第36回(令和5年度)社会福祉士国家試験午後の問題

社会調査の基礎

問題84  次のうち、統計法における基幹統計調査として、正しいものを1つ選びなさい。
1  社会福祉施設等調査
2  福祉行政報告例
3  介護サービス施設・事業所調査
4  労働安全衛生調査
5  国民生活基礎調査
問題85  社会調査における倫理に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  社会調査の対象者の抽出では、住民基本台帳から制約なく個人情報を閲覧できる。
2  調査の協力は自由意志であるので、対象者への調査に関する説明は不要である。
3  社会調査では、対象者に調査協力の謝礼を渡すことが不可欠である。
4  調査前に対象者の協力同意書があっても、調査の途中又は調査後の対象者からのデータ削除要請に応じることが求められる。
5  仮説に反した調査結果が出た場合、調査結果の公表を差し控える必要がある。
問題86  次の事例を読んで、S県が実施した標本調査の母集団として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事  例〕
S県内の高校に在籍している全ての生徒のうち、日常的に家族の世話や介護等を担っている高校生が、どのくらい存在するかを調べるために、標本調査を実施した。
1  全国の高校に在籍する全生徒
2  全国の高校に在籍する全生徒のうち、日常的に家族の世話や介護等を担っている者
3  S県内の高校に在籍する全生徒
4  S県内の高校に在籍する全生徒のうち、日常的に家族の世話や介護等を担っている者
5  S県内の高校に在籍する全生徒のうち、標本となった者
問題87  次のうち、質問への回答を他計式で記入する社会調査として、適切なものを2つ選びなさい。
1  郵送調査
2  留置調査
3  個別面接調査
4  集合調査
5  オペレーターによる電話調査
問題88  尺度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  比例尺度では、平均値を算出することができる。
2  順序尺度で測定した1と2の差と、3と4の差の等間隔性は担保されている。
3  名義尺度で測定した変数は、中央値を求めることができる。
4  間隔尺度では、測定値の間隔が数値として意味をもつことはない。
5  名義尺度、間隔尺度、順序尺度、比例尺度の順で、尺度としての水準が高い。
問題89  調査手法としての面接法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  構造化面接では、対象者に語りたいことを自由に話してもらうことが重要である。
2  非構造化面接では、調査者は事前に10項目以上の質問項目と質問の順番を設定し、その順番どおりに質問していく必要がある。
3  半構造化面接では、インタビューのおおむね半分程度の時間を、質問内容や質問の順番などが詳細に決められた質問紙によって面接が進められる。
4  面接調査では、表情や身振りといった非言語表現も重視する。
5  グループ・インタビューの調査者は、対象者同士の会話を促さないようにする。
問題90  社会調査における記録の方法とデータ収集法に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1  質的調査で対象者を選定するときには、無作為抽出法を行うことが不可欠である。
2  アクションリサーチでは、量的調査でデータを収集することがある。
3  ドキュメント分析の対象となるデータには、手紙や日記などの私的文章も含まれる。
4  質的調査のデータとしては、画像や映像の使用を避ける方が望ましい。
5  フィールドノーツは、調査者の解釈を含めずに作成する必要がある。

相談援助の基盤と専門職

問題91  社会福祉士及び介護福祉士法における社会福祉士の義務等に関連する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1  後継者の育成に努めなければならない。
2  秘密保持義務として、その業務に関して知り得た人の秘密は、いかなる理由があっても開示してはならない。
3  社会福祉士の信用を傷つけるような行為を禁じている。
4  社会福祉士ではなくとも、その名称を使用できる。
5  誠実義務の対象は、福祉サービスを提供する事業者とされている。
問題92  次の事例を読んで、福祉事務所に勤務するK職員(社会福祉士)が取り組む様々な対応のうち、メゾレベルの対応として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事  例〕
L民生委員は、Mさん(45歳)の件で市の福祉事務所を訪れ、Kに相談をした。Mさんは勤め先を3年前に人員整理で解雇されてからは仕事をせず、親が残してくれた自宅で一人、昼夜逆転の生活をしているとのことであった。現時点では、Mさんには緊急の要保護性は感じられないが、仕事をしておらず、生活費が底をつく心配がある。Mさんは「今すぐに仕事をする自信はないが、今後に備えて相談をしたい」と望んでおり、Mさんの了解のもとに相談に訪れたとのことであった。
1  中高年を対象とする就労支援制度の課題を、所属機関を通して国に提示する。
2  相談意欲のあるMさんと相談援助の関係を樹立する。
3  Mさんに対して、生活費を確保するために、不動産担保型生活資金を検討するよう勧める。
4  市内の事業所に対して、Mさんのような中高年者が利用可能な自立相談支援に関する事業の実施状況の情報を収集する。
5  L民生委員からの情報をもとに、同様の事例に関する今後の支援について、所内で検討する。
問題93  「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」(2014年)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  人間尊重、人間の社会性、変化の可能性の3つの価値を前提とした活動である。
2  人、問題、場所、過程を構成要素とする。
3  価値の体系、知識の体系、調整活動のレパートリーを本質的な要素とする。
4  ソーシャルワーク実践は、価値、目的、サンクション、知識及び方法の集合体である。
5  社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと解放を促進する。
問題94  障害者の自立生活運動に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1  当事者が人の手を借りずに、可能な限り自分のことは自分ですることを提起している。
2  ピアカウンセリングを重視している。
3  施設において、管理的な保護のもとでの生活ができることを支持している。
4  当事者の自己決定権の行使を提起している。
5  危険に挑む選択に対して、指導し、抑止することを重視している。
問題95  ソーシャルワークを発展させた人物に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  レヴィ(Levy, C.)は、倫理とは、人間関係とその交互作用に対して価値が適用されたものであるとした。
2  トール(Towle, C.)は、ジェネラリストの観点からソーシャルワークの統合化を図り、ジェネラリスト・ソーシャルワークを提唱した。
3  アプテカー(Aptekar, H.)は、相互連結理論アプローチを提唱し、それぞれの理論は相互に影響を及ぼし合い、結びついていると論じた。
4  ジョンソン(Johnson, L.)は、社会的目標を達成するために不可欠な要素として、4つの基本的ニーズを提示した。
5  ターナー(Turner, F.)は、機能主義の立場に立ちつつ、診断主義の理論を積極的に取り入れ、ケースワークとカウンセリングを区別した。
問題96  事例を読んで、X小学校に配置されているAスクールソーシャルワーカー(社会福祉士)が、Bさんの意思を尊重することに対する倫理的ジレンマとして、適切なものを2つ選びなさい。
〔事  例〕
Aは、2学期に入ったある日、暗い顔をしているBさん(小学5年生)に声をかけた。Bさんは、初めは何も語らなかったが、一部の同級生からいじめを受けていることを少しずつ話し出した。そして、「今話していることが知られたら、ますますいじめられるようになり、学校にいづらくなる。いじめられていることは、自分が我慢すればよいので、他の人には言わないで欲しい」と思いつめたような表情で話した。
1  クライエントの保護に関する責任
2  別の小学校に配置されているスクールソーシャルワーカーに報告する責任
3  学校に報告する責任
4  保護者会に報告する責任
5  いじめている子の保護者に対する責任
問題97  次の事例の場面において、複数のシステムの相互作用をもたらすシュワルツ(Schwartz, W.)の媒介機能を意図した支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事  例〕
自閉傾向のあるCさん(10歳)の母親が、市の子育て支援課の窓口に久しぶりに相談に来た。D相談員(社会福祉士)がCさんについて、この間の様子を聞いたところ、言語的なコミュニケーションは少ないが、最近は絵を描くことが好きになってきたとのことであった。
1  次回面接では親子で来所することと、Cさんの描いた絵を持ってくるよう依頼した。
2  親子で共通する話題や目的をつくるために、市主催のアートコンクールに出展する絵を描くよう勧めた。
3  絵によるコミュニケーションカードを親子で作成し、日常生活で使うよう勧めた。
4  市内にある大きな文房具店を紹介し、親子で一緒に絵を描く道具を見に行くことを勧めた。
5  障害児と親が活発に参加している絵画サークルに親子で参加し、児童や親達と交流することを勧めた。

相談援助の理論と方法

問題98  ソーシャルワーク実践におけるシステム理論の考え方に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  ピンカス(Pincus, A.)とミナハン(Minahan, A.)の実践モデルにおけるターゲットシステムは、目標達成のために、ソーシャルワーカーと協力していく人々を指す。
2  開放システムの変容の最終状態は、初期条件によって一義的に決定される。
3  システムには、他の要素から正負のフィードバックを受けることで、自己を変化・維持させようとする仕組みがある。
4  クライエントの生活上の問題に関し、問題を生じさせている原因と結果の因果関係に着目する。
5  家族の問題に対して、課題を個々の家族員の次元で捉え、個々人に焦点を当てたサービスを提供する。
問題99  ソーシャルワークの実践モデルに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  生活モデルは、問題を抱えるクライエントの人格に焦点を絞り、問題の原因究明を重視する。
2  生活モデルは、人と環境の交互作用に焦点を当て、人の生活を全体的視点から捉える。
3  治療モデルは、人が疎外される背景にある社会の抑圧構造に注目する。
4  治療モデルは、問題を抱えるクライエントのもつ強さ、資源に焦点を当てる。
5  ストレングスモデルは、クライエントの病理を正確に捉えることを重視する。
問題100  ソーシャルワークのアプローチに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  機能的アプローチでは、4つのPを実践の構成要素として、クライエントのコンピテンス、動機づけとワーカビリティを高めることを目指す。
2  問題解決アプローチでは、女性にとっての差別や抑圧などの社会的現実を顕在化させ、個人のエンパワメントと社会的抑圧の根絶を目指す。
3  ユニタリーアプローチでは、ソーシャルワーカーが所属する機関の機能と専門職の役割機能の活用を重視し、クライエントのもつ意志の力を十分に発揮できるよう促すことを目指す。
4  実存主義アプローチでは、クライエントが自我に囚われた状態から抜け出すために、他者とのつながりを形成することで、自らの生きる意味を把握し、疎外からの解放を目指す。
5  フェミニストアプローチでは、システム理論に基づいて問題を定義し、ソーシャルワーカーのクライエントに対する教育的役割を重視し、段階的に目的を達成することを目指す。
問題101  事例を読んで、就労継続支援B型事業所のE職員(社会福祉士)が、クライエントに危険が及ぶような行動を減らすために、行動変容アプローチを応用して行う対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事  例〕
知的障害があるFさん(20歳)は、作業中に興味があるものが目に入ると勢いよく外に飛び出してしまうことや、作業時間中でも床に寝転がること等の行動が度々あった。寝転がっているところに起き上がるよう声かけを行うと、引っ張り合いになっていた。Fさんのこれらの行動は、職員や仲間からの注目・関心を集めていた。そこで、Eは、Fさんが席に座って作業を継続することを目標行動にして支援を開始した。
1  Fさんが何かに気を取られて席を立つたびに、報酬を与える。
2  支援を始めて1か月後に、目標行動の変化を評価しベースラインをつける。
3  不適切行動のモデリングとして、職員が寝転がって見せる。
4  作業が継続できるたびにベルを鳴らし、ベルの音と作業を条件づける。
5  寝転がる前の先行条件、寝転がった後の結果といった行動の仕組みを分析する。
問題102  事例を読んで、乳児院のG家庭支援専門相談員(社会福祉士)が活用するアセスメントツールに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事  例〕
一人暮らしのHさんは、慢性疾患による入退院を繰り返しながら出産したが、直後に長期の入院治療が必要となり、息子は乳児院に入所となった。Hさんは2か月前に退院し、職場にも復帰したので、息子と一緒に暮らしたいとGに相談した。ただ、「職場の同僚ともうまくいかず、助けてくれる人もいないので、一人で不安だ」とも話した。そこでGは、引き取りに向けて支援するため、アセスメントツールを活用することにした。
1  同僚との関係を整理するために、ジェノグラムを作成する。
2  息子の発育状況を整理するために、エコマップを作成する。
3  周囲からのサポートを整理するために、エコマップを作成する。
4  自宅周辺の生活環境を整理するために、ソシオグラムを作成する。
5  Hさんの病状を整理するために、ソシオグラムを作成する。
問題103  ソーシャルワークのプランニングにおける、目標の設定とクライエントの意欲に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  ソーシャルワーカーが、独自の判断で高い目標を設定すると、クライエントの意欲は高まる。
2  クライエントが自分でもできそうだと思う目標を段階的に設定すると、クライエントの意欲は低下する。
3  クライエントが具体的に何をすべきかがわかる目標を設定すると、クライエントの意欲が高まる。
4  クライエントにとって興味がある目標を設定すると、クライエントの意欲は低下する。
5  最終的に実現したい生活像とは切り離して目標を設定すると、クライエントの意欲が高まる。
問題104  次の事例は、在宅療養支援におけるモニタリングの段階に関するものである。この段階におけるJ医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)の対応として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事  例〕
Kさん(60歳)は、呼吸器機能に障害があり病院に入院していたが、退院後には自宅で在宅酸素療法を行うことになった。Kさんとその夫は、在宅療養支援診療所のJと話し合いながら、訪問診療、訪問看護、訪問介護等を導入して自宅療養体制を整えた。療養開始後1か月が経ち、Jはモニタリングを行うことにした。
1  Kさんに「自宅での療養で困っていることはありますか」と聞き、新たな要望やニーズの有無を確認する。
2  Kさんの夫に「病気になる前はどのように暮らしていましたか」と聞き、Kさんの生活歴を確認する。
3  訪問介護員に「医療上、何かすべきことはありますか」と医療的ケアの課題を確認する。
4  主治医に「入院前の病状はいかがでしたか」と過去の治療状況を確認する。
5  訪問看護師に「サービス実施状況はどうですか」と経過や課題を確認する。
問題105  ソーシャルワークの過程におけるアフターケアに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  ソーシャルワーカーや支援チームの状況変化に応じて行う。
2  クライエントとの間に信頼関係を形成することが目的となる。
3  アセスメントの精度を高めることが目的である。
4  問題の新たな発生や再発が起きていないか確認をする。
5  支援計画が十分に実施されたかを評価する。
問題106  ソーシャルワークの援助関係に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  共感的理解とは、クライエントの世界を、あたかもソーシャルワーカーも体験したかのように理解することである。
2  目的志向性とは、クライエントを意図的に導くことにより、ソーシャルワーカーの自己覚知を促進することである。
3  パターナリズムとは、ソーシャルワーカーの権威と自由裁量を否定し、対等な立場を重視した援助関係のことである。
4  受容とは、クライエントの逸脱した態度や行動に対しても、同調した上で、それを許容することである。
5  ソーシャルワーカーの自己開示とは、クライエントの行動や感情における矛盾を指摘することである。
問題107  次の記述のうち、ケアマネジメントの一連の過程における再アセスメントに関するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  サービスを新たに開始するために、クライエントの望む生活に向けた目標を設定し、その実現に向けて支援内容を決定した。
2  クライエントの生活状況の変化によるサービス内容の見直しのために、新たに情報収集し、課題の分析を行った。
3  クライエントの課題が解決したため、ケアマネジメントを終了することを確認した。
4  クライエントになる可能性のある人の自宅やその地域を訪問し、ニーズを把握した。
5  サービスの終結をした者から、新たにサービス利用の申し出があったため、情報の収集を行った。
問題108  ロスマン(Rothman, J.)が1960年代に提唱したコミュニティ・オーガニゼーション実践のモデルに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  組織化モデルとは、住民の地域生活支援を目標として、当事者の個別支援と連動させて、地域の生活基盤の整備に向けた地域支援を展開する方法である。
2  小地域開発モデルとは、不利な立場に置かれた人々が直面する状況を自らの力では変革できない時に、同じ問題意識を共有する人々と連帯し、権力構造に対して政治的に働きかける方法である。
3  社会計画モデルとは、住民や当事者が求めるサービスや資源の提供を達成するために地域のニーズを調査して、サービス提供機関間の調整を図る方法である。
4  ソーシャルアクションモデルとは、地域が求める目標を達成するために、サービス提供機関が地域の資源を利用して活動を推進する方法である。
5  統合モデルとは、地方自治体による政策実践と、福祉施設等における運営管理実践を一体のものとして、地域を変革することを主たる目標とする方法である。
問題109  グループワークに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  グループの発達過程は、メンバー間の関係の変化に影響を受ける。
2  波長合わせとは、メンバー間の親しい接触を通して、お互いに刺激し、影響し合うことである。
3  グループメンバー間の暗黙の葛藤に対しては、それが表面化しないように働きかける。
4  プログラム活動では、全員が同じ動きを行うことを優先するように求める。
5  終結期には、メンバー間の感情の表出や分かち合いを避ける。
問題110  スーパービジョンに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  スーパーバイジーは、スーパーバイザーより知識も技量も高い。
2  スーパービジョンの契約は、スーパービジョンの展開過程の終結段階で行われる。
3  スーパービジョンにおける管理的機能では、スーパーバイジーの業務遂行の適切さを確認する。
4  パラレルプロセスは、スーパーバイジーが過去の特定の人間関係をスーパーバイザーとの関係の中に投影することである。
5  スーパーバイザーは、クライエントに最良のサービスを直接提供する。
問題111  記録の方式の一つにSOAP方式がある。その内容に関して、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  Sは、客観的情報であり、利用者の行動を観察した内容を記述する。
2  Оは、主観的情報であり、利用者の語った内容を記述する。
3  Aは、支援計画であり、他機関や他専門職からの情報を記述する。
4  Pは、プロセスであり、利用者の言葉や他機関からの情報に関する判断を記述する。
5  SOAP記録は、問題と援助者の思考が明確になる問題志向型記録の一つである。
問題112  「個人情報保護法」に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1  個人情報取扱事業者には、国の機関は除外されている。
2  本人の生命の保護に必要がある場合であっても、本人の同意を得ることが困難であるときは、個人情報を第三者に提供してはならない。
3  オンラインによる個人情報の提供は、ウイルスや不正アクセス等のリスクを伴うため禁止されている。
4  クレジットカード番号は、個人識別符号に含まれる。
5  事業者は、サービス利用者から本人のサービス記録の開示を求められた場合でも、これに応じる義務はない。
問題113  事例分析の対象を手段的事例と固有事例に分けたとき、手段的事例の例として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  ソーシャルワーカーが担当しているクライエントの支援において、今後の方向性を考えるために、クライエントと共に事例分析をした。
2  新人のソーシャルワーカーが担当しているクライエントの支援過程について、指導的立場のソーシャルワーカーと一緒に、事例分析をした。
3  ソーシャルワーカーが担当している事例で、支援結果が良好なものがあったので、その要因を明らかにするため、事例分析をした。
4  ソーシャルワーカーが担当している事例で、複雑な問題を抱え支援が困難なクライエントがおり、事例分析をした。
5  ソーシャルワーカーが担当している地区で、高齢者から振り込め詐欺に関する相談が頻繁にあるため、研修を目的とした事例分析をした。
問題114  事例を読んで、N市社会福祉協議会のM職員(社会福祉士)の対応として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事  例〕
N市社会福祉協議会は、N市から避難行動要支援者への支援に関して委託事業を受けている。Mは、その事業のコーディネート役を担当しており、N市が海岸線の近くにあり、高台が少ないことから、大地震の際の津波などによる被害を心配している。Mは、日頃から「備えあれば憂いなし」と周りの職員たちに言い、避難行動要支援者を中心にした、平常時からのネットワーキングがN市には必要と考えて、支援活動をしている。
1  近隣の住民に声をかけ、避難行動要支援者と一緒に避難訓練を行う。
2  災害発生に備えて、避難行動要支援者名簿を地域の全戸に配布する。
3  自力で避難できるよう、避難行動要支援者を個別に訪問して指導する。
4  避難支援等関係者よりも、避難行動要支援者の安全確保を最優先するよう関係者に指示する。
5  避難支援等関係機関と一緒に福祉避難所を確認する機会をもつ。
問題115  事例を読んで、Aスクールソーシャルワーカー(社会福祉士)の解決志向アプローチに基づく問いかけとして、適切なものを2つ選びなさい。
〔事  例〕
Bさん(高校1年生)は、父親、弟(小学4年生)、妹(小学1年生)の4人家族である。父親は長距離トラックの運転手で、Bさんは長女として家事と弟妹の世話を引き受けている。ある日、Aスクールソーシャルワーカーに、「家族のためにやれることをやるのは当然だし、喜んでもらえるのもうれしい。でも毎日勉強とバイトと家事で精一杯。これ以上はもう無理かも…」とつぶやいた。AはこれまでのBさんの頑張りをねぎらいながら、以下の問いかけをした。
1  「もし奇跡が起こって何もかもうまくいくとしたら、どうなると思いますか?」
2  「最悪な状況を0、何もかも解決したのが10なら、今は何点になりますか?」
3  「Bさんが『もう無理かも』と思ったのは、どのようなときですか?」
4  「Bさんが想像する、最悪の事態はどのようなものでしょうか?」
5  「今、Bさんが抱える状況の根本の原因は何だと思いますか?」
問題116  事例を読んで、Y地域包括支援センターのC社会福祉士が参加している認知症初期集中支援チームの対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事  例〕
Y地域包括支援センターに「夫の物忘れがひどく、指摘するとすぐに怒りだすことと、時折暴力を振るうことで困っている」とDさん(72歳)から電話相談があった。その後、Dさんが来所して夫の日常の様子を詳しく話した。夫に病院で受診をしてもらおうとしたが、「俺はどこも悪くないから病院には行かない」と拒否され、困っているという。そこでCは、認知症初期集中支援チームにおける対応が必要と考え、ケース会議の開催を要請した。
1  夫を刺激しないように、認知症サポーターとCが自宅を訪問する。
2  Dさんが一人の時間を持てるように自宅を訪問し、夫の利用可能な認知症カフェの案内を手渡す。
3  夫の状態について、認知症サポート医から専門的知見による助言を求める。
4  夫の生活の様子を聞くために、介護福祉士とCが自宅を訪問する。
5  Dさんへの暴力回避のために、保健所の職員とCが自宅を訪問する。
問題117  事例を読んで、ひきこもり地域支援センターのF職員(社会福祉士)による、グループワークのこの段階における関わりとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事  例〕
Fは、ひきこもり地域支援センターが1か月前に開設した、ひきこもり状態にある人たちのための居場所であるカフェで、グループへの支援を行っている。Fは2年前から根気強く訪問していたGさん(38歳、男性)にもこのグループへ参加しないかと声をかけたところ、「どんなメンバーで、どんなことをしているのか」と興味を示し、久しぶりに外出し、カフェに初めて姿を見せた。Gさんは対人関係のつまずきからひきこもり状態となった経緯があり、人見知りがある。
1  人見知りが激しいことを知っているので、他のメンバーに対応を委ねる。
2  関係づくりができていることを活かしたいので、Gさんと二人で会話を続ける。
3  以前から参加している他のメンバーと話せるように橋渡しをする。
4  メンバー同士の関係を活用し、Gさんの長いひきこもり体験をメンバー間で分かち合うよう促す。
5  Gさんの過去の対人関係をメンバー間で振り返り、気持ちの分かち合いを促す。
問題118  ソーシャルワークの面接技術に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  明確化によって、クライエントに特別な行動をするように伝えて、課題解決を促す。
2  言い換えによって、クライエントの話す内容や感情を別の言葉で表現し、気づきを促す。
3  閉じられた質問によって、クライエントが自由に話すのを促す。
4  要約によって、より多くの情報を収集するために、クライエントの自己開示を促す。
5  問題への直面化によって、クライエントとの信頼関係を構築する。

福祉サービスの組織と経営

問題119  社会福祉法人に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1  主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する。
2  収支計算書の公表は任意である。
3  他の社会福祉法人と合併することはできない。
4  評議員、評議員会、理事、理事会、監事を設置することが義務づけられている。
5  評議員は無報酬でなければならない。
問題120  経営の基礎理論に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  バーナード(Barnard, C.)によれば、非公式組織とは、意識的で、計画的で、目的をもつような人々相互間の協働である。
2  テイラー(Taylor, F.)は科学的管理法を提唱し、作業現場の管理について、合理的な規則と手続きによる管理の重要性を強調した。
3  ハインリッヒ(Heinrich, H.)は、軽微な事故への対策を実施しても、重大な事故を未然に防ぐことはできないことを明らかにした。
4  アッシュ(Asch, S.)は、個人として正しい判断ができていれば、多数派の力には負けることはないという現象を明らかにした。
5  メイヨー(Mayo, G.)とレスリスバーガー(Roethlisberger, F.)は、組織における経済的合理性を追求する、経済人モデルを提唱した。
問題121  集団やチームに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  集団浅慮とは、集団を構成する個々のメンバーが、個人で考えるよりも多面的な検討を行うことができるようになる現象のことである。
2  集団の規範とは、メンバーが誰かの努力や成果にただ乗りして、自分自身は力を出し切らないことである。
3  集団の凝集性は、集団を構成するメンバーを離散させ、個々人に分離させる傾向をもつ。
4  チームの生産性は、チームメンバー間で信頼や尊敬の念が育まれていると低くなる。
5  集団内のコンフリクトには、集団に悪影響を及ぼす非生産的コンフリクトと、集団に好影響を及ぼす生産的コンフリクトの両方の側面がある。
問題122  福祉サービス提供組織の財源に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  障害福祉サービスを行う事業者の収入の総額は、市町村からの補助金の総額に等しい。
2  介護保険事業を行う事業者の収入の総額は、利用者が自己負担する利用料の総額に等しい。
3  ファンドレイジングとは、事業や活動を行うために必要な資金を様々な方法を使って調達することを指す。
4  社会福祉法人が解散する場合、定款の定めにかかわらず、その法人に対して寄付を行ってきた個人は、寄付した割合に応じて残余財産の分配を受けることができる。
5  特定非営利活動法人は、特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、事業によって得られた利益を自由に分配することができる。
問題123  福祉サービス提供組織の運営に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1  アカウンタビリティとは、ステークホルダーに対する説明責任を指す。
2  社会福祉法人における評議員会とは、法人の日常的な業務執行の決定などを行う機関である。
3  社会福祉法人の監事には、法人の評議員会の業務執行を監査し、その内容について監査報告書を作成する役割がある。
4  コンプライアンスとは、組織が法令や組織内外のルールを守ることにより、社会的責任を果たすことをいう。
5  社会福祉法人における理事会とは、定款の変更や役員の選任などの体制の決定を行う機関である。
問題124  事例を読んで、H施設管理者が実施した人材育成の手法について、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事  例〕
Z高齢者介護施設は、定期的に職場内において勉強会を実施している。このほど、Z施設が立地するP県主催の「高齢者虐待の防止について」という研修会の通知が届いた。Z施設のH施設管理者は、職員数名をこの研修会に参加させ、新たな知見を得てもらうこととした。
1  コーチング
2  OFF-JT
3  ジョブ(職務)ローテーション
4  OJT
5  目標管理制度
問題125  「育児・介護休業法」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  子の養育及び家族の介護を容易にするため、所定労働時間等に関し事業主が講ずべき措置を定めている。
2  育児休業とは、産後8週までの女性に対し、使用者が休業を与えるものである。
3  対象家族に無職かつ健康な同居者がいる場合は、介護休業を取得することができない。
4  期間を定めて雇用される者は、雇用の期間にかかわらず介護休業を取得することができない。
5  対象家族一人について、介護休業を分割して取得することはできない。

高齢者に対する支援と介護保険制度

問題126  「令和5年版高齢社会白書」(内閣府)に示された日本の高齢者を取り巻く社会情勢に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1  人口の高齢化率は、2022年(令和4年)10月1日現在で、約16%となっている。
2  高齢化率の「倍加年数」をアジア諸国で比較すると、韓国は日本よりも短い年数となっている。
3  総人口に占める75歳以上の人口の割合は、2070年(令和52年)に約40%に達すると推計されている。
4  2022年(令和4年)の労働力人口総数に占める65歳以上の者の割合は、2013年(平成25年)以降の10年間でみると、漸減傾向にある。
5  2021年(令和3年)の65歳以上の者の死因別の死亡率をみると、悪性新生物よりも肺炎の方が高くなっている。
問題127  第二次世界大戦後の日本における高齢者保健福祉制度の展開過程に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  1950年(昭和25年)の生活保護法では、常時介護を必要とする老人の家庭を訪問する老人家庭奉仕員が規定された。
2  1963年(昭和38年)の老人福祉法では、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホームを含む、老人福祉施設が規定された。
3  1982年(昭和57年)の老人保健法では、70歳以上の高齢者にかかる医療費のうち、その自己負担分を無料化する老人医療費支給制度が規定された。
4  1997年(平成9年)の介護保険法では、要介護認定を受け、要介護と判定された高齢者等は、原則3割の利用者負担で、介護サービスを利用できることが規定された。
5  2000年(平成12年)の社会福祉法の改正では、高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)が策定されたことを受け、地域包括ケアシステムが規定された。
問題128  事例を読んで、地域包括支援センターの社会福祉士によるJさんの長女への助言として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事  例〕
自宅で一人暮らしのJさん(82歳、男性)は、脳梗塞の後遺症により軽い左片麻痺{ひだりかたまひ}があり、要支援1の認定を受けているが介護保険サービスは利用していない。2か月前に買物に行こうとして玄関先で転倒し、軽傷ですんだものの、それ以来自宅から出ようとしなくなった。近隣に住んでいる長女は、週に2、3度自宅を訪れ、買物や掃除・洗濯を手伝ってきた。しかし、「父は一人で大丈夫というが、むせることもあり食事量が減ってきて心配です。父はどのようなサービスが利用できますか」と地域包括支援センターに相談に来た。
1  看護小規模多機能型居宅介護の利用
2  介護老人福祉施設への入所
3  介護予防通所リハビリテーションの利用
4  短期入所生活介護の利用
5  管理栄養士による介護予防居宅療養管理指導の利用
問題129  移動の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  片麻痺がある人が杖{つえ}歩行を行う場合、杖は麻痺側に持つ。
2  左片麻痺者が階段を上る時は、杖の次に左足を上げる。
3  視覚障害者の歩行介助を行う場合、介助者は視覚障害者の後方を歩く。
4  片麻痺がある人のベッドから車いすへの移乗では、車いすを要介護者の健側に置く。
5  車いすで大きな段差を下るときは、前向きで降りる。
問題130  介護保険法に定める福祉用具貸与の種目として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  腰掛便座
2  移動用リフトの吊{つ}り具の部分
3  認知症老人徘徊感知機器
4  簡易浴槽
5  入浴補助用具
問題131  介護保険制度における厚生労働大臣の役割に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1  要介護認定の審査及び判定に関する基準を定める。
2  要介護者等に対する介護給付費の支給決定を行う。
3  介護支援専門員実務研修を実施する。
4  介護給付等費用適正化事業を実施する。
5  財政安定化基金を設置する。
問題132  事例を読んで、病院のK医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が、この時点でLさんへの支援のために検討すべきこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事  例〕
Kは、変形性膝関節症で外来通院中のLさん(82歳、女性、独居、要支援2)から相談を受けた。Lさんは屋外の歩行が不自由で杖を使っているが、介護サービス等は利用していない。Lさんは、数年ぶりに趣味の歌舞伎鑑賞に出かけようと思い、介護保険制度のサービス利用について市役所に問い合わせたところ「本市では趣味のための移動支援は実施していない」と説明されたと言う。Lさんは転倒の心配もあり、歌舞伎鑑賞には見守り支援を利用したいと言っている。
1  Lさんの支援を在宅医療・介護連携推進事業の担当者に依頼する。
2  市役所の対応に関して、都道府県国民健康保険団体連合会へ苦情の申し立てを行うよう、Lさんに提案・助言を行う。
3  Lさんの歩行機能の改善を図るため、地域介護予防活動支援事業の利用を勧める。
4  Lさんの疑問や不安に対応してもらえるよう、介護サービス相談員と連携を図る。
5  Lさんの居住地を担当する「生活支援コーディネーター(第2層)」に連絡を取り、Lさんが利用できる、制度外の外出時の見守り支援策について相談・調整を図る。
問題133  介護福祉士に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1  介護福祉士の法律上の定義には、介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とすることが含まれている。
2  介護福祉士が介護保険制度における訪問介護員として従事する際には、その資格とは別に、政令で定める研修を修了していることがその要件となる。
3  介護福祉士は、医師の指示のもと、所定の条件下であれば、医療的ケアの一つとして脱水症状に対する点滴を実施することができる。
4  介護福祉士は業務独占資格の一つであり、法令で定める専門的な介護業務については、他の者が行うことは禁じられている。
5  認定介護福祉士を認定する仕組みは、2005年(平成17年)に制定された介護保険法等の一部を改正する法律において法定化され、その翌年から施行された。
問題134  事例を読んで、地域包括支援センターのM職員(社会福祉士)が訪問・相談を行った時点での対応として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事  例〕
Q市に住むAさん(85歳、女性、要介護3)は長男(56歳)と二人暮らしである。Aさんは5年前から物忘れが進み、排せつには介助を要し、日常的に長男が介護をしている。また、短期入所生活介護を2か月に1回利用している。今朝、長男から「気分が落ち込んでしまいここ3日ほどは眠れない」「当分は母の介護ができそうにない」と沈んだ声で地域包括支援センターに電話相談があった。これまでにもこのような相談が度々あり、それを受け、M職員がすぐに訪問・相談を行った。
1  Aさんの要介護状態の改善を図る必要があるため、介護予防ケアマネジメントの実施を検討する。
2  総合相談支援業務として、長男の状態について同センターの保健師と相談し、気分の落ち込みや睡眠の問題に対応できる専門機関を探す。
3  権利擁護業務として、Aさんへの虐待リスクがあることについて、市に通報する。
4  包括的・継続的ケアマネジメント支援業務として、Aさんを担当する居宅介護支援事業所の介護支援専門員とともに、早急に今後の対応を検討する。
5  Aさんと長男が住む地域の課題を検討するため、地域ケア会議で報告する。
問題135  「高齢者虐待防止法」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  この法律における高齢者とは、65歳以上で介護保険制度における要介護認定・要支援認定を受けた者と定義されている。
2  この法律では、セルフネグレクト(自己放任)の状態も高齢者虐待に該当することが定義されている。
3  この法律における高齢者虐待の定義には、保険医療機関における医療専門職による虐待が含まれている。
4  この法律では、市町村が養護者による虐待を受けた高齢者の居所等への立入調査を行う場合、所轄の警察署長に援助を求めることができると規定されている。
5  この法律は、市町村に対し、高齢者虐待の防止・高齢者とその養護者に対する支援のため、司法書士若しくは弁護士の確保に関する義務を課している。

児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度

問題136  子ども・家庭の生活実態に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1  「令和4年版男女共同参画白書」(内閣府)によると、子供がいる世帯の妻の就業状態は、パートタイム労働よりフルタイム労働の割合が高くなっている。
2  「令和4年版犯罪白書」(法務省)によると、少年の刑法犯等検挙人員は令和3年には戦後最大となった。
3  「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」(文部科学省)によると、いじめの認知(発生)件数は、令和2年度に比べ減少した。
4  「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要」(厚生労働省)によると、母子家庭の世帯の平均年間収入は、同年の国民生活基礎調査による児童のいる世帯の平均所得の約8割である。
5  「令和3年度ヤングケアラーの実態に関する調査研究」の小学校調査によると、「ヤングケアラーと思われる子どもの状況」(複数回答)では、「家族の通訳をしている(日本語や手話など)」に比べて、「家族の代わりに、幼いきょうだいの世話をしている」が多い。
問題137  児童福祉法の総則規定に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  全て国民は、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重されるよう努めなければならない。
2  全て保護者は、その養育する児童の福祉を等しく保障される権利を有する。
3  国は、児童を育成する第一義的責任がある。
4  全て国民は、児童の最善の利益を実現しなければならない。
5  全て児童は、家庭で育てられなければならない。
問題138  事例を読んで、R市子育て支援課のB相談員(社会福祉士)がR市で利用可能なサービスの中から紹介するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事  例〕
Cさん(2歳)の母親であるDさんは、他の子どもと比べてCさんの言葉が遅れていると気に病むようになり、外に出かけにくくなった。心配したCさんの祖母がDさんと共にR市子育て支援課に相談に来た。Bは、2人の話を聞き、どのようなサービスが利用可能かを一緒に検討することにした。
1  保育所への入所
2  母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)の利用
3  児童館の利用
4  子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)の利用
5  児童相談所の利用
問題139  児童扶養手当に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  生活保護を受給していることが支給要件である。
2  児童扶養手当法における児童とは、障害がない子どもの場合、18歳到達後の最初の3月31日までの間にある者をいう。
3  児童扶養手当は児童手当と併給できない。
4  支給額は、世帯の収入にかかわらず一定である。
5  父子世帯は、支給対象外となる。
問題140  次の記述のうち、次世代育成支援対策推進法に関して、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  少子化に対処するための施策を総合的に推進するために、全ての児童が医療を無償で受けることができる社会の実現を目的としている。
2  都道府県及び市町村には、10年を1期とする次世代育成支援のための地域における行動計画を策定することが義務づけられている。
3  政府には、少子化に対処するための施策を指針として、総合的かつ長期的な労働力確保のための施策の大綱を策定することが義務づけられている。
4  常時雇用する労働者の数が100名を超える事業主(国及び地方公共団体を除く)は、一般事業主行動計画を策定しなければならない。
5  都道府県を基盤とした一元的な保育の給付について規定されている。
問題141  特別養子縁組の制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  配偶者のない者でも養親となることができる。
2  養子となることができる子の年齢上限は、6歳である。
3  養親には離縁請求権はない。
4  特別養子縁組の成立には、実親の同意は原則として必要ではない。
5  特別養子縁組は、都道府県が養親となる者の請求により成立させることができる。
問題142  事例を読んで、この時点でのU児童養護施設のE家庭支援専門相談員(社会福祉士)の対応について、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事  例〕
Fさん(40歳代、男性)は、息子Gさん(8歳)と父子家庭で生活していた。Gさんが3歳の時に、Fさんによる妻への暴力が原因で離婚した。Fさんは、行儀が悪いと言ってはGさんを殴る、蹴る等の行為が日常的にみられた。額にひどいあざがあるような状態でGさんが登校したことから、学校が通告し、GさんはU児童養護施設に措置された。入所後、家庭支援専門相談員であるEがFさんに対応している。FさんはEと会う度に、「自分の子どもなのだから、息子を返して欲しい」と訴えていた。Gさんとの面会交流が進んだ現在では、「返してもらうにはどうしたらよいのか」と発言している。
1  Fさんに二度と叩{たた}かないことを約束すれば、家庭復帰できると伝える。
2  Fさんが反省しているとわかったので、家庭復帰できると伝える。
3  Fさんに「なぜ叩いたのですか」と問い反省を求める。
4  Fさんが体罰によらない子育てができるよう一緒に考える。
5  Fさんは暴力による方法しか知らないのだから、家庭復帰は諦めるようにと伝える。

就労支援サービス

問題143  次の記述のうち、就労定着支援に関する説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  特別支援学校を卒業したばかりの新卒者の職場定着を支援する。
2  支援は、障害者が通常の事業所に雇用される前から開始される。
3  支援は、最大6か月間提供される。
4  支援の内容には、生産活動の機会の提供を通じて、知識及び能力の向上のために必要な訓練を供与することが含まれる。
5  支援の内容には、障害者が雇用されたことに伴い生じる日常生活又は社会生活を営む上での問題に関する相談、助言が含まれる。
問題144  「障害者雇用促進法」に定める常用雇用労働者数100人以下の一般事業主に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  障害者雇用納付金を徴収されない。
2  報奨金の支給対象とならない。
3  障害者に対する合理的配慮提供義務を負わない。
4  重度身体障害者及び重度知的障害者を雇用した場合、実雇用率の算定に際し1人をもって3人雇用したものとみなされる。
5  法定雇用率未達成の場合に、「対象障害者の雇入れに関する計画」の作成を命じられることはない。
問題145  次の記述のうち、公共職業安定所(ハローワーク)が実施する業務として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1  労災保険給付の支給
2  無料職業紹介事業の許可
3  有料の職業紹介
4  生活保護における生業扶助の支給
5  障害者雇用に関する技術的助言・指導
問題146  事例を読んで、公共職業安定所(ハローワーク)の職員が行う対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事  例〕
民間企業で10年間働いてきたHさん(33歳)は、新たな職務に強いストレスを感じるようになり、出勤できなくなった。医師からうつ病との診断を受け、6か月間休職したが、症状が改善せず退職した。退職から1年が経ち、まだ、うつの症状は残っており、就業面、生活面での不安を感じるものの、金銭面の問題から、とにかく働かなければならないと焦りを感じ、公共職業安定所(ハローワーク)を訪問した。
1  一般就労の経験があるHさんは、問題なく一般就労が可能であると判断し、一般企業からの求人情報を提供する。
2  Hさんの希望は就職であることから、適応訓練についてはあっせんしない。
3  Hさんの確実な就職のため、一般企業ではなく特例子会社の求人を紹介する。
4  本人の了解を得て、障害者就業・生活支援センターを紹介するなど関係機関と連携する。
5  一般就労には週の所定労働時間が20時間以上であることが求められる旨を説明する。

更生保護制度

問題147  事例を読んで、この場合の仮釈放の手続きに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事  例〕
裁判所の判決で3年の懲役刑を言い渡されて、刑事施設に収容されていたJさんは、仮釈放の審理の対象となった。
1  仮釈放の要件として、刑の執行から最短でも2年を経過している必要がある。
2  仮釈放の要件として、改悛{かいしゅん}の状があることがある。
3  仮釈放を許す処分を決定するのは、地方裁判所の裁判官である。
4  仮釈放の対象となるのは、初めて刑事施設に入った者に限られる。
5  仮釈放の期間中、Jさんの希望により、保護観察が付される。
問題148  保護司に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1  法務大臣から委嘱される。
2  検察官の指揮監督を受ける。
3  保護観察における指導監督の権限はない。
4  担当する事件内容によっては給与が支給される。
5  刑事施設収容中の者との面会は禁じられている。
問題149  事例を読んで、社会復帰調整官の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事  例〕
精神保健観察中のKさんは、地域生活を送っている中で家族関係が悪化し、仕事にも行けなくなってきた。保護観察所は、関係機関の担当者とともにケア会議を開催し、Kさんの状態の情報共有と今後の処遇について話し合った。
1  Kさんが継続的に医療を受けるよう、保護司に指導を指示する。
2  指定通院医療機関への通院状況を確認する。
3  精神保健観察の期間延長を決定する。
4  指定入院医療機関に入院させることを決定する。
5  今回作成する処遇の実施計画の内容をKさんに秘匿することを決定する。
問題150  刑の一部の執行猶予制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1  本制度の導入により、検察官による起訴猶予の処分は廃止された。
2  本制度の導入により、執行する刑の全てを猶予する制度は廃止された。
3  本制度の導入により、釈放後の生活環境の調整をする制度は廃止された。
4  本制度の刑の一部の執行猶予期間は、刑期とともに判決時に言い渡される。
5  本制度において、保護観察が付されることはない。
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