第34回(令和3年度)介護福祉士国家試験 筆記試験午前の問題

<領域:人間と社会>

人間の尊厳と自立

問題1 著書『ケアの本質-生きることの意味』の中で、「一人の人格をケアするとは、最も深い意味で、その人が成長すること、自己実現することをたすけることである」と述べた人物として、正しいものを1つ選びなさい。
1 神谷美恵子
2 糸賀一雄
3 フローレンス・ナイチンゲール(Nightingale, F.)
4 ミルトン・メイヤロフ(Mayeroff, M.)
5 ベンクト・ニィリエ(Nirje, B.)
問題2 Aさん(80歳、女性、要介護1)は、筋力や理解力の低下がみられ、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用している。訪問介護員(ホームヘルパー)がいない時間帯は、同居している長男(53歳、無職)に頼って生活をしている。長男はAさんの年金で生計を立てていて、ほとんど外出しないで家にいる。
ある時、Aさんは訪問介護員(ホームヘルパー)に、「長男は暴力がひどくてね。この間も殴られて、とても怖かった。長男には言わないでね。あとで何をされるかわからないから」と話した。訪問介護員(ホームヘルパー)は、Aさんのからだに複数のあざがあることを確認した。
訪問介護員(ホームヘルパー)の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 長男の虐待を疑い、上司に報告し、市町村に通報する。
2 長男の仕事が見つかるようにハローワークを紹介する。
3 Aさんの気持ちを大切にして何もしない。
4 すぐに長男を別室に呼び、事実を確認する。
5 長男の暴力に気づいたかを近所の人に確認する。

人間関係とコミュニケーション

問題3 介護福祉職はBさんから、「認知症(dementia)の母の介護がなぜかうまくいかない。深夜に徘徊{はいかい}するので、心身共に疲れてきた」と相談された。介護福祉職は、「落ち込んでいてはダメですよ。元気を出して頑張ってください」とBさんに言った。後日、介護福祉職はBさんに対する自身の発言を振り返り、不適切だったと反省した。
介護福祉職はBさんに対してどのような返答をすればよかったのか、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「お母さんに施設へ入所してもらうことを検討してはどうですか」
2 「私も疲れているので、よくわかります」
3 「認知症(dementia)の方を介護しているご家族は、皆さん疲れていますよ」
4 「近所の人に助けてもらえるように、私から言っておきます」
5 「お母さんのために頑張ってきたんですね」
問題4 利用者とのコミュニケーション場面で、介護福祉職が行う自己開示の目的として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ジョハリの窓(Johari Window)の「開放された部分(open area)」を狭くするために行う。
2 利用者との信頼関係を形成するために行う。
3 利用者が自分自身の情報を開示するために行う。
4 利用者との信頼関係を評価するために行う。
5 自己を深く分析し、客観的に理解するために行う。

社会の理解

問題5 2016年(平成28年)に閣議決定された、「ニッポン一億総活躍プラン」にある「地域共生社会の実現」に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 日本型福祉社会の創造
2 我が事・丸ごとの地域づくり
3 健康で文化的な最低限度の生活の保障
4 社会保障と税の一体改革
5 皆保険・皆年金体制の実現
問題6 2019年(平成31年、令和元年)の日本の世帯に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 平均世帯人員は、3人を超えている。
2 世帯数で最も多いのは、2人世帯である。
3 単独世帯で最も多いのは、高齢者の単独世帯である。
4 母子世帯数と父子世帯数を合算すると、高齢者世帯数を超える。
5 全国の世帯総数は、7千万を超えている。
問題7 2015年(平成27年)以降の日本の社会福祉を取り巻く環境に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 人口は、増加傾向にある。
2 共働き世帯数は、減少傾向にある。
3 非正規雇用労働者数は、減少傾向にある。
4 高齢世代を支える現役世代(生産年齢人口)は、減少傾向にある。
5 日本の国民負担率は、OECD加盟国の中では上位にある。
問題8 次のうち、2020年(令和2年)の社会福祉法等の改正に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 市町村による地域福祉計画の策定
2 入所施設の重点的な拡充
3 医療・介護のデータ基盤の整備の推進
4 市町村直営の介護サービス事業の整備拡充
5 ロボット等の機械の活用から人によるケアへの転換
問題9 Cさん(78歳、男性、要支援1)は、公的年金(月額19万円)で公営住宅の3階で一人暮らしをしている。妻と死別後も通所型サービスを利用し、自炊を楽しみながら生活している。最近、膝の具合がよくないこともあり、階段の上り下りが負担になってきた。そこで、転居について、通所型サービスのD介護福祉士に相談をした。
次のうち、D介護福祉士がCさんに紹介する住まいの場として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
2 介護付有料老人ホーム
3 軽費老人ホームA型
4 サービス付き高齢者向け住宅
5 養護老人ホーム
問題10 介護保険制度の保険給付の財源構成として、適切なものを1つ選びなさい。
1 保険料
2 公費
3 公費、保険料、現役世代からの支援金
4 公費、第一号保険料
5 公費、第一号保険料、第二号保険料
問題11 「2016年(平成28年)生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」(厚生労働省)における身体障害、知的障害、精神障害の近年の状況に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 最も人数の多い障害は、知的障害である。
2 施設入所者の割合が最も高い障害は、身体障害である。
3 在宅の身体障害者のうち、65歳以上の割合は7割を超えている。
4 在宅の知的障害者の数は、減少傾向にある。
5 精神障害者の8割は、精神障害者保健福祉手帳を所持している。
問題12 Eさん(30歳、女性、知的障害、障害支援区分2)は、現在、日中は特例子会社で働き、共同生活援助(グループホーム)で生活している。今後、一人暮らしをしたいと思っているが、初めてなので不安もある。
次のうち、Eさんが安心して一人暮らしをするために利用するサービスとして、適切なものを1つ選びなさい。
1 行動援護
2 同行援護
3 自立訓練(機能訓練)
4 自立生活援助
5 就労継続支援
問題13 重度訪問介護に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 外出時における移動中の介護も含まれる。
2 知的障害者は対象にならない。
3 利用者が医療機関に入院した場合、医療機関で支援することはできない。
4 訪問看護の利用者は対象にならない。
5 障害が視覚障害のみの場合でも利用できる。
問題14 「成年後見関係事件の概況(令和2年1月~12月)」(最高裁判所事務総局家庭局)における、成年後見人等として活動している人が最も多い職種として、正しいものを1つ選びなさい。
1 行政書士
2 司法書士
3 社会保険労務士
4 精神保健福祉士
5 税理士
問題15 保健所に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 保健所の設置は、医療法によって定められている。
2 保健所は、全ての市町村に設置が義務づけられている。
3 保健所は、医療法人によって運営されている。
4 保健所の所長は、保健師でなければならない。
5 保健所は、結核(tuberculosis)などの感染症の予防や対策を行う。
問題16 生活保護制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 生活保護の給付方法には、金銭給付と現物給付がある。
2 生活保護の申請は、民生委員が行う。
3 生活保護法は、日本国憲法第13条にある幸福追求権の実現を目的としている。
4 生活保護を担当する職員は、社会福祉士の資格が必要である。
5 生活保護の費用は、国が全額を負担する。

<領域:介護>

介護の基本

問題17 Fさん(66歳、戸籍上の性別は男性、要介護3)は、性同一性障害であることを理由に施設利用を避けてきた。最近、数年前の脳卒中(stroke)の後遺症がひどくなり、一人暮らしが難しくなってきた。Fさんは、担当の訪問介護員(ホームヘルパー)に施設入所について、「性同一性障害でも施設に受け入れてもらえるでしょうか」と相談した。
訪問介護員(ホームヘルパー)の応答として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「居室の表札は、通称名ではなく戸籍上の名前になります」
2 「多床室になる場合がありますよ」
3 「施設での生活で心配なことは何ですか」
4 「トイレや入浴については問題がありますね」
5 「同性による介護が原則です」
問題18 利用者主体の考えに基づいた介護福祉職の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 1人で衣服を選ぶことが難しい利用者には、毎日の衣服を自分で選べるような声かけをする。
2 食べこぼしが多い利用者には、こぼさないように全介助する。
3 認知症(dementia)の利用者には、排泄{はいせつ}の感覚があっても、定時に排泄{はいせつ}の介護を行う。
4 転倒しやすい利用者には、事故防止のため立ち上がらないように声をかける。
5 入浴が自立している利用者も、危険を避けるため個別浴ではなく集団での入浴とする。
問題19 利用者の自立支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者の最期の迎え方を決めるのは、家族である。
2 利用者が話しやすいように、愛称で呼ぶ。
3 利用者が自分でできないことは、できるまで見守る。
4 利用者の生活のスケジュールを決めるのは、介護福祉職である。
5 利用者の意見や希望を取り入れて介護を提供する。
問題20 Gさん(70歳、男性、要介護2)は、パーキンソン病(Parkinson disease)と診断されていて、外出するときは車いすを使用している。歩行が不安定なため、週2回通所リハビリテーションを利用している。Gさんは、1年前に妻が亡くなり、息子と二人暮らしである。Gさんは社交的な性格で地域住民との交流を望んでいるが、自宅周辺は坂道や段差が多くて移動が難しく、交流ができていない。
Gさんの状況をICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)で考えた場合、参加制約の原因になっている環境因子として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 パーキンソン病(Parkinson disease)
2 不安定な歩行
3 息子と二人暮らし
4 自宅周辺の坂道や段差
5 車いす
問題21 Hさん(75歳、女性、要介護2)は、孫(17歳、男性、高校生)と自宅で二人暮らしをしている。Hさんは関節疾患(joint disease)があり、通所リハビリテーションの利用を開始した。介護福祉職が送迎時に孫から、「祖母は、日常生活が難しくなり、自分が食事を作るなどの機会が増え、家事や勉強への不安がある」と相談された。
介護福祉職の孫への対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「今までお世話になったのですから、今度はHさんを支えてください」
2 「家事が大変なら、Hさんに介護老人福祉施設の入所を勧めましょう」
3 「高校の先生や介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談していきましょう」
4 「家でもリハビリテーションを一緒にしてください」
5 「近所の人に家事を手伝ってもらってください」
問題22 介護保険制度のサービス担当者会議に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 会議の招集は介護支援専門員(ケアマネジャー)の職務である。
2 利用者の自宅で開催することが義務づけられている。
3 月1回以上の頻度で開催することが義務づけられている。
4 サービス提供者の実践力の向上を目的とする。
5 利用者の氏名は匿名化される。
問題23 社会資源に関する次の記述のうち、フォーマルサービスに該当するものとして、適切なものを1つ選びなさい。
1 一人暮らしの高齢者への見守りを行う地域住民
2 買物を手伝ってくれる家族
3 ゴミ拾いのボランティア活動を行う学生サークル
4 友人や知人と行う相互扶助の活動
5 介護の相談を受ける地域包括支援センター
問題24 介護福祉士の職業倫理に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 介護が必要な人を対象にしているため、地域住民との連携は不要である。
2 全ての人々が質の高い介護を受けることができるように、後継者を育成する。
3 利用者のためによいと考えた介護を画一的に実践する。
4 利用者に関する情報は、業務以外では公表してよい。
5 利用者の価値観よりも、介護福祉士の価値観を優先する。
問題25 施設における利用者の個人情報の安全管理対策として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 介護福祉職が個人所有するスマートフォンの居室への持込みは制限しない。
2 不要な個人情報を破棄する場合は、万が一に備えて復元できるようにしておく。
3 利用者からの照会に速やかに応じるために、整理用のインデックス(index)は使用しない。
4 個人情報に関する苦情対応体制について、施設の掲示板等で利用者に周知徹底する。
5 個人情報の盗難を防ぐために、職員の休憩室に監視カメラを設置する。
問題26 訪問介護員(ホームヘルパー)が、利用者や家族からハラスメント(harassment)を受けたときの対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者に後ろから急に抱きつかれたが、黙って耐えた。
2 利用者から暴力を受けたので、「やめてください」と伝え、上司に相談した。
3 利用者が繰り返す性的な話を、苦痛だが笑顔で聞いた。
4 家族から暴言を受けたが、担当なのでそのまま利用者宅に通った。
5 家族からサービス外のことを頼まれて、断ったら怒鳴られたので実施した。

コミュニケーション技術

問題27 介護福祉職が利用者とコミュニケーションをとるときの基本的な態度として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 上半身を少し利用者のほうへ傾けた姿勢で話を聞く。
2 利用者の正面に立って話し続ける。
3 腕を組んで話を聞く。
4 利用者の目を見つめ続ける。
5 緊張感が伝わるように、背筋を伸ばす。
問題28 介護福祉職によるアサーティブ・コミュニケーション(assertive communication)として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者の要求は、何も言わずにそのまま受け入れる。
2 利用者から苦情を言われたときは、沈黙して我慢する。
3 利用者を説得して介護福祉職の都合に合わせてもらう。
4 介護福祉職の提案に従うことが利用者の利益になると伝える。
5 利用者の思いを尊重しながら、介護福祉職の意見を率直に伝える。

次の事例を読んで、問題29、問題30について答えなさい。
〔事 例〕
Jさん(75歳、男性)は先天性の全盲である。これまで自宅で自立した生活をしてきたが、最近、心身機能の衰えを感じて、有料老人ホームに入居した。
施設での生活にまだ慣れていないので、移動は介護福祉職に誘導してもらっている。
ある日、介護福祉職がJさんを自室まで誘導したときに、「いつも手伝ってもらってすみません。なかなか場所を覚えられなくて。私はここでやっていけるでしょうか」と話してきた。

問題29 Jさんの発言への介護福祉職の共感的理解を示す対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 Jさんの発言にうなずく。
2 Jさんの発言のあと沈黙する。
3 Jさんの話の内容を短くまとめて伝える。
4 Jさんの立場に立って感情を推し測り、言葉で表現して伝える。
5 Jさんの気持ちが前向きになるように、励ましの言葉を伝える。
問題30 Jさんの不安な気持ちを軽くするための介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 いきなり声をかけると驚くので、肩にふれてから挨拶をする。
2 誘導時の声かけは歩行の妨げになるので、最小限にする。
3 角を曲がるときには、「こちらに」と方向を伝える。
4 トイレや食堂などを、一緒に歩きながら確認する。
5 食堂の座席は、Jさんの好きなところに座るように伝える。

次の事例を読んで、問題31、問題32について答えなさい。
〔事 例〕
Kさん(83歳、女性、要介護3)は、10年前の脳出血(cerebral hemorrhage)による後遺症で高次脳機能障害(higher brain dysfunction)がある。感情のコントロールが難しく、興奮すると大声をあげて怒りだす。現在は、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら、自宅で長男(60歳)と二人暮らしをしている。
長男は、会社を3年前に早期退職し、Kさんの介護に専念してきた。顔色が悪く、介護による疲労を訴えているが、「介護を続けて、母を自宅で看取りたい」と強く希望している。別居している長女は、長男の様子を心配して、「母親の施設入所の手続きを進めたい」という意向を示している。

問題31 訪問介護員(ホームヘルパー)が、興奮しているときのKさんとコミュニケーションをとるための方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 興奮している理由を詳しく聞く。
2 興奮することはよくないと説明する。
3 冷静になるように説得する。
4 事前に作成しておいた日課表に沿って活動してもらう。
5 場所を移動して話題を変える。
問題32 長男に対する訪問介護員(ホームヘルパー)の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 長男自身の意向を変える必要はないと励ます。
2 Kさん本人の意向が不明なため、長男の希望は通らないと伝える。
3 これまでの介護をねぎらい、自宅での看取りを希望する理由を尋ねる。
4 自宅での生活を継続するのは限界だと説明する。
5 長女の言うように、施設入所の手続きを進めることが正しいと伝える。
問題33 利用者の家族から苦情があったときの上司への報告に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 苦情の内容について、時間をかけて詳しく口頭で報告した。
2 すぐに口頭で概要を報告してから、文書を作成して報告した。
3 結論を伝えることを重視して、「いつもの苦情です」とすぐに報告した。
4 上司が忙しそうだったので、同僚に伝えた。
5 自分の気持ちが落ち着いてから、翌日に報告した。
問題34 利用者の自宅で行うケアカンファレンス(care conference)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 検討する内容は、インフォーマルなサポートに限定する。
2 介護福祉職の行った介護に対する批判を中心に進める。
3 利用者本人の参加を促し、利用者の意向をケア方針に反映させる。
4 意見が分かれたときは、多数決で決定する。
5 対立を避けるために、他の専門職の意見には反論しない。

生活支援技術

問題35 老化に伴う機能低下のある高齢者の住まいに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 寝室はトイレに近い場所が望ましい。
2 寝室は玄関と別の階にする。
3 夜間の騒音レベルは80dB以下になるようにする。
4 ベッドは照明の真下に配置する。
5 壁紙と手すりは同色にするのが望ましい。
問題36 Lさん(25歳、男性)は、第7胸髄節(Th7)を損傷したが、現在、状態は安定していて、車いすを利用すれば1人で日常生活ができるようになった。図はLさんの自宅の浴室であり、必要な手すりは既に設置されている。
Lさんが1人で浴槽に入るための福祉用具として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 段差解消機
2 ストレッチャー
3 すべり止めマット
4 四点歩行器
5 移乗台
問題37 耳の清潔に関する介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 耳垢{じこう}の状態を観察した。
2 綿棒を外耳道の入口から3cm程度挿入した。
3 耳介を上前方に軽く引きながら、耳垢{じこう}を除去した。
4 蒸しタオルで耳垢塞栓{じこうそくせん}を柔らかくして除去した。
5 耳かきを使用して、耳垢{じこう}を毎日除去した。
問題38 歯ブラシを使用した口腔{こうくう}ケアに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 歯ブラシの毛は硬いものを勧める。
2 強い力で磨く。
3 歯と歯肉の境目のブラッシングは避ける。
4 歯ブラシを小刻みに動かしながら磨く。
5 使用後の歯ブラシは、柄の部分を上にしてコップに入れて保管する。
問題39 Mさん(84歳、男性)は、10年前に脳梗塞(cerebral infarction)で右片麻痺{みぎかたまひ}になり、右上肢の屈曲拘縮がある。今までは自分で洋服を着ていたが、1週間ほど前から左肩関節の周囲に軽い痛みを感じるようになり、上着の着脱の介護が必要になった。
Mさんへの上着の着脱の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 服を脱ぐときは、右上肢から脱ぐ。
2 右手首に袖を通すときは、介護福祉職の指先に力を入れて手首をつかむ。
3 右肘関節を伸展するときは、素早く動かす。
4 右肘に袖を通すときは、前腕を下から支える。
5 衣類を準備するときは、かぶり式のものを選択する。
問題40 経管栄養を行っている利用者への口腔{こうくう}ケアに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 スポンジブラシは水を大量に含ませて使用する。
2 上顎部は、口腔{こうくう}の奥から手前に向かって清拭する。
3 栄養剤注入後すぐに実施する。
4 口腔内{こうくうない}を乾燥させて終了する。
5 空腹時の口腔{こうくう}ケアは避ける。
問題41 スライディングボードを用いた、ベッドから車いすへの移乗の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 アームサポートが固定された車いすを準備する。
2 ベッドから車いすへの移乗時には、ベッドを車いすの座面より少し高くする。
3 ベッドと車いすの間を大きくあけ、スライディングボードを設置する。
4 スライディングボード上では、臀部{でんぶ}を素早く移動させる。
5 車いすに座位を安定させ、からだを傾けずにスライディングボードを抜く。
問題42 利用者を仰臥位{ぎょうがい}(背臥位{はいがい})から側臥位{そくがい}へ体位変換するとき、トルクの原理を応用した介護方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者とベッドの接地面を広くする。
2 利用者の下肢を交差させる。
3 利用者の膝を立てる。
4 滑りやすいシートを利用者の下に敷く。
5 利用者に近づく。
問題43 視覚障害のある利用者の外出に同行するときの支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 トイレを使用するときは、トイレ内の情報を提供する。
2 階段を上るときは、利用者の手首を握って誘導する。
3 狭い場所を歩くときは、利用者の後ろに立って誘導する。
4 タクシーに乗るときは、支援者が先に乗って誘導する。
5 駅ではエレベーターよりエスカレーターの使用を勧める。
問題44 Aさん(78歳、男性、要介護2)は、脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で嚥下障害{えんげしょうがい}がある。自宅で妻と二人暮らしで、訪問介護(ホームヘルプサービス)を週1回利用している。訪問時、妻から、「飲み込みの難しいときがある。上手に食べさせるにはどうしたらよいか」と相談があった。
訪問介護員(ホームヘルパー)の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 食事のときは、いすに浅く座るように勧める。
2 会話をしながら食事をするように勧める。
3 食事の後に嚥下体操{えんげたいそう}をするように勧める。
4 肉、野菜、魚などは軟らかく調理するように勧める。
5 おかずを細かく刻むように勧める。
問題45 慢性腎不全(chronic renal failure)の利用者の食材や調理方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 エネルギーの高い植物油を控える。
2 レモンや香辛料を利用し、塩分を控えた味付けにする。
3 肉や魚を多めにする。
4 砂糖を控えた味付けにする。
5 野菜は生でサラダにする。
問題46 利用者の食事支援に関して、介護福祉職が連携する職種として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 スプーンや箸がうまく使えないときは、食事動作の訓練を言語聴覚士に依頼する。
2 咀嚼障害{そしゃくしょうがい}があるときは、義歯の調整を作業療法士に依頼する。
3 座位の保持が困難なときは、体幹訓練を理学療法士に依頼する。
4 摂食・嚥下障害{えんげしょうがい}があるときは、嚥下訓練{えんげくんれん}を義肢装具士に依頼する。
5 食べ残しが目立つときは、献立や調理方法の変更を社会福祉士に依頼する。
問題47 入浴の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 着替えの衣服は、介護福祉職が選択する。
2 空腹時の入浴は控える。
3 入浴前の水分摂取は控える。
4 食後1時間以内に入浴する。
5 入浴直前の浴槽の湯は、45℃で保温する。
問題48 シャワー浴の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 シャワーの湯温は、介護福祉職よりも先に利用者が確認する。
2 からだ全体にシャワーをかけるときは、上肢から先に行う。
3 利用者が寒さを訴えたときは、熱いシャワーをかける。
4 利用者が陰部を洗うときは、介護福祉職は背部に立って見守る。
5 脱衣室に移動してから、からだの水分を拭きとる。
問題49 左片麻痺{ひだりかたまひ}のある利用者が、浴槽内から一部介助で立ち上がる方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者の左膝を立てて、左の踵{かかと}を臀部{でんぶ}に引き寄せてもらう。
2 浴槽の底面に両手を置いてもらう。
3 右手で手すりをつかんで前傾姿勢をとり、臀部{でんぶ}を浮かしてもらう。
4 利用者の両腋窩に手を入れて支える。
5 素早く立ち上がるように促す。
問題50 入浴関連用具の使用方法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 シャワー用車いすは、段差に注意して移動する。
2 入浴の移乗台は、浴槽よりも高く設定する。
3 浴槽設置式リフトは、臥位{がい}の状態で使用する。
4 入浴用介助ベルトは、利用者の胸部に装着する。
5 ストレッチャーで機械浴槽に入るときは、ストレッチャーのベルトを外す。
問題51 便秘の傾向がある高齢者に自然排便を促すための介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 朝食を抜くように勧める。
2 油を控えるように勧める。
3 散歩をするように勧める。
4 腰部を冷やすように勧める。
5 就寝前にトイレに座るように勧める。
問題52 認知機能の低下による機能性尿失禁で、夜間、トイレではない場所で排尿してしまう利用者への対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 日中、足上げ運動をする。
2 ズボンのゴムひもを緩いものに変える。
3 膀胱訓練{ぼうこうくんれん}を行う。
4 排泄{はいせつ}してしまう場所に入れないようにする。
5 トイレの照明をつけて、ドアを開けておく。
問題53 次の記述のうち、排泄物{はいせつぶつ}で汚れた衣類をタンスに隠してしまう認知症(dementia)の利用者への対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 タンスの中に汚れた衣類を入れられる場所を確保する。
2 「汚れた衣類は入れないように」とタンスに貼紙をする。
3 トイレに行くときには、同行して近くで監視する。
4 つなぎ服を勧める。
5 隠すところを見たら、毎回注意する。
問題54 次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする衣類用漂白剤に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 全ての白物の漂白に使用できる。
2 色柄物の漂白に適している。
3 熱湯で薄めて用いる。
4 手指の消毒に適している。
5 衣類の除菌効果がある。
問題55 次の記述のうち、ズボンの裾上げの縫い目が表から目立たない手縫いの方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 なみ縫い
2 半返し縫い
3 本返し縫い
4 コの字縫い(コの字とじ)
5 まつり縫い
問題56 心地よい睡眠環境を整備するためのベッドメイキングに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 シーツを外すときは、汚れた面を外側に丸めながら外す。
2 しわを作らないために、シーツの角を対角線の方向に伸ばして整える。
3 袋状の枕カバーの端を入れ込んで使用するときは、布の折り込み側が上になるように置く。
4 掛け毛布はゆるみを作らずにシーツの足元に押し込む。
5 動かしたベッド上の利用者の物品は、使いやすいように位置を変えておく。
問題57 夜勤のある施設職員が良質な睡眠をとるための生活習慣に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 夜勤に入る前には仮眠をとらない。
2 寝る前にスマートフォンでメールをチェックする。
3 朝食と夕食の開始時間を日によって変える。
4 夜勤後の帰宅時にはサングラス(sunglasses)をかけるなど、日光を避けるようにする。
5 休日に寝だめをする。
問題58 Bさん(102歳、女性)は、介護老人福祉施設に入所している。高齢による身体機能の衰えがあり、機能低下の状態が長く続いていた。1週間前から経口摂取が困難になった。1日の大半は目を閉じ、臥床状態{がしょうじょうたい}が続いている。医師から、「老衰により死期が近い」と診断され、家族は施設で看取りたいと希望している。
死が極めて近い状態にあるBさんの看取りに必要な情報として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 体重の減少
2 夜間の睡眠時間
3 延命治療の意思
4 嚥下可能{えんげかのう}な食形態
5 呼吸の状態
問題59 介護老人福祉施設における終末期の利用者の家族支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 緊急連絡先を1つにすることを提案する。
2 面会を控えるように伝える。
3 死に至る過程で生じる身体的変化を説明する。
4 死後の衣服は浴衣がよいと提案する。
5 亡くなる瞬間に立ち会うことが一番重要だと伝える。
問題60 死亡後の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 死後硬直がみられてから実施する。
2 生前と同じように利用者に声をかけながら介護を行う。
3 義歯を外す。
4 髭剃{ひげそ}り後はクリーム塗布を控える。
5 両手を組むために手首を包帯でしばる。

介護過程

問題61 介護福祉職が介護過程を展開する意義に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 チームアプローチ(team approach)による介護を提供することができる。
2 直感的な判断をもとに介護を考えることができる。
3 今までの生活から切り離した介護を提供する。
4 介護福祉職が生活を管理するための介護を考えることができる。
5 介護福祉職が実施したい介護を提供する。
問題62 介護過程における情報収集に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者の日常生活の困難な部分を中心に収集する。
2 利用者との会話は解釈して記載する。
3 他の専門職が記載した記録は直接的な情報として扱う。
4 利用者の生活に対する思いを大切にしながら収集する。
5 情報収集はモニタリング(monitoring)を実施してから行う。
問題63 介護過程における生活課題に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 効率的な支援を提供するために解決するべきこと。
2 利用者が家族の望む生活を送るために解決するべきこと。
3 介護福祉職が実践困難な課題のこと。
4 利用者の生活を改善するために思いついたこと。
5 利用者が望む生活を実現するために解決するべきこと。
問題64 介護過程における目標の設定に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 長期目標の期間は、1か月程度に設定する。
2 長期目標は、短期目標ごとに設定する。
3 短期目標は、生活全般の課題が解決した状態を表現する。
4 短期目標は、抽象的な内容で表現する。
5 短期目標は、長期目標の達成につながるように設定する。
問題65 介護計画における介護内容に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者の能力よりも介護の効率を重視して決める。
2 業務の都合に応じて介護できるように、時間の設定は省略する。
3 介護するときの注意点についても記載する。
4 利用者の意思よりも介護福祉職の考えを優先して決める。
5 介護福祉職だけが理解できる表現にする。
問題66 Cさん(84歳、女性、要介護3)は、2か月前に自宅で倒れた。脳出血(cerebral hemorrhage)と診断され、後遺症で左片麻痺{ひだりかたまひ}になった。Cさんは自宅での生活を希望している。長男からは、「トイレが自分でできるようになってから自宅に戻ってほしい」との要望があった。そのため、病院から、リハビリテーションを目的に介護老人保健施設に入所した。
入所時、Cさんは、「孫と一緒に過ごしたいから、リハビリテーションを頑張りたい」と笑顔で話した。Cさんは、自力での歩行は困難だが、施設内では健側を使って車いすで移動することができる。また、手すりにつかまれば自分で立ち上がれるが、上半身が後ろに傾くため、移乗には介護が必要な状態である。
入所時に介護福祉職が行うアセスメント(assessment)に関する次の記述のうち、最も優先すべきものを1つ選びなさい。
1 自力で歩行ができるのかを確認する。
2 排泄{はいせつ}に関連した動作について確認する。
3 孫と面会する頻度について希望を聞く。
4 リクライニング車いすの活用について尋ねる。
5 住宅改修に必要な資金があるのかを確認する。

次の事例を読んで、問題67、問題68について答えなさい。
〔事 例〕
Dさん(73歳、女性、要介護2)は、認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)に入居した。
入居後、本人の同意のもとに短期目標を、「食事の準備に参加する」と設定し、順調に経過していた。ある日、Dさんが夕食の準備に来なかった。翌日、担当する介護福祉職が居室を訪ねて理由を聞くと、「盛り付けの見た目が・・・」と小声で言った。
当日のDさんの記録を見ると、「お茶を配ると席に座ったが、すぐに立ち上がり、料理を皿に盛り付けるEさんの手元を見ていた」「配膳された料理を見て、ため息をついた」とあった。その後、食事の準備には参加していないが、早く来て様子を見ている。また、食事中は談笑し、食事も完食している。
以上のことから再アセスメントを行うことになった。

問題67 Dさんの再アセスメントに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 お茶を配る能力について分析する。
2 ため息の意味を料理の味が悪いと解釈する。
3 早く来て様子を見ている理由を分析する。
4 安心して食事ができているかを分析する。
5 Eさんに料理の盛り付けを学びたいと解釈する。
問題68 カンファレンス(conference)が開かれ、Dさんの支援について検討することになった。Dさんを担当する介護福祉職が提案する内容として、最も優先すべきものを1つ選びなさい。
1 食器の満足度を調べること。
2 昼食時だけでも計画を継続すること。
3 居室での食事に変更すること。
4 食事の準備の役割を見直すこと。
5 食事以外の短期目標を設定すること。
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