本法において発達障害者は、精神障害者に含まれていない。
- 5 障害児は、障害者基本法に定義されている。
- (注) 「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。
- 問題88 半側空間無視に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 食事のとき、認識できない片側に食べ残しがみられる。
- 2 半盲に対するものと介護方法は同じである。
- 3 失行の1つである。
- 4 本人は半側空間無視に気づいている。
- 5 認識できない片側へ向かってまっすぐに歩ける。
- 問題89 Dさん(35歳、男性)は重度の知的障害があり、地元の施設入所支援を利用している。Dさんの友人Eさんは、以前に同じ施設入所支援を利用していて、現在は共同生活援助(グループホーム)で暮らしている。Dさんは、共同生活援助(グループホーム)で生活するEさんの様子を見て、その生活に関心をもったようである。施設の職員は、Dさんの共同生活援助(グループホーム)での生活は、適切な援助を受ければ可能であると考えている。一方、Dさんの母親は、親亡き後の不安から施設入所支援を継続させたいと思っている。
介護福祉職が現時点で行うDさんへの意思決定支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 母親の意思を、本人に伝える。
- 2 共同生活援助(グループホーム)の生活について話し合う。
- 3 介護福祉職の考えを、本人に伝える。
- 4 具体的な選択肢を用意し、選んでもらう。
- 5 地域生活のリスクについて説明する。
- 問題90 筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)では出現しにくい症状として、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 四肢の運動障害
- 2 構音障害
- 3 嚥下障害{えんげしょうがい}
- 4 感覚障害
- 5 呼吸障害
- 問題91 Fさん(21歳、男性)は、交通事故による頸髄損傷{けいずいそんしょう}(cervical cord injury)で重度の四肢麻痺{ししまひ}になった。最近はリハビリテーションに取り組まず、周囲の人に感情をぶつけ強くあたるようになった。
介護福祉職の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 歩けるようになるために、諦めずに機能訓練をするように支援する。
- 2 トラブルが起きないように、Fさんには近寄らないようにする。
- 3 生活態度を改めるように、Fさんに厳しく注意する。
- 4 自分でできることに目を向けられるように、Fさんを支援する。
- 5 障害が重いので、Fさんのできることも手伝うようにする。
- 問題92 Gさんはパーキンソン病(Parkinson disease)と診断され、薬物療法が開始されている。立位で重心が傾き、歩行中に停止することや向きを変えることが困難である。
Gさんのこの症状を表現するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 安静時振戦
- 2 筋固縮
- 3 無動
- 4 寡動
- 5 姿勢保持障害
- 問題93 障害者への理解を深めるために有効なアセスメントツールの1つであるエコマップが表すものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 家族との関係
- 2 社会との相関関係
- 3 認知機能
- 4 機能の自立度
- 5 日常生活動作
- 問題94 「障害者総合支援法」で定める協議会に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 当事者・家族以外の専門家で構成する。
- 2 療育手帳を交付する。
- 3 相談支援専門員を配置しなければならない。
- 4 国が設置する。
- 5 地域の実情に応じた支援体制の整備について協議を行う。
- (注) 「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
- 問題95 障害者が障害福祉サービスを利用するために相談支援専門員が作成する計画として、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 地域福祉計画
- 2 個別支援計画
- 3 サービス等利用計画
- 4 障害福祉計画
- 5 介護サービス計画
- 問題96 Hさん(45歳、男性)は、脳梗塞(cerebral infarction)を発症して半年間入院した。退院してからは、障害者支援施設に入所して自立訓練を受けている。2か月ほど過ぎたが、右片麻痺{みぎかたまひ}と言語障害が残っている。妻のJさん(35歳)はパート勤務で、小学3年生の子どもがいて、将来が見えずに不安な気持ちである。
家族に対する介護福祉職の支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 家族の不安な気持ちに寄り添い、今の課題を一緒に整理し考えていく。
- 2 Jさんの気持ちを最優先して方向性を決める。
- 3 訓練の様子を伝えるために、頻繁にJさんに施設に来てもらう。
- 4 家族が困っているので専門職主導で方向性を決める。
- 5 レスパイトケアを勧める。
こころとからだのしくみ
- 問題97 Kさん(83歳、女性、要介護1)は、3年前にアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断された。一人暮らしで訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用している。金銭管理は困難であり、長男が行っている。
最近、認知症(dementia)の症状がさらに進み、訪問介護員(ホームヘルパー)がKさんの自宅を訪問すると、「通帳を長男の嫁が持っていってしまった」と繰り返し訴えるようになった。
考えられるKさんの症状として、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 もの盗られ妄想
- 2 心気妄想
- 3 貧困妄想
- 4 罪業妄想
- 5 嫉妬妄想
- 問題98 Lさん(87歳、男性、要介護1)は、冷房が嫌いで、部屋にエアコンはない。ある夏の日の午後、訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問すると、厚手の布団を掛けて眠っていた。布団を取ると大量の発汗があり、体温を測定すると38.5℃であった。朝から水分しか摂取していないという。前から不眠があり、この5日間便秘が続いていたが、食欲はあったとのことである。
次のうち、体温が上昇した原因として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 布団
- 2 発汗
- 3 空腹
- 4 不眠
- 5 便秘
- 問題99 老化に伴う視覚機能の変化に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 水晶体が茶色になる。
- 2 遠くのものが見えやすくなる。
- 3 明暗に順応する時間が長くなる。
- 4 ピントの調節が速くなる。
- 5 涙の量が増える。
- 問題100 言葉の発音が不明瞭になる原因として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 唾液の分泌が増加すること
- 2 舌運動が活発化すること
- 3 口角が上がること
- 4 調整された義歯を使用すること
- 5 口唇が閉じにくくなること
- 問題101 骨に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 骨にはたんぱく質が含まれている。
- 2 骨のカルシウム(Ca)は老化に伴い増える。
- 3 骨は負荷がかかるほうが弱くなる。
- 4 骨は骨芽細胞によって壊される。
- 5 骨のカルシウム(Ca)はビタミンA(vitamin A)によって吸収が促進される。
- 問題102 介護者が効率的かつ安全に介護を行うためのボディメカニクスの原則に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 支持基底面を広くする。
- 2 利用者の重心を遠ざける。
- 3 腰がねじれた姿勢をとる。
- 4 重心を高くする。
- 5 移動時の摩擦面を大きくする。
- 問題103 次のうち、三大栄養素に該当する成分として、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 水分
- 2 炭水化物
- 3 ビタミン(vitamin)
- 4 ナトリウム(Na)
- 5 カルシウム(Ca)
- 問題104 コントロール不良の糖尿病(diabetes mellitus)で高血糖時にみられる症状として、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 振戦
- 2 発汗
- 3 口渇
- 4 乏尿
- 5 動悸{どうき}
- 問題105 Mさん(85歳、男性)は、通所介護(デイサービス)での入浴を楽しみにしていて、いつも時間をかけて湯につかっている。ある時、介護福祉職が、「そろそろあがりましょうか」と声をかけると、浴槽から急に立ち上がりふらついてしまった。
Mさんがふらついた原因として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 体温の上昇
- 2 呼吸数の増加
- 3 心拍数の増加
- 4 動脈血酸素飽和度の低下
- 5 血圧の低下
- 問題106 次のうち、ブリストル便性状スケールの普通便に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 水様便
- 2 硬い便
- 3 泥状便
- 4 コロコロ便
- 5 やや軟らかい便
- 問題107 Aさん(65歳、女性)は、最近、熟睡できないと訴えている。Aさんの日常生活は、毎日6時に起床し、午前中は家事を行い、14時から20分の昼寝をし、16時から30分の散歩をしている。食事は朝食7時、昼食12時、夕食18時にとり、朝食のときはコーヒーを1杯飲む。21時に好きな音楽を聞きながら、夜食を満腹になる程度に食べ、21時30分に就寝している。
Aさんの訴えに対して、日常生活で改善する必要があるものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 朝食のコーヒー
- 2 昼寝
- 3 散歩
- 4 音楽を聞くこと
- 5 就寝前の夜食
- 問題108 Bさん(76歳、女性)は、病気はなく散歩が日課である。肺がん(lung cancer)の夫を長年介護し、数か月前に自宅で看取った。その体験から、死期の迫った段階では延命を目的とした治療は受けずに、自然な最期を迎えたいと願っている。
Bさんが希望する死を表す用語として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 脳死
- 2 突然死
- 3 尊厳死
- 4 積極的安楽死
- 5 心臓死
<領域:医療的ケア>
医療的ケア
- 問題109 社会福祉士及び介護福祉士法で規定されている介護福祉士が実施できる経管栄養の行為として、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 栄養剤の種類の変更
- 2 栄養剤の注入速度の決定
- 3 経鼻経管栄養チューブの胃内への留置
- 4 栄養剤の注入
- 5 胃ろうカテーテルの定期交換
- 問題110 気管カニューレ内部の喀痰吸引{かくたんきゅういん}で、指示された吸引時間よりも長くなった場合、吸引後に注意すべき項目として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 体温
- 2 血糖値
- 3 動脈血酸素飽和度
- 4 痰{たん}の色
- 5 唾液の量
- 問題111 呼吸器官の換気とガス交換に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 換気とは、体外から二酸化炭素を取り込み、体外に酸素を排出する働きをいう。
- 2 呼吸運動は、主として大胸筋によって行われる。
- 3 1回に吸い込める空気の量は、年齢とともに増加する。
- 4 ガス交換は、肺胞内の空気と血液の間で行われる。
- 5 筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)では、主にガス交換の働きが低下する。
- 問題112 経管栄養で用いる半固形タイプの栄養剤の特徴に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 経鼻経管栄養法に適している。
- 2 液状タイプと同じ粘稠度{ねんちゅうど}である。
- 3 食道への逆流を改善することが期待できる。
- 4 仰臥位{ぎょうがい}(背臥位{はいがい})で注入する。
- 5 注入時間は、液状タイプより長い。
- 問題113 経管栄養で、栄養剤の注入後に白湯を経管栄養チューブに注入する理由として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 チューブ内を消毒する。
- 2 チューブ内の栄養剤を洗い流す。
- 3 水分を補給する。
- 4 胃内を温める。
- 5 栄養剤の濃度を調節する。
<総合問題>
総合問題
(総合問題1)
次の事例を読んで、問題114から問題116までについて答えなさい。
〔事 例〕
Cさん(83歳、女性)は、一人暮らしで、近所に買い物に行く以外はテレビを見て過ごしている。近県に息子がいるが、仕事が忙しく、会いに来ることはあまりなかった。
ある日、息子が久しぶりに訪問すると、部屋の中がごみや衣類などで散らかっていた。病院を受診するとCさんはアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断され、要介護1と認定された。
Cさんは、時々、電気湯沸しポットの使い方がわからなくなって湯が出せなかったり、お茶を入れる順番がわからずに混乱する様子が見られた。
心配した息子は、介護保険サービスを利用することにした。後日、介護支援専門員(ケアマネジャー)が訪問し、介護保険サービスの利用についてCさんや息子と話し合った。週2回、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用することになり、介護支援専門員(ケアマネジャー)は、「自宅で、衛生的な生活ができる」をケアプランの長期目標とした。
- 問題114 Cさんを担当する訪問介護員(ホームヘルパー)は、サービス提供責任者と共に訪問介護計画書を作成することになった。
次の記述の中で、短期目標として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 掃除機を利用して、1人で掃除をすることができるようになる。
- 2 電気湯沸しポットを使い、1人でお茶を入れることができるようになる。
- 3 Cさんの残存機能に着目して支援する。
- 4 週2回、息子にCさんの自宅を訪問してもらう。
- 5 訪問介護員(ホームヘルパー)と一緒に掃除をすることができるようになる。
- 問題115 Cさんは、たびたび息子に電気湯沸しポットが壊れていると訴えるようになった。
Cさんのこのような状態に該当するものとして、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 空間認知障害
- 2 視覚認知障害
- 3 遂行機能障害
- 4 失認
- 5 観念運動失行
- 問題116 Cさんの家に訪問介護員(ホームヘルパー)が通い始めて数か月が経過した頃、Cさんの息子から訪問介護員(ホームヘルパー)に以下の希望が挙げられた。
介護保険で対応可能な支援として、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 Cさんと息子が出かけている間に洗濯物を取り込む。
- 2 Cさんの処方薬を薬局で受け取る。
- 3 地域のお祭りにCさんと一緒に行く。
- 4 Cさんの部屋の壁紙を張り替える。
- 5 訪ねて来た親戚にお茶を入れる。
(総合問題2)
次の事例を読んで、問題117から問題119までについて答えなさい。
〔事 例〕
Dさん(70歳、男性)は、19歳のときに統合失調症(schizophrenia)を発症し、入退院を繰り返しながら両親と一緒に生活してきた。両親が亡くなったことをきっかけとして不安に襲われ、妄想や幻聴の症状が強く現れるようになった。そのため、兄に付き添われて精神科病院を受診し、医療保護入院となった。
現在は、入院から3年が経過し、陽性症状はほとんどなく、病棟で日中はレクリエーションに参加するなど落ち着いて生活している。
- 問題117 Dさんが3年前に入院した医療保護入院の制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 1 Dさんの同意による入院
- 2 精神保健指定医2名以上の診察の結果が、入院させなければ自傷他害の恐れがあると一致した場合の入院
- 3 精神保健指定医1名が診察し、入院させなければ自傷他害の恐れがあると判断した場合、72時間以内に制限した入院
- 4 精神保健指定医1名が診察し、Dさんの同意が得られず、家族等1名の同意がある入院
- 5 精神保健指定医1名が診察し、Dさんの同意が得られず、さらに家族等の同意が得られないため72時間以内に制限した入院
- 問題118 1年前からDさんの退院について検討が行われてきた。Dさんは退院後の生活に対する不安があり、「帰る家がない」、「顔見知りの患者や職員がいるのでここを離れたくない」と退院には消極的であった。しかし、Dさんと仲のよい患者が、退院し施設入所したことをきっかけに退院を考えるようになった。
Dさんは、整容、入浴、排泄{はいせつ}、食事、移動は見守りがあればできる。また、介護福祉職の助言を受ければ、日用品などを買うことはできる。経済状況は、障害基礎年金2級と生活保護を受給している。要介護認定を受けたところ、要介護1と認定された。
Dさんの退院先の候補になる施設として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 養護老人ホーム
- 2 老人福祉センター
- 3 更生施設
- 4 地域生活定着支援センター
- 5 介護老人福祉施設
- 問題119 Dさんは施設への入所が決まり、うれしそうに退院の準備をするようになった。ある夜、1人で荷物の整理をしていたときに転んでしまい、顔を強打して大きなあざができた。後遺症はないことがわかったが、Dさんは自信をなくし、介護福祉職に、「これでは施設も自分を受け入れてくれないだろう」と言い、「施設入所がうれしくて早く準備がしたかった」と話した。
そばに寄り添い、Dさんの話を聴き終えた介護福祉職が、「施設入所がうれしくて、早く準備をしたかったのですね」と言うと、Dさんは、「退院を諦めていたけど、自分にも暮らせる場所があると思った」とやりたいことや夢を語り出した。
介護福祉職が行ったコミュニケーション技術として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 あいづち
- 2 言い換え
- 3 要約
- 4 繰り返し
- 5 閉じられた質問
(総合問題3)
次の事例を読んで、問題120から問題122までについて答えなさい。
〔事 例〕
Eさん(35歳、男性)は、1年前に筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)と診断された。当初の症状としては、ろれつが回らず、食べ物の飲み込みが悪くなり、体重の減少がみられた。
その後、Eさんの症状は進行し、同居している両親から介護を受けて生活をしていたが、両親の介護負担が大きくなったため、障害福祉サービスを利用することになった。障害支援区分の認定を受けたところ、障害支援区分3になった。Eさんは訪問介護員(ホームヘルパー)から食事や入浴の介護を受けて自宅で生活をしている。
- 問題120 Eさんが病院を受診するきっかけになった症状に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 対麻痺{ついまひ}
- 2 単麻痺{たんまひ}
- 3 球麻痺{きゅうまひ}
- 4 安静時振戦
- 5 間欠性跛行{かんけつせいはこう}
- 問題121 ある日、Eさんの自宅を訪問した訪問介護員(ホームヘルパー)は、Eさんの両親から、「これまでEは話をするのが難しく、筆談で意思を聞いてきたが、ペンを持つのが難しくなってきた」と聞いた。確かにEさんは、発話や字を書くことは困難な様子だが、目はよく動いている。
次のうち、今後、Eさんが家族とコミュニケーションをとるときに使うことのできる道具として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 ホワイトボード
- 2 絵や写真
- 3 透明文字盤
- 4 拡声器
- 5 補聴器
- 問題122 3年後、Eさんの症状はさらに進行し、障害支援区分6になった。Eさんはこれまでどおり、自宅での生活を希望し、Eさんの両親は障害福祉サービスを利用しながら最期まで自宅でEさんの介護を行うことを希望している。
Eさんと両親の希望の実現に向けて、現在の状態からEさんが利用するサービスとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 育成医療
- 2 就労定着支援
- 3 共同生活援助(グループホーム)
- 4 行動援護
- 5 重度訪問介護
(総合問題4)
次の事例を読んで、問題123から問題125までについて答えなさい。
〔事 例〕
Fさん(50歳、女性、障害支援区分5)は、アテトーゼ型(athetosis)の脳性麻痺{のうせいまひ}(cerebral palsy)による四肢・体幹機能障害がある。居宅介護を利用し、入浴の支援を受けながら母親(79歳)と暮らしていた。Fさんは障害基礎年金1級を受給していて、Fさん名義の貯蓄がある。金銭管理は母親が行っていた。
Fさんは、3年前に誤嚥性肺炎{ごえんせいはいえん}(aspiration pneumonia)で入院したことがある。言語障害があり、慣れた人でないと言葉が聞き取りにくい。自宅では車いすに乗り、足で床を蹴って移動し、屋外は母親が車いすを押していた。Fさんは自宅内の移動以外の日常生活については、母親から全面的に介護を受けて生活していた。
最近、日中活動の場と短期入所(ショートステイ)の利用について、市の障害福祉課に相談するようになった。
ところが、母親が持病の心疾患(heart disease)で亡くなり、市の障害福祉課がFさんと当面の生活について検討することになった。
Fさんは1人で生活することは難しいと思い、施設入所を希望している。
- 問題123 Fさんの脳性麻痺{のうせいまひ}(cerebral palsy)の特徴に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 強い筋緊張から、四肢の突っ張りが強い。
- 2 不随意運動が生じて、運動コントロールが困難になる。
- 3 文字の読みの不正確さがあり、読んだ内容を理解しにくい。
- 4 動作は緩慢で、表情が乏しくなる。
- 5 着衣失行が生じる。
- 問題124 Fさんは、障害者支援施設に入所できることになり、アセスメント(assessment)が行われた。
相談支援専門員は、Fさんの希望をもとに、これまでの生活状況と身体の様子等から、もう少し本人にできることがあるのではないかと考え、「障害者支援施設で施設入所支援と生活介護を利用しながら、将来の生活を考える」という方針を立てた。また、長期目標を、「自分に適した介護を受けながら、様々な生活経験を積む」とした。
Fさんの短期目標として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 入浴時に自分でからだを洗えるようになる。
- 2 毎日字を書く練習を行い、筆談で会話ができるようになる。
- 3 施設内は、車いす介助を受けながら安全に移動する。
- 4 経管栄養で食事がとれるようになる。
- 5 日中活動として外出や興味のあるグループ活動に参加する。
- 問題125 入所してから3か月が経ち、支援の見直しが行われた。
Fさんは施設生活にも慣れ、相談できる人も増えている。また、「自分でお小遣いを使えるようになりたい」と言い、外出時に必要なお金を介護福祉職と一緒に考えるようになった。将来の地域生活を考えて、社会福祉協議会の金銭管理に切り替えることが検討された。
Fさんが活用できる社会福祉協議会が行う金銭管理として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 日常生活自立支援事業
- 2 生活福祉資金
- 3 自立訓練
- 4 生活困窮者家計改善支援事業
- 5 自発的活動支援事業