第22回(令和元年度)精神保健福祉士国家試験午後の問題

精神疾患とその治療

問題1 次のうち、交感神経の活動の高まりを示すものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 瞳孔の縮小
2 脈拍の減少
3 血圧の低下
4 消化液の分泌減少
5 腸管蠕動{ぜんどう}の亢進{こうしん}
問題2 次のうち、ICD-10において、解離性(転換性)障害に含まれているものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 トランスおよび憑依{ひょうい}障害
2 強迫性障害
3 パニック障害
4 身体化障害
5 離人・現実感喪失症候群
問題3 次のうち、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の典型的な症状として、正しいものを1つ選びなさい。
1 アンへドニア
2 多重人格
3 疾病恐怖
4 考想吹入
5 的外れ応答
問題4 次のうち、成人で発症した神経性無食欲症の典型的な症状として、正しいものを2つ選びなさい。
1 頻脈
2 無月経
3 過活動
4 低身長
5 過呼吸
問題5 小児自閉症に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 症状は急性に出現する。
2 女児に多く発症する。
3 3歳までに症状が明らかになる。
4 虐待が原因で発症する。
5 コミュニケーション能力は高い。
問題6 次のうち、緊張病状態でよくみられる症状として、正しいものを2つ選びなさい。
1 躁気分
2 知能低下
3 せん妄
4 常同症
5 拒絶症
問題7 次のうち、抗精神病薬の主な副作用として、適切なものを1つ選びなさい。
1 健忘
2 脱抑制
3 身体依存
4 反跳性不安
5 遅発性ジスキネジア
問題8 次の記述のうち、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を処方するときのうつ病患者に対する説明として、適切なものを1つ選びなさい。
1 「空腹時に服用してください」
2 「イライラ感の出現に注意してください」
3 「服用後数時間で効果が出現します」
4 「服用後数時間は安静にしてください」
5 「症状の強いときに頓服として服用してください」
問題9 次のうち、「転移」を利用する精神療法として、正しいものを1つ選びなさい。
1 森田療法
2 行動療法
3 ゲシュタルト療法
4 支持的精神療法
5 精神力動的精神療法
問題10 次の記述のうち、医療保護入院を検討すべき要件として、適切なものを1つ選びなさい。
1 本人が入院に同意する場合
2 本人が身体的虐待を受けている場合
3 本人に精神疾患に対する病識がなく、入院治療の必要性を理解できない場合
4 医療や保護に急速を要し、家族等の同意を得ることができない場合
5 自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがある場合

精神保健の課題と支援

問題11 精神保健に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 歴史的に精神衛生を発展させた概念である。
2 精神疾患の一次予防を目的とした活動を意味し、治療を目的とする精神医療に対比する言葉として用いられる。
3 精神医学の領域に初めて予防の概念を取り入れたのはアメリカのビアーズ(Beers, C.)である。
4 精神疾患に罹患している人を対象とした訪問指導は、吉川武彦が提唱した3側面のうちの積極的精神保健に含まれる活動である。
5 全ての人々の精神的健康を保持・増進させていく活動を含む。
問題12 次のうち、セルフヘルプグループにおけるヘルパー・セラピー原則の説明として、正しいものを1つ選びなさい。
1 専門家が有する専門的知識と同等の体験的知識を取得すること
2 自らが他のメンバーを援助することによって自分自身に効果が生まれること
3 専門資格の取得を目指してグループに参加すること
4 主治医と共にグループミーティングに参加すること
5 自助具などの作成プログラムにより自立を目指すこと
問題13 次のうち、WHOが作成したものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 DSM(精神疾患の診断・統計マニュアル)
2 WRAP(元気回復行動プラン)
3 ヘルシーピープル2010
4 メンタルヘルスアクションプラン2013-2020
5 THP(トータルヘルスプロモーションプラン)
問題14 ギャンブル等依存症に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 ギャンブル等依存症対策基本法では、ギャンブル等依存症問題啓発週間を設けることとされている。
2 GA(ギャンブラーズ・アノニマス)は、ギャンブル等依存症の民間治療施設である。
3 家族への支援を開始する際には、ギャンブル等依存症本人の同意を得ることが必須条件とされている。
4 ギャンブル等依存症対策基本法におけるギャンブル等には、法律の定めるところにより行われる公営競技だけでなく、ぱちんこ屋に係る遊技その他の射幸行為が含まれる。
5 ギャンブル等依存症対策基本法において、都道府県は、都道府県ギャンブル等依存症対策推進計画を策定しなければならないとされている。
問題15 犯罪被害者の精神保健に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 「第3次犯罪被害者等基本計画」(警察庁)では、犯罪被害者等に関する専門職養成機関の設置計画が盛り込まれた。
2 「平成29年度犯罪被害類型別調査」(警察庁)によると、殺人・殺人未遂または傷害等の暴力被害を受けた者のうち「重症精神障害相当の状態」にある者は約1割であった。
3 犯罪被害者等基本法において、犯罪被害者等とは、犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族とされている。
4 「犯罪被害者に対する急性期心理社会支援ガイドライン」では、支援機関からの情報提供は被害者からの支援の要望を待つことが原則とされている。
5 全国被害者支援ネットワークに加盟している民間被害者支援団体は、市町村に各1か所ずつ存在する。
問題16 精神作用物質の乱用対策及び使用者への援助に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 有効な外来治療として、ワークブックとマニュアルを用いた集団認知行動療法プログラムが開発されている。
2 大麻は、麻薬及び向精神薬取締法で使用と所持が規制されている。
3 ハーム・リダクションとは、薬物使用を厳罰化することで、その流通量を減らすことを目的とした政策のことである。
4 薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部執行猶予制度とは、一定期間服役させた後、残りの期間を社会復帰促進センターで処遇するものである。
5 覚せい剤取締法違反は、「医療観察法」における重大な他害行為とされる6罪種の一つである。
問題17 災害時の精神保健に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 災害発生後48時間以内に被災者が呈する精神症状を心的外傷後ストレス障害(PTSD)という。
2 厚生労働省によって組織される専門的な研修・訓練を受けたチームを災害派遣精神医療チーム(DPAT)という。
3 重度の精神障害者のために考案された介入法をサイコロジカル・ファーストエイド(PFA)という。
4 被災者の治療優先順位を決める手法をデブリーフィングという。
5 被災者へのケア活動によって、被災を直接経験していない支援者に生じる外傷性ストレス反応のことを二次受傷という。
問題18 成人の勤労者を対象に、職場でのストレスの大きさ、職場でのサポートの程度及び抑うつ症状の重症度について、一定の尺度を用いた質問紙調査を行った。調査で得られた量的データを基に抑うつ症状を従属変数として、職場でのストレス及び職場でのサポートの二つの独立変数との関連性について分析を行った。
次のうち、上記のデータ分析方法の名称として、正しいものを1つ選びなさい。
1 カイ2乗検定
2 デルファイ法
3 重回帰分析
4 分散分析
5 因子分析
問題19 ドメスティック・バイオレンス(DV)に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 市町村には配偶者暴力相談支援センターの設置が義務づけられている。
2 婦人相談所は「DV防止法」で設置が規定された機関である。
3 「DV防止法」において配偶者には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むと定義されている。
4 配偶者暴力相談支援センターにおける相談件数は、2014年度(平成26年度)以降、毎年10万件を超えている。
5 児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力は、「児童虐待防止法」において身体的虐待として定義されている。
問題20 周産期の精神保健に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 カンガルーケアとは、胎児の情緒的安定を目的とした母親の関わりのことである。
2 ペリネイタルロスとは、流産・死産・新生児死亡などの周産期における喪失体験のことである。
3 マタニティブルーとは、産後うつ病の別名のことである。
4 ダブルケアとは、NICU(新生児集中治療室)において愛着形成を促すことである。
5 マルトリートメントとは、DV被害を受けた妊産婦に対するケアのことである。

精神保健福祉相談援助の基盤

問題21 U精神科病院に勤めるA精神保健福祉士は、担当患者のBさんへの支援が思うように展開できないでいた。Bさんは、障害年金と親の多額の遺産金で暮らしているが、「お金がない。生活保護を受けられないか」と何度も訴えていた。A精神保健福祉士は、Bさんが他の患者にお金を貸したり、欲しいものをすぐに買ったりして無駄遣いをしているのに生活保護を受けたいと主張することを好ましく思っていなかった。そのため、どうしてBさんが同じ主張を繰り返すのかについて、その背景に何かあるかもしれないということは気になっていたが、いつも一方的な態度をとるBさんを受け入れられず、「遺産金があるので、生活保護を申請することは難しい」と繰り返し説明していた。 次のうち、A精神保健福祉士が抱く倫理的ジレンマとして、適切なものを1つ選びなさい。
1 自己決定とパターナリズム
2 専門職的価値と個人的価値
3 バウンダリーとクライエントの利益
4 クライエントの利益と所属機関の利益
5 秘密保持とプライバシー
問題22 福祉サービスを提供する際のリスクマネジメントに関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 サービスを提供する際に、利用者の自立よりも安全を重視する。
2 事故の未然防止の観点から、利用者に対して均一なサービスを提供する。
3 ヒヤリハット情報やクレームから、潜在的なリスクを抽出する。
4 リスクマネジメントの基本は、危機管理体制の確立よりも、個別事故への対応を優先する。
5 利用者から苦情が寄せられた際には、迅速に対応する。
問題23 ソーシャルワークの理論の発展に貢献した人物とそのアプローチに関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 カプラン(Caplan, G.)は、ソーシャルワークに生態学的な視点を導入し、その実践モデルをエコロジカルアプローチとした。
2 ジャーメイン(Germain, C.)は、クライエントの心理的側面や生活史を重視し、診断主義アプローチを提唱した。
3 トール(Towle, C.)は、家族療法の各流派の知見を統合し、多元的な家族中心アプローチを構築した。
4 トーマス(Thomas, E.)は、学習理論の応用に基づく多様な行動変容の方法を整理し、行動変容アプローチとして確立した。
5 ハートマン(Hartman, A.)は、危機の状況から効果的で早急に脱出することを目的とした危機介入アプローチの基礎を築いた。
問題24 社会における正義の実現に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 ロールズ(Rawls, J.)が『正義論』で主張した格差原理は、その社会において最も恵まれない人が有利となるよう、資源の配分を目標とした。
2 キムリッカ(Kymlicka, W.)による多文化主義は、固有の文化や生活様式を保持するため、同化政策の確立を目標とした。
3 ベンサム(Bentham, J.)による功利主義は、人々の直感から得られた快の総量を計り、「最大多数の最大幸福」の実現を目標とした。
4 サンデル(Sandel, M.)によるコミュニタリアニズムは、自己の在り方を「負荷なき自己」と捉え、共同体への帰属から自由になることを目標とした。
5 フリーダン(Friedan, B.)らによる第二波フェミニズムは、「個人的なことは政治的なことである」というスローガンの下、家父長制の維持を目標とした。
問題25 V精神科病院で薬物依存症者の家族教室を担当しているC精神保健福祉士は、家族教室に参加したDさんが、「覚醒剤使用歴がある息子が、求職活動をしても、なかなか理解してもらえず、就職できない」と悔しそうに語るのを聞いた。薬物依存症に対する差別や偏見をなくすことを目的とした家族会の支援をしていたC精神保健福祉士は、家族教室終了後、Dさんに声を掛け、やりきれない思いを受容するとともに、家族会に関する情報提供を行った。その後、C精神保健福祉士は家族会に参加するようになったDさんと共に、家族会メンバーと力を合わせて、薬物依存症のことを理解してもらうための講演会を開催したり、利用できる新たなサービスを求めるための署名運動を行い、行政機関に働き掛けたりするようになった。
次のうち、C精神保健福祉士が家族会と共に行った内容として、適切なものを1つ選びなさい。
1 ソーシャルアドミニストレーション
2 ソーシャルアクション
3 ソーシャルビジネス
4 ソーシャルキャピタル
5 ソーシャルプランニング
問題26 対人援助領域におけるレジリエンス(resilience)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 生活経験の乏しさから発する、日常生活を送る上での技術の不十分さをいう。
2 精神疾患の病因モデルによる、人が持っている脆弱性をいう。
3 精神科医療において、治療を行っても症状が改善しない状態をいう。
4 人に潜在的に備わっている、逆境から復元できる力のことをいう。
5 利用者が社会参加する際に、障害となる全てのものを取り除くことをいう。
問題27 次のうち、「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」(平成29年3月厚生労働省)の内容として、正しいものを2つ選びなさい。
1 本人の自己決定に必要な情報の説明は、本人が理解できるよう工夫して行うことが重要である。
2 意思決定を支援する施設職員と成年後見人がいる場合、前者の決定を優先する。
3 職員等の価値観において不合理と思われる決定は、職員の判断で代理決定することが求められる。
4 相反する選択肢を両立させることはせず、本人にとってどちらが最善の利益かを判断する。
5 本人の自己決定や意思確認がどうしても困難な場合は、本人をよく知る関係者が集まって、様々な情報を把握し、根拠を明確にしながら意思及び選好を推定する。
問題28 精神科病院で精神保健福祉士が行う人権擁護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「退院はさせないでください」という家族からの求めに応じ、患者に入院の継続を勧める。
2 「もう歳だから」と退院を諦めている長期入院の患者に対して、退院の動機づけを行う。
3 「もう家に帰ります」と突然怒り出した患者を心配し、隔離室に入室させる。
4 「迷惑電話で困っている」という近所の店舗からの苦情を受け、患者が電話をかける機会を制限する。
5 「二人だけで面会させてください」と希望する患者の病状を面会時に判断して、面会に立ち会う。
問題29 マクロ領域のソーシャルワークに関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 社会福祉制度が効果的に運用されるために、環境の調整や整備を行う。
2 福祉問題の原因を社会構造から捉え、個人の変化を促す支援を行う。
3 福祉関連施策の分析や充実に向けた活動を行い、社会の変革を進める。
4 グループの持つ力動を活用し、個人の成長や個人と社会環境との関係調整を行う。
5 福祉サービス利用者とその家族に働き掛け、家族内ネットワークを形成する。

(精神保健福祉相談援助の基盤・事例問題1)

ある日、E精神保健福祉士の下に、以前支援していたFさんから手紙が届いた。次の手紙(事例)を読み、問題30から問題32までについて答えなさい。

〔事例〕
前略
お久しぶりです。お元気でしょうか。私は変わりなく、毎日W地域活動支援センターに通っています。先日、心の整理もつき、母が亡くなってから3年ぶりに、やっとお墓参りに行ってきました。そこでふとEさんのことを思い出し、手紙を書かせていただきました。
Eさんにお会いしたのは、入院して10年が過ぎようとした頃でした。あの頃は長い入院生活が続き希望も持てず、スタッフにやってもらうことが当たり前の、全てが受け身の生活でした。(問題30)
しかし病気の母を看取りたいと思うようになり退院しましたよね。間もなく母が亡くなり、何か昼間にできることはないだろうかとEさんに相談しました。
私はこれまでの人生を振り返り、母に従ってきたこと、それが正しいことだと思っていたことを話しました。Eさんは私の話をじっくりと聞き、「これまで、大変だったのですね。でも今のFさんは退院後も規則正しい生活を送り、何かをしてみたいという向上心がありますよね」と話してくれました。(問題31)
相談の後、Eさんが立ち上げに関わったW地域活動支援センターを紹介され、自由に話し合える雰囲気が気に入り利用することにしました。そこで病気について勉強する講座を受講したところ、仲間同士が支え合う活動に興味が湧きました。自分の経験をいかせるのではないかと。そして、ピアサポーターとしてW地域活動支援センターで活動を始めました。そのことを知ったEさんが来て、「ここのスタッフとして働いてみては」と言われましたよね。あの時は正直、驚きました。ピア同士だからできていた話を仕事にすることや、利用者からスタッフに変わることによる立場の違いに戸惑いを覚えたからです。(問題32)
今も十分とはいえないですが、何とか仕事も続いています。入院中には今の私を想像すらできなかったです。お墓参りで母に報告もできました。Eさんもお忙しいと思いますが、ご自愛ください。またお会いできる日を楽しみにしています。
かしこ

問題30 次のうち、この時点でのFさんの状態を示す用語として、適切なものを1つ選びなさい。
1 パターナリズム
2 バーンアウト
3 モラトリアム
4 インスティテューショナリズム
5 カタルシス
問題31 次のうち、この時にE精神保健福祉士が行ったアプローチとして、適切なものを1つ選びなさい。
1 課題中心アプローチ
2 ナラティブアプローチ
3 解決志向アプローチ
4 システムズアプローチ
5 ストレングスアプローチ
問題32 次のうち、この時点でのFさんの状態を表す用語として、適切なものを1つ選びなさい。
1 アンビバレンス
2 対処能力
3 役割葛藤
4 二重拘束
5 スティグマ

(精神保健福祉相談援助の基盤・事例問題2)

次の事例を読んで、問題33から問題35までについて答えなさい。
〔事例〕
Gさん(26歳、男性)は、大学生の時には相手の話した冗談を言葉どおりに受け取ってしまいトラブルに巻き込まれることもあったが、趣味の合う仲間もいて楽しく過ごすことができていた。しかし、就職してからは、元々あった音に対する敏感さに加え仕事の内容ごとに手順が異なり、戸惑うことが多くあった。異なる指示を受け混乱していたGさんはささいなミスを続けてしまい、上司からきつい注意を受けたことがきっかけで、休みがちとなった。Gさんには相談相手もおらず、1年もしないうちに自主退職してしまった。その後の求職活動では、書類選考や筆記試験では問題はないものの、面接になるとうまく話すことができず不採用が続いた。そのうちに、「もう何をやってもだめなんだ」と仕事探しをやめ、自宅で家族との接触も避け、自室に籠るようになっていった。
このような本人の様子を心配した両親は、近所のXメンタルクリニックで相談していたが、ある日、両親と一緒にGさんが初めて受診した。そこで、担当となったH精神保健福祉士が、「今日はよく来てくれましたね」と本人を迎え、初回面接を行った。(問題33)
H精神保健福祉士は、数回の面接で、「周りがうるさいと仕事に集中できない」「パソコンでの作業は長時間集中できる」「急な予定変更には対応が難しい」「就職はすぐにしたいが、今はまだ自信がない」と話すGさんの状況から、地域若者サポートステーションの利用を勧めた。(問題34)
その後、地域若者サポートステーションの利用を始めたGさんは、3か月たったある日の面接で、職場体験プログラムで会社訪問に行った時の様子を語りだした。「指示が具体的で手順が明確だ」「イヤホンを着けたままできるパソコン作業は、手際が良いとスタッフから褒められた」と満足気に話し、「自分にも仕事がやっていけそうだ」と嬉しそうに続けた。(問題35)

問題33 次の記述のうち、この時点でH精神保健福祉士がGさんに掛ける言葉として、適切なものを1つ選びなさい。
1 「引き籠るようになったきっかけは何ですか」
2 「利用したいと思うサービスを教えてください」
3 「両親とよく話をしますか」
4 「これまで受診しなかったのはどうしてですか」
5 「今、家でどんな生活をしていますか」
問題34 次のうち、この時点でH精神保健福祉士がGさんに、地域若者サポートステーションの利用を勧めた理由として、適切なものを1つ選びなさい。
1 日常生活リズムを確立するため
2 協調性などの対人関係能力を向上させるため
3 職業適性を見極めるため
4 家族関係を改善するため
5 障害受容を深めるため
問題35 次のうち、この時点でのGさんの状態に関する用語として、適切なものを1つ選びなさい。
1 セルフコントロール
2 セルフエフィカシー
3 セルフスーパービジョン
4 セルフケア
5 セルフアドボカシー

精神保健福祉の理論と相談援助の展開

問題36 諸外国の精神保健医療福祉の脱施設化及び地域ケアの歴史に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 イギリスでは、「精神保健に関するナショナル・サービス・フレームワーク」により、積極的アウトリーチや家族ケアラー支援等の充実を図った。
2 ニュージーランドでは、「セクター制度」により、一定の人口規模ごとに、精神科病床、施設を配置し、治療と生活支援を一体的に実施した。
3 アメリカでは、精神保健サービス計画「ブループリント」を策定し、リカバリー概念をサービスの基盤とすることを明示した。
4 イタリアでは、「精神疾患及び知的障害に関する大統領教書」により、精神科病院を解体し、地域精神保健センターを整備した。
5 フランスでは、「法律第180号」により、精神科病院への新たな入院を禁止し、地域ケアと外来医療中心に転換した。
問題37 次のうち、国連総会で採択された「精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルスケアの改善のための諸原則」(1991年)の記述として、正しいものを2つ選びなさい。
1 精神疾患を有するすべての者は、可能な限り地域社会に住み、及びそこで働く権利を有する。
2 精神疾患を有するという判定は、各精神保健施設内で定めた医学的基準による。
3 すべての患者の治療及びケアは、個別的に立案された治療計画に基づいて行われなければならない。
4 すべての患者は、病状が不安定な場合を除き、自己の居住する地域社会において治療及びケアを受ける権利を有する。
5 インフォームドコンセントとは、患者の理解しうる方法と言語によって、十分にかつ患者に理解できるように説明することである。
問題38 次のうち、ケアマネジメントにおけるチームアプローチに関する記述として、適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者の状態にかかわらず、同じ構成員で活動する。
2 構成員は独自に立てた計画に基づき、専門性を発揮する。
3 利用者の希望する場合を除き、構成員は専門職とする。
4 チームでは、プライバシー保護に配慮した上で、情報の共有化を図る。
5 チーム全体に関わる方針は、リーダーが決定する。
問題39 次の記述のうち、ディーガン(Deegan, P.)が述べるリカバリーの内容として、正しいものを2つ選びなさい。
1 病気になる前の状態に戻る。
2 新たな目的を再構築する。
3 目標に向けて直線的に前進する。
4 課題に立ち向かうことが求められる。
5 回復した結果を重視する。
問題40 次の記述のうち、社会リハビリテーションにおけるアセスメントとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 実施した宿泊体験の妥当性を検討する。
2 一人暮らしに必要なサポート体制を編成する。
3 利用できる文化施設を増やす。
4 買物支援の満足度を確認する。
5 活用できる移動手段を把握する。
問題41 次のうち、ナラティブアプローチに関する記述として、正しいものを1つ選びなさい。
1 物事の見方の多様性を認識して、クライエントの新たな意味づけを重視する。
2 援助機関の機能を明確にして、クライエントの意志の力を引き出す。
3 自我の構造に注目して、パーソナリティの変容を目指す。
4 行動の学習過程に着目して、クライエントの望ましい行動を形成する。
5 問題を因果関係で捉えるのではなく、円環的に捉えて解決を図る。
問題42 次の記述のうち、リファーラルの説明として、適切なものを1つ選びなさい。
1 患者の支援に役立つ疾病や障害の状況を調べる。
2 患者やその環境又はその両者に対して働き掛ける。
3 患者の支援に関する実施状況について見直す。
4 患者との対等な関係に基づき課題解決に向けて取り組む。
5 患者の希望する支援に対してサービス提供機関へつなぐ。
問題43 次の記述のうち、精神保健福祉士がコンサルティに対して行うコンサルテーションとして、適切なものを1つ選びなさい。
1 組織内の運営方針について説明する。
2 勤務態度などの職務を管理する。
3 クライエントの自宅に同行して、クライエントと面談する。
4 クライエントの社会環境を理解するためのエコマップを提示する。
5 アドバイスに従ってクライエントを支援するように指導する。
問題44 N市の基幹相談支援センターで働くJ精神保健福祉士は、精神科病院の長期入院者の地域移行を推進するため、N市における「障害者総合支援法」に基づく協議会(以下、「協議会」という。)において定期的に協議し、地域移行における課題及びその改善策を検討していた。協議会のメンバーからは、「近隣のグループホームに空きがなく、体験宿泊の受入れも難しいことから、退院後の生活をイメージできず退院支援がなかなか進まない」「退院し一人暮らしを始めて急な不安や不調を訴えたとき、支援が不十分で再入院になった事例が複数ある」との意見が出された。J精神保健福祉士は、以上の課題への対策を協議会に提案し、参加者に意見を求めた。 次のうち、J精神保健福祉士が協議会に提案したこととして、適切なものを1つ選びなさい。
1 地域生活支援拠点の整備
2 日常生活自立支援事業の普及
3 住宅入居等支援事業の充実
4 福祉ホームの設置
5 成年後見制度利用支援事業の推進
問題45 精神保健福祉士が担う職務に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 サービス管理責任者として、サービス等利用計画を作成する。
2 相談支援専門員として、個別支援計画を作成する。
3 精神保健福祉相談員として、在宅における生活介護を行う。
4 精神障害者雇用トータルサポーターとして、職場適応訓練で指導する。
5 福祉専門官として、特別調整など支援の必要な受刑者に対応する。
問題46 次のうち、精神科リハビリテーションにおける地域ネットワーク形成の目的として、適切なものを2つ選びなさい。
1 地域にある関係機関の指揮系統を明確にすること
2 新たなニーズに対応するための社会資源を創出すること
3 各機関による利用者への援助内容を同じにすること
4 再発を防止するために、構成員が自由に利用者の治療内容を共有すること
5 精神障害当事者がサービス提供者となる道筋をつくること
問題47 次のうち、精神障害者支援におけるアドヒアランスに関する記述として、正しいものを1つ選びなさい。
1 患者が専門職からの指示を遵守することをいう。
2 患者が積極的に治療方針の決定に参加し、主体となって治療を受けることをいう。
3 専門職が本人のために最善と思われる方針を決定することをいう。
4 支援者が権利を侵害されやすい利用者に代わり、権利を表明することをいう。
5 利用者が担当者以外の専門的知識を有する第三者に意見を求めることをいう。
問題48 次の記述のうち、ソーシャルインクルージョンの理念に基づいた精神保健福祉士の活動として、適切なものを1つ選びなさい。
1 生活困窮者の生活支援では、まずは救護施設への入所を勧める。
2 障害福祉サービスの利用相談では、病状の改善を前提とする。
3 就労準備支援では、就労先との面接で病名を開示しないよう助言する。
4 ひきこもりの相談支援では、医療を提供することから始める。
5 施設開設の準備会の役員に、地域組織の代表の参加を依頼する。

(精神保健福祉の理論と相談援助の展開・事例問題1)

次の事例を読んで、問題49から問題51までについて答えなさい。
〔事例〕
Kさん(26歳、女性)は大学卒業後Y社に就職した。配属された部署は残業が多く忙しい職場であった。直属のL上司はKさんを熱心に指導した。生真面目なKさんは、L上司の期待に応えようと、自宅に仕事を持ち帰って仕上げるように心がけた。そのため、仕事が頭から離れず、寝てもすぐに目が覚め、食事も砂を噛んでいるようになっていった。体調の悪さを自覚したKさんは、社内報に掲載されていたY社が契約している従業員支援プログラム(EAP)機関のことを思い出し、相談に行った。そこで、Kさんは担当のM精神保健福祉士に、「他の社員に迷惑が掛かるから休めない」「眠れなくてつらい」「このまま消えたい」と涙ながらに訴えた。M精神保健福祉士は、「よくここまで耐えてこられましたね」とねぎらった上で、次のように提案した。(問題49)
数日後、KさんはZ精神科病院を受診し、うつ病と診断され入院することとなった。1か月を経過した頃、Kさんは面会に来たM精神保健福祉士へ、「主治医が退院を許可してくれない。休んでしまった分、早く穴埋めをしたいのに」と訴えた。面会の1週間後、M精神保健福祉士は、主治医とKさんとL上司とで退院について協議した。そこで、M精神保健福祉士は次のことを提案した。(問題50)
後日、入院中であったKさんは、精神科デイケアを体験利用した。そこでは自分と同じような状況にある利用者と交流して、焦っているのは自分だけではないと感じた。退院後、精神科デイケアを利用し始めた。3か月後、M精神保健福祉士は、デイケアスタッフ、主治医、L上司、Kさんと仕事に関して話し合った。従業員に業務負荷を強く感じさせる労働環境の改善も必要だと、L上司も考えるようになった。
Kさんは負荷の少ない配慮された環境で仕事を再開した。それから数か月たった頃、M精神保健福祉士は労働環境の改善が必要と考え、L上司に「働き方を考える研修会」の実施を提案した。そこで、Kさんは体験談を語った。(問題51)
研修会の後、KさんはM精神保健福祉士に、「初めは、今までのように働けない自分を弱い人間だと感じていた。でも、同じ病の人と出会い、体が壊れるまで働くのは個人にとっても会社にとっても良くないと、今は思う」と語った。

問題49 次のうち、この時点でM精神保健福祉士が提案した内容として、適切なものを1つ選びなさい。
1 入院を勧める。
2 転職を勧める。
3 気分転換として旅行を勧める。
4 受診を勧める。
5 パワーハラスメントで訴えるよう勧める。
問題50 次のうち、この時点でM精神保健福祉士が提案した内容として、適切なものを1つ選びなさい。
1 「職場適応訓練制度を利用してはどうでしょうか」
2 「就労定着支援事業を利用してはどうでしょうか」
3 「リワークプログラムを利用してはどうでしょうか」
4 「ストレスチェックを受けてはどうでしょうか」
5 「職業評価を受けてはどうでしょうか」
問題51 次のうち、この場面において、M精神保健福祉士が果たした役割として、適切なものを1つ選びなさい。
1 スーパーバイザー
2 アドボケーター
3 エバリュエーター
4 メディエーター
5 ファシリテーター

(精神保健福祉の理論と相談援助の展開・事例問題2)

次の事例を読んで、問題52から問題54までについて答えなさい。
〔事例〕
P市のAスクールソーシャルワーカー(精神保健福祉士)は、U小学校の教頭から5年生のBさん(11歳、女性)と面談してほしいと依頼を受けた。教頭の話によると、Bさんは1年前に両親が離婚し、3か月前に母親と共にP市に転入して二人で暮らしている。生活費等は父親が送金しているようである。U小学校に通い始めたものの遅刻や欠席が目立ち忘れ物も多く、登校しても表情は乏しくほとんど一人で過ごしている。心配した担任が母親に連絡を取ったところ、話のつじつまが合わず、周囲に悪い人たちがいて危ないと訴えていたという。Aスクールソーシャルワーカーが面接した際、Bさんはうつむいて黙り続けていたが、徐々に、「優しかったお母さんが変わってしまった。暗い顔してすごくつらそう。突然怖い顔して外に出るなと言ったり、夜中に壁に向かって何かをずっと言ったりしてすごく怖い」と話し、「私が何かいけないことしたのかな」と泣きじゃくった。(問題52)
AスクールソーシャルワーカーはBさんの意向を確認した上で、P市を管轄する保健所のC精神保健福祉相談員(精神保健福祉士)に相談し、Bさんと母親への支援の協力を依頼した。C精神保健福祉相談員は、Bさんの母親に精神疾患が疑われることから、医療・教育・行政機関が連携した支援チームをつくり、訪問による支援を開始した。
母親は支援チームのスタッフが訪ねても、初めのうちは玄関を開けてくれなかったが、訪問を繰り返すうちに顔を出すようになった。母親の話は脈絡のないことも多かったが、3年前に元夫に連れられて精神科を受診するようになったが、数か月前から通院をやめていたことが分かった。その後、母親は治療を再開し、訪問看護が行われた。この間、並行してBさんへの支援も行われ、Bさんは毎日登校できるようになった。(問題53)
中学校に進学すると、BさんはC精神保健福祉相談員の紹介で精神障害のある親と暮らす子どもが集う会に参加し始めた。そして、「集う会では学校の友達に言えないことも話せる」とBさんが笑顔で話す様子もみられるようになった。(問題54)

問題52 次の記述のうち、この時にAスクールソーシャルワーカーが行ったこととして、適切なものを2つ選びなさい。
1 児童相談所に一時保護の受入れを依頼する。
2 Bさんの食事や睡眠などの状況を把握する。
3 特別児童扶養手当の申請に向けて調整する。
4 Bさんの両親が離婚した理由について確認する。
5 連携するスクールカウンセラーによるBさんの心理アセスメントを検討する。
問題53 次のうち、支援チームが活用したBさんに対する支援として、適切なものを1つ選びなさい。
1 児童発達支援センターにおける心理的サポート
2 U小学校におけるTEACCHプログラムの導入
3 保健所における精神障害を理解するための心理教育の実施
4 医療機関における内観療法による治療的アプローチ
5 放課後等デイサービスにおける交流の機会の提供
問題54 次のうち、この時の話からBさんがこの会に参加することで得られていることとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 自分も誰かの役に立っているという自己肯定感
2 母親とうまく付き合っていくコツを学べた達成感
3 これからなりたい自分をイメージできる充足感
4 同じ経験をしている人がいるという安心感
5 他の人たちと一緒に何かできるという期待感

(精神保健福祉の理論と相談援助の展開・事例問題3)

次の事例を読んで、問題55から問題57までについて答えなさい。
〔事例〕
Q市の地域若者サポートステーション(以下、「Qステーション」という。)で働くD相談員(精神保健福祉士)のところへ、抑うつ傾向にあるEさん(32歳、女性)の母親が、娘の将来を案じ相談に訪れた。話を聴くと、Eさんは1年間の浪人生活の後に大学へ進学した。卒業後は、希望する職業はなく有期雇用の採用であった。デザイン会社、IT企業、不動産会社などを転々として働いたが、この半年間はあまり外出もせず、自宅で過ごす日々が続いている。 D相談員は、母親を通じEさんから了解を得て自宅を訪問した。数回の訪問の中で、Eさんから、「卒業後はリーマン・ショックによる就職難」「そして、結局有期雇用」「資格を取っても意味がなかった」といった傷ついた自尊心などが語られた。同世代のD相談員は、Eさんの話に共感し、「厳しい環境の中でも働けてきたこと」「働きながら資格を取り、様々な業種でキャリアを積んできたこと」「社会とつながろうとする気持ちがあったこと」などといったメッセージを返した。(問題55)
その後、EさんはQステーションを訪れるようになり、再び就職してみたいと考え始め、「無理しない程度で、若い人たちと会えるような職場があれば」とD相談員に話した。D相談員は自分の出身大学に隣接した、学生に人気があるカフェで求人が出ていたことを思い出し、Eさんの自宅から近いことや土日が休みであることなど、Eさんの希望とも合うことから、求人面接にチャレンジしてみるよう話した。(問題56)
その後、Eさんは無事に採用され、時には気分が落ち込むこともあったものの、D相談員との面談などにより支えられ、1年以上働き続けている。D相談員は、「働くことの息苦しさや困難さがあってもどうにかやってきたのですから、ここまでのことを誰かに伝えてみませんか」とEさんに提案してみた。「自分の体験が役に立つのなら、挑戦してみようかな」とEさんは話した。そこでD相談員は、このカフェを時々利用している自分のゼミの指導教員を訪ね、Eさんと大学生との交流ができないか相談した。(問題57)

問題55 次のうち、この時にD相談員が用いた面接技法として、正しいものを1つ選びなさい。
1 コーピング
2 モデリング
3 シェイピング
4 シェアリング
5 リフレーミング
問題56 次の記述のうち、Eさんに求人面接を受けるように促したD相談員の意図として、適切なものを1つ選びなさい。
1 Eさんに労働の意味を理解してもらうため。
2 Eさんの働く意欲を喚起するため。
3 Eさんが人を相手にした職場で働けるかどうかを判断するため。
4 Eさんに自分の可能性に気付いてもらうため。
5 Eさんとカフェを経営する事業所との関係を深めてもらうため。
問題57 次のうち、D相談員がEさんに対する一連の支援の中で意識して取り組んだものとして、適切なものを1つ選びなさい。
1 機能的アプローチ
2 エンパワメントアプローチ
3 エコロジカルアプローチ
4 問題解決アプローチ
5 ユニタリーアプローチ

(精神保健福祉の理論と相談援助の展開・事例問題4)

次の事例を読んで、問題58から問題60までについて答えなさい。
〔事例〕
精神障害者雇用トータルサポーターのFさん(精神保健福祉士)は、ある日、従業員1,000名超の食品製造会社であるV社の人事課長の訪問を受けた。話を聞くと、障害者法定雇用率の達成には7名足りず、新たに法定雇用率の算定が見直されたこともあり、現在雇用していない精神障害者も雇用することで達成したいとのことであった。そして、障害者や高齢者や外国人など様々な従業員が活躍することで多様性のある企業として発展していきたいと話した。そこでV社としては、まず精神障害者の雇用に重点的に取り組みたいと考え、何から始めればよいか教えてほしいとのことであった。(問題58)
半年後、V社が精神障害者雇用を進める中で人事課長からFさんに相談があった。話を聞くと、新たに雇用した精神障害者のGさん(40歳、女性)が、仕事で小さなミスが続いた後に出社できなくなり、退職を申し出たとのことであった。対応を依頼されたFさんはV社を訪問し、相談室でGさんと会った。Gさんは緊張した表情を見せながら、自分は会社の役に立っていないこと、仕事に自信がなくなったこと、会社に迷惑を掛けるから辞めたいことを小声で話した。Fさんは面接の中で、Gさんは無遅刻・無欠勤であったこと、部署では昼食弁当の注文係を自らやっていたことを引き出した。また、Fさんの問いかけに対してGさんは、来月には父親が定年退職なので、自分が無職になった後の生活が不安であることなどを語った。(問題59)
そこで、Fさんの提案で、訪問型職場適応援助者を活用することとし、H職場適応援助者(精神保健福祉士)がGさんの支援に入った。(問題60)
1か月後にFさんがV社を訪れると、Gさんは笑顔で仕事をしており、人事課長も喜んでいた。Fさんの援助もあり、人事課長は、「障害者の雇用継続に取り組むことで、従業員全体の退職者数も減り、社の雰囲気が変わり、働きやすい職場になった」と笑顔で話してくれた。

問題58 次の記述のうち、この時にFさんが提案したこととして、適切なものを2つ選びなさい。
1 求職登録者のうち、V社で働けそうな精神障害者をFさんが選定する。
2 V社の障害者雇用の意義を「社会的包摂の実現」とし、社内で共有する。
3 FさんがV社を訪問し、作業内容や職場環境を把握する。
4 V社の近くに就労継続支援B型事業所を設立し、障害者雇用を進める。
5 診療報酬明細書(レセプト)を調べて、該当する社員に障害者手帳の所持を照会する。
問題59 次のうち、Fさんが活用した面接法として、適切なものを1つ選びなさい。
1 指示的面接
2 深層面接
3 生活場面面接
4 動機づけ面接
5 構造化面接
問題60 次の記述のうち、この時のH職場適応援助者が行った支援として、適切なものを2つ選びなさい。
1 Gさんがミスをした作業の課題分析を行い、手順書を作成する。
2 昼食弁当の注文係を他の職員に担当してもらい、Gさんの負担を減らす。
3 Gさんの優れている点を伝えてもらうよう上司に依頼する。
4 Gさんの経済的不安を解消するために、障害年金の申請準備をする。
5 作業能力の低い人も働けるように、障害者専用の職務を作成する。

精神保健福祉に関する制度とサービス

問題61 精神医療審査会に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 退院請求は、口頭では認められず、書面による請求が不可欠である。
2 1合議体の委員数は、自治体が決定する。
3 医療保護入院者の入院届の審査を行う。
4 処遇改善請求の審査は、対象外である。
5 精神科病院の所在する市町村に設置される。
問題62 次のうち、精神科病院の管理者が選任し、医療保護入院者の退院に向けた相談支援を担う者として、正しいものを1つ選びなさい。
1 精神保健福祉相談員
2 相談支援専門員
3 地域援助事業者
4 退院後生活環境相談員
5 生活支援員
問題63 次のうち、「障害者総合支援法」における障害支援区分の認定を前提とするものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 行動援護の利用
2 障害基礎年金の受給
3 通所介護の利用
4 地域活動支援センターの利用
5 自立支援医療(精神通院医療)の受給
問題64 精神保健参与員に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 地方検察庁により任命される。
2 鑑定入院における鑑定書の内容に関する妥当性を審査する。
3 通院処遇時の指定通院医療機関との連絡・調整を行う。
4 厚生労働大臣が作成した名簿に基づき選ばれる。
5 入院処遇時におけるCPA会議に出席し、意見を述べる。
問題65 次のうち、「障害者総合支援法」に基づく自立支援給付に位置づけられる居住型の支援として、正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉ホーム
2 共同生活援助(グループホーム)
3 更生施設
4 救護施設
5 自立更生促進センター
問題66 Jさん(36歳、男性)は、19歳の時に統合失調症を発症して精神科病院への入院経験がある。頻回な窃盗による逮捕歴があり、最終的には実刑判決を受けて服役した。服役中は適切な精神科治療を受けていたこともあって病状も落ち着いた。刑期が終わる時期が近づいてきたが、身元引受人のいないJさんは出所後の生活基盤もなく、再出発は極めて困難なことが予測された。そこでJさんが服役している刑事施設は、保護観察所に特別調整を依頼した。その結果、Jさんは、法務大臣から事業の認可を受けて宿泊場所や食事の提供など、自立の準備に専念できる生活基盤を提供しているW施設へ、保護観察所の長の委託により入所が決まり、刑期満了日にそのまま入所となり再出発への道を歩み始めた。
次のうち、Jさんが入所したW施設として、正しいものを1つ選びなさい。
1 地域生活定着支援センター
2 宿所提供施設
3 自立準備ホーム
4 自立訓練(生活訓練)事業所
5 更生保護施設
問題67 「医療観察法」における鑑定入院に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 医学的観点から「医療観察法」に基づく入院による医療の必要性について意見をまとめる。
2 検査・診断のみならず、精神科治療も行われる。
3 「精神保健福祉法」で規定された指定病院において実施される。
4 入院期間は、原則4週間が限度とされている。
5 鑑定は、精神保健審判員が実施する。
問題68 次のうち、厚生年金保険加入者で、障害厚生年金3級の障害よりやや程度の軽い障害が残ったときに支給されるものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 療養給付
2 特別障害給付金
3 障害手当金
4 特別障害者手当
5 障害補償給付
問題69 次のうち、質的調査の方法として、適切なものを1つ選びなさい。
1 多変量解析法
2 コホート調査
3 エスノグラフィー
4 実験計画法
5 折半法

(精神保健福祉に関する制度とサービス・事例問題)

次の事例を読んで、問題70から問題72までについて答えなさい。
〔事例〕
Kさん(45歳、男性)はグループホームに居住している。Kさんは双極性障害を抱えているが、近頃、服薬が滞りがちになり不穏になっていた。先日、「確実に成功する事業を思い付いた。融資を頼むために銀行に行ってくる」と大声で騒ぐ状況となった。異変に気が付いたグループホームのスタッフになだめられながら、かかりつけの精神科病院で精神保健指定医による診察を受けた。その結果、自傷他害のおそれはないものの医療と保護の観点から急速に入院が必要な状態と判断されたが、Kさんは入院には同意しなかった。唯一の身寄りである遠方に住む妹とはすぐには連絡が取れず、最終的に72時間に限った入院となった。(問題70)
二日後、駆けつけた妹によって同意が得られ、入院形態が切り替わった。しかし、Kさんの不穏な状態は続いており、躁状態も治まらず、一般の病室では治療の継続が困難と判断され、やむを得ず、本人の意思では退出することができない個室において、12時間以上の治療処置がなされることとなった。(問題71)
Kさんには、その都度入院に関する説明が行われていたが、状況は十分には把握できていないようで、担当となったL精神保健福祉士に対して、「何で入院しなければならないんだ」と立腹していた。 入院から3週間後、薬物療法によってKさんの病状は落ち着き、通常の閉鎖病棟の一室に移った。Kさんの病状が安定してきたこともあり、入院について改めて説明する機会を設けることとなった。L精神保健福祉士は医師と共にKさんのところに行き、今回の経緯と、入院中の諸権利に関する文書について時間をかけて丁寧に説明した。(問題72)
Kさんは完全には納得していないようだったが、「ともかく、こうやって入院中にできることと、できないことを話しに来てくれたのは一応よかったです」と語ってくれた。

問題70 次のうち、この入院形態に関する記述として、正しいものを1つ選びなさい。
1 都道府県知事の権限によって行われる。
2 定期病状報告を提出しなければならない。
3 市町村長の同意による入院が可能である。
4 緊急その他やむを得ない場合には、入院の必要性を判定する診察は、特定医師でも可能である。
5 地方裁判所の裁判官の命令によって行われる。
問題71 次のうち、この処置の要否の判定を行うものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 都道府県知事
2 精神保健指定医
3 行動制限最小化委員会
4 地方精神保健福祉審議会
5 特定医師
問題72 次のうち、この書面に含まれている内容として、適切なものを1つ選びなさい。
1 信書の発受について制限を受けること
2 都道府県その他の人権を擁護する行政機関職員との面会が病状に応じて制限を受けること
3 原則として開放処遇となること
4 退院の申出があっても72時間以内に限り入院継続もあり得ること
5 退院請求についての連絡先

精神障害者の生活支援システム

問題73 M精神保健福祉士は、X精神科病院相談室の責任者である。X精神科病院には職員の資質向上を目的とした研修企画委員会が設置されており、M精神保健福祉士も参加している。ある日の委員会で、X精神科病院受診者の特徴について理解を深める研修を企画するため、委員が分担して統計資料を調べ、次回の委員会で報告することになった。M精神保健福祉士は、3年に1回厚生労働省が調査を実施して集計結果を公表している資料と当該病院の外来受診者について比較する担当になった。
次のうち、M精神保健福祉士が比較することになった厚生労働省の資料として、正しいものを1つ選びなさい。
1 「患者調査の概況」
2 「医療施設(動態)調査・病院報告の概況」
3 「過労死等の労災補償状況」
4 「生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」
5 「都道府県・市区町村における障害者虐待事例への対応状況等(調査結果)」
問題74 次のうち、「障害者総合支援法」に規定される自立生活援助のサービス内容として、正しいものを1つ選びなさい。
1 通帳・証書の預かりサービス
2 入浴、排せつ、食事の直接介助
3 公共料金や家賃の支払い状況の確認
4 家事能力を向上させるための宿泊訓練
5 救護施設退所者のためのアパート探しの同行
問題75 「障害者総合支援法」に規定される就労継続支援A型の役割に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 求職者に職業を紹介する。
2 職場適応援助者を養成する。
3 雇用契約に基づき就労の機会を提供する。
4 法定雇用率未達成事業所への指導を行う。
5 一般就労の継続のための支援を行う。
問題76 ピアサポーターに関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 専門職の代替的機能を担う。
2 対等な立場で仲間を支える。
3 厚生労働大臣が定める研修を修了する必要がある。
4 意思疎通支援事業によって派遣される。
5 ロールモデルとして期待される。
問題77 次のうち、市町村の精神保健福祉業務として、正しいものを1つ選びなさい。
1 自立支援医療(精神通院医療)の申請受理
2 精神障害者保健福祉手帳の等級判定
3 発達障害者支援センターの運営
4 地方精神保健福祉審議会の設置
5 精神科救急医療体制の整備

(精神障害者の生活支援システム・事例問題)

次の事例を読んで、問題78から問題80までについて答えなさい。
〔事例〕
Aさん(35歳、女性)は5年前に離婚して実家に戻り、製造会社の事務員として就職した。Aさんは同僚や上司との関係も良く、定時に帰ることができる働きやすい職場に勤務することができていた。しかし、半年前に母親が病気で急逝したことにより、うつ病を発症した。精神科の主治医からは、休職して治療に専念することを勧められた。Aさんは上司とも相談して、当面のあいだ休職することにした。
休職して半年がたつと給与が払われなくなった。貯金はあったが今後の生活に不安を覚えた。そこでAさんは、通院先のB精神保健福祉士に相談したところ、健康保険法に基づく、病気で休業中に生活を保障する制度を利用できることを知り、申請することにした。(問題78)
その数か月後、うつ病の症状は軽減したが、職場での居場所がなくなる不安を覚え、復職について精神科の主治医とB精神保健福祉士に相談した。主治医は、病状から診てAさんが復職を焦っていることに懸念があることを伝えた。また、B精神保健福祉士は、Aさんの仕事に集中し過ぎることに不安があることを伝えた。その上で、B精神保健福祉士は、Aさんに障害者の雇用の促進等に関する法律に基づき設置されているYセンターの「職場復帰支援」の利用を勧めた。(問題79)
その後Aさんは、Yセンターの職場復帰支援を受けることになった。支援を担当したCさんは、Aさんや家族や上司などから、各々が抱く心配や、職場環境、ソーシャルサポートの状況などを確認した。そしてCさんは、Aさんの職場復帰に向けた支援計画を作成した。(問題80)
Aさんは、その支援計画に基づき、同じ悩みを持つ仲間とのミーティングへの参加や職場での短時間勤務などを重ね、徐々に職場復帰のための準備を整えていった。

問題78 次のうち、Aさんが申請した制度として、正しいものを1つ選びなさい。
1 傷病手当金
2 障害厚生年金
3 高額療養費
4 生活扶助
5 療養補償給付
問題79 次のうち、Yセンターとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 産業保健総合支援センター
2 地域障害者職業センター
3 精神保健福祉センター
4 市町村保健センター
5 地域活動支援センター
問題80 次のうち、Cさんの職名として、正しいものを1つ選びなさい。
1 サービス管理責任者
2 精神障害者雇用トータルサポーター
3 障害者専門支援員
4 障害者職業カウンセラー
5 職場適応援助者
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